畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 乳製品国際相場を踏まえ24/25年度の生産者支払乳価を引き上げ

海外需給【牛乳・乳製品/NZ】畜産の情報 2025年10月号

乳製品国際相場を踏まえ24/25年度の生産者支払乳価を引き上げ

印刷ページ
25年7月の生乳生産量、前年同月比0.6%増
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2025年7月の生乳生産量は31万2000トン(前年同月比0.6%増)とわずかに増加した(図1)。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、NZ乳業大手フォンテラ社が提示した25/26年度(6月〜翌5月)の生産者支払乳価が高い水準であったため、酪農家の生産意欲の向上につながったことを挙げている。
 また、今後の生乳生産の見通しについてNZXは、牧草の生育状況は地域によってばらつきが出る可能性があるものの、高い乳価を背景として豊富に輸入飼料などを確保することが可能となり、良好な生産環境が持続すると予想している。
 



 
25年7月の脱脂粉乳およびチーズの輸出量減少
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2025年7月の乳製品輸出量は、主要4品目のうち全粉乳、バターおよびバターオイルでいずれも前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、全粉乳は中国向けが、バターおよびバターオイルはサウジアラビア向けがそれぞれ伸びたことで、輸出量が増加した。一方、脱脂粉乳は中国、インドネシア向けが、チーズは中国向けが、いずれも減少したことで輸出量が減少した。
 





 
 
25年8月19日のGDT平均価格、全粉乳が上昇
 2025年8月19日開催のGDT(注1)平均取引価格は、全粉乳が前回開催時(25年8月5日)を上回った(図3)。北東アジア、中東、中南米からの需要が増加したため、全乳製品の平均取引価格は1トン当たり4291米ドル(63万4725円、1米ドル=147.92円(注2)、前回比1.0%高)となった。
 このような中、フォンテラ社は25年8月21日、24/25年度の生産者支払乳価を生乳の固形分(注3)1キログラム当たり0.15NZドル(13円:1NZドル=88.46円(注2))引き上げ、同10.15NZドル(898円)にすると発表した。また、25/26年度の同乳価については10.00NZドル(885円)を維持するとしつつも、同社のハレル最高経営責任者は、世界市場の不確実性などのリスクがあることを認識しており、当初、25/26年度の同乳価を同8.00〜11.00NZドル(708〜973円)と幅広い予想範囲で設定していたが、最近のGDT平均価格が堅調に推移していることから、予測範囲を同9.00〜11.00NZドル(796〜973円)に修正すると説明している。
 
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年8月末TTS相場。
(注3)乳脂肪分および乳たんぱく質。
 



 
(調査情報部 田中 美宇)