25年6月の牛肉生産量は前年同月比2.2%減
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2025年6月のフィードロット導入頭数は144万1000頭(前年同月比7.9%減)とかなりの程度、出荷頭数は170万7000頭(同4.4%減)とやや、いずれも減少した。導入頭数の減少については、牛飼養頭数の減少に加え、牧草地の改善による牛の保留や、メキシコからの肥育もと牛の輸入停止の影響があるとみられる(注1)。この結果、同年7月1日時点のフィードロット飼養頭数は1112万4000頭(同1.6%減)となった。
このような中、25年6月の1頭当たり枝肉重量は392.4キログラム(同2.4%増)とわずかに増加したものの、牛と畜頭数が242万6000頭(同4.4%減)とやや減少したことにより、同月の牛肉生産量は94万7000トン(同2.2%減)となった(図1)。
(注1)米国は2025年5月11日以降、メキシコ国内におけるラセンウジバエ(NWS)の発生拡大を受け、 メキシコからの肥育もと牛の輸入を停止している。なお、USDAは6月30日に「早ければ7月7日以降、段階的に輸入を再開する」との発表を行ったものの、7月9日にはメキシコからの新たな症例報告を受け、再度停止を発表している。
25年6月の肥育牛価格、前年同月比22.3%高
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2025年6月の肥育牛価格は、供給頭数の減少などから、100ポンド当たり238.13米ドル(1キログラム当たり790円:1米ドル=150.39円(注2)、前年同月比22.3%高)と前年同月を大幅に上回り、前月に続き上昇基調にある(図2)。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年7月末TTS相場。
25年5月の牛肉輸入量は前年同月比60.2%増
USDA/ERSによると、2025年5月の牛肉輸出量は10万3850トン(前年同月比11.1%減)とかなり大きく減少した(表1)。中でも中国向けは1896トン(同90.2%減)と大幅に減少し、20年以来の最低水準となった。中国では、中国海関総署(GACC)による米国内の中国向け牛肉輸出施設再認定の動きが見られず(注3)、米国から中国への牛肉輸出の大部分が停止している。
一方、同年5月の牛肉輸入量は、米国国内のと畜頭数が低水準にある中で、24万9683トン(同60.2%増)と大幅に増加した(表2)。輸入先別に見ると、ブラジル産は7万9544トン(同416.2%増)と約5倍になり、豪州産も4万6705トン(同45.1%増)と大幅に増加した。
(注3)5年ごとの認可登録の更新時期を迎えていた3月、GACCにより豚肉・鶏肉の輸出施設の認可登録が更新された一方で、牛肉の輸出施設の一部については未更新の状況が続いている。
(調査情報部 大西 未来)