都府県の生乳生産量、14カ月ぶり前年同月比1.0%増
令和7年8月の生乳生産量は、60万4090トン(前年同月比2.0%増)と6カ月連続で前年同月を上回った(図1)。地域別では、北海道が36万1925トン(同2.8%増)となり、13カ月連続で前年同月を上回った。また、都府県でも24万2165トン(同1.0%増)と、14カ月ぶりに前年同月を上回った。
8月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは31万607トン(同1.5%減)と、前年同月を下回った。このうち、業務用向けについては2万2881トン(同5.9%減)と、3カ月連続で前年同月を下回った。
乳製品向けは28万9875トン(同6.3%増)と、6カ月連続で前年同月を上回った。これを品目別に見ると、クリーム向けは5万9234トン(同1.3%増)と3カ月ぶりに上回った。一方、チーズ向けは3万5771トン(同2.8%減)と、3カ月連続で下回った。一方、脱脂粉乳・バター等向けは、14万6224トン(同11.5%増)となり、13カ月連続で前年同月を上回った(農畜産業振興機構調べ「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
全国の牛乳生産量、前年同月比1.1%減
8月の牛乳等生産量を見ると、飲用牛乳等のうち牛乳は、24万5447キロリットル(前年同月比1.1%減)と前年同月を下回った。成分調整牛乳は前年割れが継続しており、1万7542キロリットル(同8.6%減)となった。また、加工乳については、1万1378キロリットル(同1.9%減)と、3カ月ぶりに前年同月を下回った。
はっ酵乳は8万6012キロリットル(同2.7%減)と、3カ月ぶりに下回った。
8月のバター在庫量、前年同月比18.5%増
8月のバターの生産量は5777トン(前年同月比13.2%増)と、前年同月をかなり大きく上回り、6カ月連続の増加となった(図2)。一方、出回り量は6392トン(同9.7%減)と3カ月連続で下回った(農畜産業振興機構調べ)。在庫量については、12カ月連続で前年同月を上回り、8月末は3万2585トン(同18.5%増)となった(図3)。
8月の脱脂粉乳在庫量、前年同月比28.6%増
8月の脱脂粉乳の生産量は、1万2453トン(前年同月比14.0%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図4)。一方、出回り量は1万584トン(同14.1%減)とかなり大きく下回り、7カ月連続で減少した(農畜産業振興機構調べ)。8月末の在庫量は、6万5471トン(同28.6%増)と大幅に上回り、9カ月連続で上回った。(図5)。
輸入枠数量、6月の検証結果を据え置き
農林水産省は令和7年9月12日、令和7年度の指定乳製品等の国家貿易による輸入枠数量の検証結果を公表した。これによると、現時点では、本年12月の最需要期までに小売りで欠品に至るまたはバター全体が過剰となる恐れについて、積極的に評価する状況にはないことから、本年1月に設定した輸入枠数量(生乳換算で13万7000トン(注))にとどめ、品目別内訳を据え置くこととした。当機構は、今回の検証結果を踏まえ、引き続きバター等の入札を実施する予定である。
(酪農乳業部 天野 明日香)