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海外需給【牛肉/米国】畜産の情報 2025年10月号

25年7月の牛総飼養頭数はわずかに減少も、繁殖雌牛保留の兆し

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25年7月の牛総飼養頭数、23年比1.3%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2025年7月1日時点の牛総飼養頭数は9420万頭(23年比1.3%減(注1))とわずかに減少した(表1)。内訳を見ると、繁殖雌牛(肉用牛)が同1.2%減、未経産牛(肉用繁殖後継牛)が同2.6%減といずれも減少した。一方で、25年1月の調査結果と比べると23年同月時点と比べて減少率が縮小しており、特に繁殖雌牛を保留する動きが見られている。また、同年8月1日時点のフィードロット飼養頭数は1092万2000頭(前年同月比1.6%減)とわずかに減少した。
 このような中、25年7月の1頭当たり枝肉重量は392.8キログラム(同2.6%増)とわずかに増加したものの、牛と畜頭数が253万6000頭(同6.8%減)とかなりの程度減少したことにより、同月の牛肉生産量は99万1000トン(同4.5%減)となった。
 
(注1)2024年7月は牛総飼養頭数の調査が行われなかったため、23年同月との比較を行う。
 



 
25年7月の肥育牛価格、前年同月比22.1%高
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2025年7月の肥育牛価格は、堅調な需要と供給頭数の減少から、100ポンド当たり240.45米ドル(1キログラム当たり784円:1米ドル=147.92円(注2)、前年同月比22.1%高)と前年同月を大幅に上回り、前月に続き高値で推移している(図)。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年8月末TTS相場。



 
 
25年6月の牛肉輸出量は前年同月比17.1%減
 USDA/ERSによると、2025年6月の牛肉輸出量は9万8442トン(前年同月比17.1%減)と大幅に減少した(表2)。中でも中国向けは3463トン(同78.4%減)と大幅に減少した。中国では、中国海関総署(GACC)による米国内の中国向け牛肉輸出施設登録の更新がされず(注3)、米国から中国への牛肉輸出の大部分が停止している状況にある。
 25年の輸出量についてUSDAは、牛肉生産量の減少や直近の輸出動向を踏まえ、121万7000トン(前年比10.8%減)とかなりの程度減少すると見込んでいる。
 
(注3)5年ごとの認可登録の更新時期を迎えていた3月、GACCにより豚肉・鶏肉の輸出施設の認可登録が更新された一方で、牛肉の輸出施設の一部については未更新の状況が続いている。
 



 
(調査情報部 小林 大祐)