25/26年度のトウモロコシ生産量、前年度に続き過去最高見込み
中国農業農村部は2025年5月12日、最新の「中国の農産物需給状況分析」を公表した。このうち、25/26年度(10月〜翌9月)最初のトウモロコシの需給見通しは表1の通りである。
生産量は、作付面積および単収の増加により、前年度に続き過去最高となる2億9616万トン(前年度比0.4%増)と見込まれている。
輸入量は、700万トン(前年度同)と見込まれている。他の作物に比べて収益性が高いとされるトウモロコシの生産量が増加する中で輸入量は減少傾向にあり、記録的な輸入量となった20/21年度(2956万トン)の2割強程度の水準となる。
消費量は、2億9969万トン(前年度並み)と見込まれており、引き続き消費の6割以上を占める飼料向けがけん引している。
この結果、同年度のトウモロコシの過不足は346万トン(前年度比52.4%増)のプラスが見込まれている。
また、同年度の国内のトウモロコシ生産地平均卸売価格については、1トン当たり2300〜2600元(4万6713円〜5万2806円:1元=20.31円(注))と、前年度の同2200〜2500元(4万4682円〜5万775円)を上回る水準が見込まれている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年5月末TTS相場。
25/26年度の大豆生産量は増加、輸入量は減少の見込み
2025/26年度最初の大豆の需給見通しは表2の通りである。
生産量は、作付面積および単収の増加により、2109万トン(前年度比2.1%増)と見込まれている。
輸入量は、9580万トン(同2.8%減)とわずかな減少が見込まれている。中国政府による国産の大豆生産振興政策などから輸入量は減少傾向にあり、1億トンを超える輸入量となった直近23/24年度(1億475万トン)から895万トンの減少となる。
消費量は、1億1415万トン(同0.4%減)とわずかな減少が見込まれており、引き続き搾油向けが消費の8割強を占めている。
この結果、同年度の大豆の過不足は259万トン(同42.6%減)のプラスが見込まれている。
また、同年度の国内の大豆平均卸売価格については、1トン当たり4600〜5000元(9万3426円〜10万1550円)と、前年度並みの水準が見込まれている。
USDA予測値を下回るトウモロコシと大豆の輸入量
米国農務省(USDA)が2025年5月10日に公表した、25/26年度最初の世界の穀物需給予測値との比較では、同年度の中国のトウモロコシおよび大豆の輸入量はいずれもUSDAの予測値(トウモロコシ1000万トン、大豆1億1200万トン)を下回っている。このため、国際相場に影響する今後の中国の輸入動向が注目されている。
(調査情報部 横田 徹)