畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 第16回全日本ホルスタイン共進会 10年ぶりに開催、全国から400頭 10月25〜26日、北海道安平町で

話題 畜産の情報 2025年10月号

第16回全日本ホルスタイン共進会 10年ぶりに開催、全国から400頭 10月25〜26日、北海道安平町で

印刷ページ
一般社団法人日本ホルスタイン登録協会

1 共進会に特化した大会目指す

 いよいよ、10月25〜26日の2日間、北海道勇払ゆうふつ郡安平町の北海道ホルスタイン共進会場において第16回全日本ホルスタイン共進会(以下「全共」という)が開催される。
 全共は、乳牛が健康で長持ちするために必要な体型の改良度合いを比較展示するために、おおむね5年に一度、各都道府県を代表するホルスタイン種の牛を一堂に集めて開催してきた。また、前回大会からジャージー部門を新設した。
 今回の北海道大会は、2020年に開催予定だった第15回九州・沖縄大会が、新型コロナウイルス感染症の拡大によってやむなく中止になったため、前々回の第14回北海道大会から実に10年ぶりの開催になる。
 今回の全共は、昨今の厳しい酪農情勢下で、出品者および出品都道府県の負担をできるだけ軽減するために、常設施設の有効利用と開催期間の短縮、式典などの付帯・協賛行事の簡素化などによって、共進会に特化したコンパクトな全共を目指している。

2 全共70年あまりの歴史

 表1には、過去の全共開催状況を示した。第2次世界大戦後の復興も間もない1951年に神奈川県平塚市で、昭和天皇の行幸を仰いで第1回全共を開催して以来、全共は、国内の酪農主要道県などで計13回開催され、70年あまりの歴史を持つ。61年の第3回長野大会では当時の皇太子殿下(現上皇)ご夫妻の台覧の下、小岩井農場出品牛が経産名誉賞に輝いた。70年の第5回愛知大会では、酪農好景気のさなか、全国から52万人が来場し、北海道・宇都宮牧場が2度目の経産名誉賞を獲得した。
 81年の第7回群馬大会においては、ホルスタイン種では珍しい赤白班牛が経産名誉賞に輝いた。90年の第9回熊本大会は九州初の全共開催となり、沖縄県からも初出品があった。同大会では、北海道・植田牧場が第8回に続き2回連続で名誉賞を獲得した。2000年の第11回岡山大会の最高位は、第9回名誉賞牛の受精卵移植による生産娘牛であった。また、ジャージー全共が16年ぶりに同時開催された大会でもあった。
 2015年の第14回大会は、北海道で初開催となり、過去最多となる374頭が出品された。この回から高等学校特別枠を設置して高校生などを対象とした「ジャジング&リードマンスクール(注)」などの酪農後継者育成プログラムも開催し、好評を博した。
 
(注)ジャジングスクールは牛の見方(体型の良否)、リードマンスクールは牛の引き方の勉強会。また、この後には高校1・2年生と3年生の2クラスでリードマンコンテストも開催する。これらは北海道アルバータ酪農科学技術交流協会との共催。


 

3 20クラスで審査、最高位はどの牛に

 今大会には、ホルスタイン種雌牛16部368頭(未経産6部、経産10部)とジャージー種雌牛4部32頭(未経産2部、経産2部)の合計20部400頭が出品される。ホルスタイン種は一般枠13部のほかに、Jサイア(後代検定種雄牛)娘牛枠3部、高校特別枠20校(各月齢の部に出品)で構成される。
 また、表2には共進会日程を示した。10月25日(第1日目)は、朝8時の開会宣言後に各部の審査を開始する。午前中はホルスタイン種未経産第1〜6部の各部審査と名誉賞決定審査、午後には同経産(2・3歳級)第7〜13部の各部審査と名誉賞決定審査を行う。特に2歳級は出品頭数が多いことから、第7部(Jサイアの2歳娘牛)、第8部(2歳ジュニア)、第9部(同ミドル)、第10部(同シニア)の計4部編成とし、これまでの全共に例のない大変見応えのある審査が期待される。
 10月26日(第2日目)午前中は、ジャージー種未経産・経産第17〜20部の各部審査と名誉賞決定、次いでホルスタイン種経産(4歳以上)第14〜16部の各部審査と名誉賞決定審査が行われるが、特に成牛部門の充実した体型は大変注目されるところだ。最後に、各部門の名誉賞牛の中から今大会の最高位牛が決定される。正午過ぎには内閣総理大臣賞などの表彰式を行い、閉会式をもって第16回全共北海道大会の全日程を終了する。
 

 

4 高校日本一と後継者育成プログラム

 国内で乳用牛を飼養する高等学校には、「高等学校特別枠」として20校20頭の出品枠を割り当て、出品料を免除している。高校出品牛の中から共進会長特別賞を選出し、さらに10月26日の全共最高位決定審査の前に、高校出品牛日本一となる「ハイスクール・ディリー・グランプリ」を決定する。
 また、審査開始前日の10月24日には、酪農学園大学と共催で高校生などを対象とした後継者育成プログラム「ジャジング&リードマンスクール」と「リードマンコンテスト」を開催する。
 さらに、今大会の付帯・協賛行事として、会期中には酪農資材器具展・技術交流会を、10月25日夜には第16回全共記念パーティーを開催する。
 第16回北海道大会を全国からの出品者や酪農関係者、酪農関連企業などの情報・技術の交流と親睦の場として、乳牛改良や繁殖、飼養管理などの最新技術の知識を学び、今後の酪農への意欲と元気を大いに高めてほしいと考えている。
 
【プロフィール】
栗田 純(くりた じゅん)
北海道札幌市出身
一般社団法人日本ホルスタイン登録協会専務理事
 
1976年 帯広畜産大学畜産学部卒業
同年 社団法人日本ホルスタイン登録協会入会
94年 体型審査委員
2003年 調査部長
09年 登録部長
11年 事務局長
16年 専務理事に就任し現在に至る
 
2007年世界ホルスタインフリージアン連盟体型審査ワークキンググループ委員、16年から同連盟評議員を務める。