25年5月の生乳出荷量は前年同月比0.5%減
欧州委員会によると、2025年5月の生乳出荷量(EU27カ国)は1343万トン(前年同月比0.5%減)とわずかに減少した(表、図1)。国別に見ると、フランス(同1.8%増)は2カ月連続、アイルランド(同6.8%増)は3か月連続、それぞれ良好な放牧環境や飼料価格の低下により前年同月を上回った。一方、その他の主要生産国は前年同月を下回り、中でもドイツ(同1.8%減)は12カ月連続、オランダ(同0.5%減)は15カ月連続と減少傾向が継続している。
生乳出荷量の減少が続くオランダは、同国統計局によると、25年の暫定調査で酪農家戸数が1万3380戸(前年比3.6%減)に減少しており、依然として環境規制や廃業支援の影響が大きいものとみられる。
25年6月の生乳取引価格は前年同月比15.2%高
欧州委員会によると、2025年6月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり53.12ユーロ(1キログラム当たり91.50円:1ユーロ=172.25円(注)、前年同月比15.2%高)と14カ月連続で前年同月を上回った(図2)。同価格は、高水準で推移するバターなどの乳製品価格にけん引される形で好調を維持している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年7月末TTS相場。
25年7月第5週のバター価格は前年同期比10.4%高
欧州委員会によると、2025年7月27日の週の製品別乳製品価格(EU27カ国の平均)は、バターが100キログラム当たり726ユーロ(1キログラム当たり1251円、前年同期比10.4%高)、チーズが同460ユーロ(同792円、同18.1%高)、全粉乳が同433ユーロ(同746円、同14.4%高)と前年同期をかなり大きく上回り、高値を継続している。また、脱脂粉乳は同240ユーロ(同413円、同1.0%高)と前年同期をわずかに上回った(図3)。
現地関係者によると、欧州および周辺国のバター需要は非常に強い一方でバター在庫は依然として少なく、生産量も低水準で推移しひっ迫しているため、価格は高水準を維持しているという。
(調査情報部 渡辺 淳一)