畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 11月5日は「いいたまごの日」〜世界が注目する“たまご”の話〜

話題 畜産の情報 2025年11月号

11月5日は「いいたまごの日」〜世界が注目する“たまご”の話〜

印刷ページ


一般社団法人 日本養鶏協会
 一般社団法人日本養鶏協会は、国民の食生活の向上と養鶏産業の健全な発展を目指し、鶏卵の需給の安定、消費の促進および養鶏に関する情報の収集・提供などのさまざまな活動を行っています。昨今は物価高騰が続き、家庭では賢い食選びが求められています。そうした今こそ、身近で栄養価に優れ、料理の主役にも名脇役にもなる「国産のたまご」に目を向けていただきたく、11月5日の「いいたまごの日」をご紹介するとともに、たまごの魅力と、近年の情勢をお伝えします。

1 11月5日は「いいたまごの日」

  「いい(11)たまご(05)」の語呂合わせから、平成22年に制定された普及啓発の記念日です。制定以来、全国の関係団体が一体となって、たまごの正しい知識と魅力を発信してきました。現在は高校生が創意工夫を競う「たまごニコニコ料理甲子園」や、料理研究家による実演・講演など、幅広い世代が参加できるプログラムへと発展しています(写真1、2)。本年も11月5日(水)に東京栄養食糧専門学校(東京都世田谷区)で「いいたまごの日イベント」を開催予定で、料理甲子園決勝大会も同時開催いたします。若い世代がたまご料理に親しむ機会を広げ、食育と国産農畜産物の消費拡大につなげてまいります。





 

2 世界が注目!「Japan egg」の機能性と安全性の強み

 たまごは、ビタミンCと食物繊維を除く主要な栄養素をほぼ網羅し、手頃な価格ながら高品質なたんぱく質を供給する優等生です(図)。卵白・卵黄が一体となったたまごのたんぱく質は必須アミノ酸バランスに優れ、アミノ酸スコア(注)は100です。成長期から高齢期の方まで、筋力維持・免疫機能のサポートに役立ちます。
 



 
 かつては「コレステロールが気になるから、たまごは1日1個まで」との通説が広まりましたが、食事由来のコレステロール摂取量は、体内調節機能により血中コレステロール値へ直結しにくいことが知られるようになり、平成27年以降、食事摂取基準では、たまごの摂取量の上限値の設定が撤廃されています 。医師から個別の指示がある場合を除き、全体の栄養バランスを意識しながら、積極的に取り入れていただきたいです。
 特に国産のたまごは、世界でも希少な「生で安心して食べられる」レベルの衛生管理に支えられています。農場からGPセンター(選別包装施設)に至るまで、洗卵・殺菌・温度管理・トレーサビリティが徹底されています。手に入りやすくて調理も簡単、しかも栄養価が高く、家計と健康の両面で頼れる“コスパのよい”たんぱく源です。
 当協会ウェブサイトでも「魅力あふれる安全安心の国産鶏卵」などを公開して知識の普及に努めています(写真3)。たまご業界関係者による「たまご知識普及会議」(事務局:一般社団法人日本養鶏協会)でも、ウェブサイト「たまペディア」を開設し、たまごに関するさまざまな情報を発信しています(写真4)。一般向けサイトでは、たまごの持つさまざまな価値、美味しいたまご料理のレシピ、著名人によるコラムなどの情報を掲載しています。業界向けサイトでは、食育を中心とした普及啓発の取り組みについて紹介しており、学校授業や地域イベント、企業の健康増進企画でも使いやすい食育・栄養指導ツールを取りそろえ、動画/ポスター素材/クイズなど役立つコンテンツを公開しています。ぜひ、ご覧ください。
 
(注)食品中の必須アミノ酸の量を数値化した指標。最大値は100。





 

3 インバウンド消費と輸出で広がる「日本のたまご」

 日本のたまごが持つ「安全で新鮮だからこそ広がる使い方」は、国内だけでなく、海外からも高い評価を受けています。
 
(1)インバウンド消費の拡大
 日本食ブームによって、多くの訪日観光客が「生食できる日本のたまご」を知り、実際に試していることが報告されています。令和7年には4000万人の訪日観光客が見込まれる中、日本の「安全に生で食べられるたまご」は、かけがえのない魅力的な「食のインフラ」となっています。特に、すき焼きに添えられる生卵や、日本独自の食文化である「卵かけごはん(TKG)」が大人気です。
 
(2)海外への輸出増加
 日本産の鶏卵は「美味しくて安全・安心」として海外で信頼を厚くしており、輸出量は近年大きく増加しています。特にアジア諸国では、日本の鶏卵の「生食できる安全性」と「鮮度」が評価されています。

4 秋の風物詩、外食産業の「月見商戦」

 国産鶏卵の消費動向を語る上で、毎年秋に外食産業で展開される「月見商戦」は大きなトピックスです。毎年の十五夜シーズン(旧暦8月15日)に合わせて、大手ハンバーガーチェーン、牛丼チェーン、カフェなど多業態の飲食店が、たまご(目玉焼き風、半熟卵、温泉卵など)を月になぞらえた期間限定商品を一斉に発売します。
 これは、食欲の秋と重なる時期に、消費者の間で「月=たまご」という認識が定着していることを示すものであり、季節限定ながらも鶏卵の需要を大きく押し上げる要因の一つとなっています。ハンバーガーから和食に至るまで、多様なメニューに活用できるたまごの汎用性の高さと、季節感を演出する力が、この商戦の活況を支えています。この需要期に向けて、国産鶏卵の安定供給と安全性の維持は極めて重要となります。

5 鶏卵をめぐる昨今の情勢

 近年、養鶏の生産現場は、配合飼料価格の高止まりやエネルギー・資材費の上昇といった逆風にさらされています。また、令和4年シーズンに続き6年シーズンにも高病原性鳥インフルエンザが広域的に発生し、多くの農場で全羽処分を余儀なくされました。経営の再開や供給の回復には、一定の猶予が必要です。これからも持続可能で安定した鶏卵の供給が行えるよう、官民連携の取り組みが進められています。

6 おわりに 〜国産のたまごで豊かな生活を!〜

 国産のたまごは、何より「毎日の暮らしを支える身近な栄養インフラ」であり、世界に誇れる「Japan egg(TAMAGO)」として、安全性とおいしさを兼ね備えています。物価高の折にも、手頃な価格で上手にたんぱく質を確保でき、老若男女が同じ食卓で楽しめる食品です。
 11月5日の「いいたまごの日」を機に、ぜひ国産のたまごを使った料理をもう一品、食卓に加えてみてください。
 
【食卓で試したい「もう一品」のたまご活用術】
・朝食の栄養価アップに:毎日のトーストに目玉焼きやゆで卵を添える。
・味噌汁・スープに:仕上げに溶き卵、温泉卵を入れて風味とコクを増す。
・サラダを主菜級に:野菜サラダにゆで卵やポーチドエッグを割り添え、たんぱく質摂取量を底上げして栄養バランスを良くする。
・時短で満足度アップ:ご飯に国産たまごをかけて、安全・安心な卵かけごはん(TKG)を味わう。
 
 小さな一手が、生産現場を支え、地域を元気にし、皆さまの健康づくりにも直結します。これからも、安全でおいしい国産鶏卵を安定してお届けできるよう、業界一丸となって努めてまいります。引き続きのご理解とご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。