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海外需給【豚肉/EU】畜産の情報 2025年11月号

25年上半期の豚肉生産量は増加も、価格は低下傾向

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25年6月の豚肉生産量、前年同月比5.1%増
 欧州委員会によると、2025年6月の豚肉生産量(EU27カ国)は、167万3980トン(前年同月比5.1%増)とやや増加した(図1)。これは、豚と畜頭数が1744万9530頭(同3.7%増)と前年同月をやや上回ったことに加え、1頭当たりの枝肉重量も95.93キログラム(同1.3%増)とわずかに増加したことが影響した。また、同年上半期(1〜6月)の豚肉生産量は、前年同期比3.2%増とやや増加した(表1)。
 




 
 豚肉生産上位2カ国の状況を見ると、多大な豚肉処理能力を有するスペインは、域内からの生体豚輸入を増やしたことで、25年上半期の豚肉生産量は前年比7.3%増とかなりの程度増加した。生体豚の輸入は、子豚の約7割をオランダから、肥育豚の約5割をポルトガルとフランスから行っており、それぞれ前年同期比で1.5倍以上増加させている。なお、オランダからスペインへ向けた子豚の輸出量は、25年1月以降ドイツ向け同輸出量を上回って推移している。一方、ドイツは、口蹄疫やアフリカ豚熱により域外向け豚肉輸出が制限される中、イタリア、ポーランドおよびオランダなど域内向け輸出の増加により、生産量が前年同期比1.9%増加した。
 
25年8月の豚枝肉卸売価格、需要減で低下
 欧州委員会によると、2025年8月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比3.0%安の1キログラム当たり2.02ユーロ(355円:1ユーロ=175.97円(注))となった(図2)。同価格は2カ月連続で前月を下回った。
ドイツでのわずかな下落(前月比0.6%安)をはじめ、ほぼすべての主要生産国で下落が見られ、中でも夏季休暇需要が終盤に差し掛かっているスペインでは同4.5%安となっている。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年9月末TTS相場。




 
25年7月の豚肉輸出量、前年同月比0.8%増
 欧州委員会によると、2025年7月のEU域外への豚肉輸出量(EU27カ国)は、17万1867トン(前年同月比0.8%増)と4カ月ぶりにわずかに増加した(表2)。この結果、同年1〜7月期の同輸出量は前年同期比0.4%減となった。一方、輸出先第1位の中国が、暫定的なアンチダンピング関税を同年9月10日から発効したため、今後の輸出量減少や輸出価格の下落圧力が強まることが想定される。これは、アンチダンピング調査期間の終了予定となる同年12月16日まで継続することが見込まれる。
 



 
(調査情報部 渡辺 淳一)