25年4月の生乳生産量、前年同月比0.5%減
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2025年4月の生乳生産量は145万6000トン(前年同月比0.5%減)と前年同月をわずかに下回った(図1)。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、北島のタラナキ、ワイカト地域など主要酪農地帯での干ばつの影響により、例年より約4週間早く乾乳する生産者が増加したことが4月の生乳生産量の減少につながったとしている。
25年4月の乳製品輸出量、主要4品目いずれも増加
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2025年4月の乳製品輸出量は、主要4品目でいずれも前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、脱脂粉乳は中国およびインドネシア向けが、全粉乳はスリランカおよびアラブ首長国連邦向けが、バターおよびバターオイルはサウジアラビア、メキシコおよびマレーシア向けが、チーズは中国および日本向けがいずれも伸びたことで輸出量が増加した。
24/25年度の生産者支払乳価は10.00NZドルを維持
2025年5月20日開催のGDT(注1)平均取引価格は、北東アジアからの購入量が増加したものの、特に東南アジアや豪州からの大幅な購入増となった前回開催時(25年5月6日)からの減少を受けて、主要4品目はいずれも前回開催時を下回った(図3)。一方、バターオイルなどのその他の品目で前回開催時を上回ったことから、全乳製品の平均取引価格は1トン当たり4589米ドル(66万4808円、1米ドル=144.87円(注2)、前回比1.6%高)となった。
また、NZ乳業大手フォンテラ社は5月29日、24/25年度(6月〜翌5月)の生産者支払乳価を生乳の固形分(注3)1キログラム当たり平均10.00NZドル(880円:1NZドル=87.96円(注2))に維持することを発表した。また、併せて25/26年度の当初乳価を生乳の固形分1キログラム当たり10.00NZドル(880円)にすると発表した。これについて同社のハレル最高経営責任者は、「安定した乳製品需要は見込まれているが、世界市場の不確実性などのリスクがあることを認識しており、25/26年度の当初乳価は同8.00〜11.00NZドル(704〜968円)の幅広い予測範囲内から設定している」とコメントした。これにより同社の当初乳価は、過去にない高い水準でのスタートとなっている。
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年5月末TTS相場。
(注3)乳脂肪分および乳たんぱく質。
(調査情報部 田中 美宇)