24年の鶏処理羽数および鶏肉生産量は前年をわずかに上回る
ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2024年の鶏処理羽数は64億5552万羽(前年比2.7%増)、鶏肉生産量は1364万3000トン(同2.4%増)と、いずれも前年をわずかに上回り、IBGEが1997年に統計を取り始めて以来、最大となった(図1)。これは、レアル安で推移した為替相場も相まって輸出需要が堅調に推移したことに加え、国内のインフレ率上昇に伴い比較的安価な動物性たんぱく質である鶏肉の国内需要が増加したためとみられている。
25年1〜4月鶏肉輸出量は前年同期比9.4%増
ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2025年1〜4月の鶏肉輸出量は171万3723トン(前年同期比9.4%増)と前年同期をかなりの程度上回った(表)。これは、世界のさまざまな国で発生している高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の影響により、ブラジル産鶏肉に対する需要が高まったためとみられている。
なお、輸出先別のシェア(割合)については、上位5カ国向けが減少した一方で、それ以外の国々への輸出は増加しており、輸出先の分散が進んだ形となった。
25年の鶏肉卸売価格は上昇傾向で推移
サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、直近(2025年5月23日時点)のブラジルの鶏肉卸売価格(サンパウロ州)は、1キログラム当たり8.63レアル(219円:1レアル=25.37円(注)、前年同日比18.4%高)となった(図2)。24年の同価格は比較的安定して推移していたが、同年11月に入ると急騰し同8レアル台になり、以降も上昇傾向となった。25年2月には、国内需要の減少に伴い一時的に下落したものの、堅調な輸出需要に支えられ、その後も上昇傾向で推移している。特に、4月は祝日が重なり、食肉処理場の操業日数が少なかったことで、国内市場の供給量が減少したことも価格上昇を後押しした。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年5月末のTTS相場および現地参考為替相場(Selling)。
商業用家きん飼養施設で高病原性鳥インフルエンザが発生
ブラジル農牧供給省(MAPA)は2025年5月15日、同国南部のリオグランデ・ド・スル州モンテネグロ市の家きん飼養施設で、HPAIの感染が確認されたことを公表した。同国では、23年に初めてHPAIの感染が野鳥および庭先養鶏の家きんで確認されたが、商業用の施設で確認されたのは今回が初めてとなる。
(調査情報部 原田 祥太)