北海道の生乳生産量、前年同月比3.8%増
令和7年6月の生乳生産量は、62万7859トン(前年同月比1.9%増)と4カ月連続で前年同月を上回り、前年2月がうるう年であった影響を除くと実質11カ月連続のプラスとなった(図1)。地域別では、北海道が36万5636トン(同3.8%増)となり、11カ月連続で前年同月を上回った。一方、都府県では26万2223トン(同0.7%減)と、12カ月連続で前年割れとなった。
6月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは32万7791トン(同1.0%減)と、2カ月連続で前年同月を下回った。このうち、業務用向けについては2万1441トン(同3.5%減)と4カ月ぶりに前年同月を下回った。
乳製品向けは29万6488トン(同5.3%増)と、4カ月連続で前年同月を上回った。これを品目別に見ると、クリーム向けは5万7518トン(同3.7%減)と下回った。また、チーズ向けも3万9593トン(同3.4%減)と4カ月ぶりに下回った。一方、脱脂粉乳・バター等向けは、15万3824トン(同13.0%増)となり、11カ月連続で前年同月を上回っている(農畜産業振興機構調べ「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
全国の牛乳生産量、前年同月並みにとどまる
6月の牛乳等生産量を見ると、飲用牛乳等のうち牛乳は、26万4473キロリットル(前年同月比0.3%減)と前年同月並みにとどまった。成分調整牛乳は前年割れが継続しており、1万7125キロリットル(同6.5%減)となった。一方、加工乳については、1万934キロリットル(同4.2%増)4カ月ぶりに前年同月を上回った。
はっ酵乳は8万9225キロリットル(同3.9%増)と2カ月ぶりに前年同月を上回った。
6月のバター在庫量、前年同月比14.2%増
6月のバターの生産量は6356トン(前年同月比19.9%増)と、前年同月を大幅に上回り、4カ月連続での増加となった(図2)。出回り量は6157トン(同0.3%減)と4カ月ぶりに前年同月を下回った(農畜産業振興機構調べ)。在庫量については、10カ月連続で前年同月を上回り、6月末は3万2007トン(同14.2%増)となった(図3)。
6月の脱脂粉乳在庫量、前年同月比17.6%増
6月の脱脂粉乳の生産量は、1万3059トン(前年同月比11.5%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図4)。一方、出回り量は9865トン(同18.2%減)と大幅に下回り、5カ月連続の減少となった(農畜産業振興機構調べ)。6月末の在庫量は、6万3808トン(同17.6%増)と大幅に増加し、7カ月連続で前年同月を上回った。(図5)。
Jミルク、令和7年度の生乳生産量を735万3000トンに上方修正
一般社団法人Jミルク(以下「Jミルク」という)は令和7年8月1日、「2025年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について」を公表した。これによると、令和7年度の生乳生産量は、前回5月30日公表値(733万5000トン)から上方修正されたものの、735万3000トン(前年度比0.3%減)と、前回公表と同様に、2年ぶりに前年度を下回る見通しとなっている。地域別に見ると、北海道は428万4000トン(同0.5%増)と、前回公表の見通し同様、2年連続での増加を見込んでいる。一方、都府県では306万8000トン(同1.3%減)と4年連続の減少を見込んでいるが、前回公表からは上方修正された(表)。
Jミルクは今回の見通しについて、2025年6月は観測史上最も暑い6月となり、7月以降も平年より高い気温が見込まれ、今年度も猛暑による生乳生産への影響が懸念されるとしている。また、飲用需要が最も高まる9月には広域的な配乳調整で対応する必要があることから、酪農乳業関係者は需給に関する情報を綿密に共有し、供給不足による混乱を回避できるよう、広域流通体制や地域ごとの需給動向に応じた配乳調整を推進する必要があるなどとしている。
(酪農乳業部 天野 明日香)