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海外需給【飼料/中国】畜産の情報 2025年10月号

トウモロコシおよび大豆の価格動向

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25年7月の国産トウモロコシ価格、国内需給を反映して安定を維持
 中国農業農村部は2025年8月27日、「農産物需給動向分析月報(2025年7月)」を公表した。この中で、25年7月の国産トウモロコシ価格は前月同となった(図1)。同月のトウモロコシの需給を見ると、供給面では主産地の在庫水準が低いことで、全体的に供給は不足傾向にあるとされる。一方、需要面では配合飼料におけるトウモロコシの使用割合の低下や、コーンスターチ製造企業などの稼働率も低水準にあることで、需給はおおむね均衡状態とされる。このため、新穀の供給開始まで国産トウモロコシ価格は安定的に推移しつつも、やや上昇すると見込まれている。
 輸入トウモロコシ価格を見ると、養豚主産地の中国南部向け飼料原料集積地となる広東かんとん黄埔こうほ港到着は、25年7月が1キログラム当たり2.10元(44円:1元=20.93円(注)、前月比2.9%高)とわずかに上昇した。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.42元(51円、前月同)と変わらなかったことで、輸入と国産の価格差は縮小した。
 



 
25年7月の国産大豆価格、需要停滞も供給減からわずかに上昇
 2025年7月の国産大豆価格は、前月からわずかに上昇した(図2)。同月の大豆需給を見ると、供給面では産地の在庫が枯渇し、中央政府や地方政府による旧穀の備蓄大豆の放出が中心とされている。一方で、需要面では国内の多くの地域で高温多湿が続き、大豆製品の消費が季節的な閑散期にあるため、製造企業は必要に応じた在庫補充のみ行っているとされる。このため、需要は少ないながらも高品質な大豆の供給が限られることで、国産大豆価格は引き続き安定的な推移が見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江こくりゅうこう省の食用向け国産大豆平均取引価格は、25年7月が1キログラム当たり4.08元(85円、前年同月比12.9%安)と前年同月をかなり大きく下回ったものの、前月水準を維持した。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東さんとう省の国産大豆価格は、同4.68元(98円、同9.0%安)と前年同月をかなりの程度下回ったものの、前月に続き上昇した。同月の輸入大豆価格は同3.84元(80円、前月比1.1%高)となり、国産価格および輸入価格とも上昇幅が同じとなったことで、輸入と国産の価格差には変化がなかった。
 国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年並みの水準に戻りつつある。25年(1〜6月)の輸入量は4937万トン(前年同期比1.8%減)とわずかに減少した。また、輸入額は同12.5%減の220億4000万米ドル(3兆2602億円:1米ドル=147.92円(注))と報告されている。主な輸入先はブラジル(総輸入量の64.5%)、米国(同32.7%)、カナダ(同1.8%)であり、ブラジルからの輸入が増加している。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年8月末TTS相場。
 



 
(調査情報部 横田 徹)