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海外需給【牛乳・乳製品/米国】畜産の情報 2025年11月号

25年8月の生乳生産量は増加、同月のバター・チーズ卸売価格は増産で下落基調

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25年8月の生乳生産量は前年同月比3.2%増
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2025年8月の乳用経産牛飼養頭数は952万頭(前年同月比1.9%増)とわずかに増加した(図1)。これは、乳価が堅調に推移していることや、後継牛価格の上昇により乳牛群の更新が難しい中、乳用経産牛を保留する傾向が強まっていることが要因とされている。同月の生乳生産量は、乳用経産牛飼養頭数および1頭当たり乳量(同1.4%増)の増加により、885万4000トン(同3.2%増)とやや増加した(図2)。
 





 
 
25年8月のバター卸売価格は前年同月比27.2%安
 米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2025年8月のバター卸売価格は、生乳生産量や生乳に含まれる乳脂肪分増加によるバター供給量の増加から、1ポンド当たり2.29米ドル(1キログラム当たり757円:1米ドル=149.88円(注)、前年同月比27.2%安)と前年同月を大幅に下回り、22年以降の最安値となった(図3)。また、同月のチーズ卸売価格は、生乳生産量の増加に加え、新規加工施設の稼働に伴う生産能力の向上から、同11.0%安の同1.81米ドル(同597円)とかなり大きく下回った。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2025年9月末TTS相場。
 



 
25年7月の乳製品輸出量、脱脂粉乳は減少もチーズやバターは増加
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2025年7月の乳製品輸出量は、乳脂肪分ベースでは前年同月比33.0%増と大幅に増加し、無脂肪ベースでは同2.8%減とわずかに減少した。
 品目別に見ると、脱脂粉乳(NDM)は東南アジア向け輸出が減少したため、5万9800トン(同15.7%減)とかなり大きく減少した(表)。一方、ホエイはメキシコや東南アジア向けの輸出増により、1万6300トン(同18.6%増)と大幅に増加した。チーズおよびバターは、欧州産などに比べ価格優位性があることから、チーズは5万2100トン(同29.3%増)、バターは8400トン(同約3.1倍)といずれも大幅に増加した。
 



 
(調査情報部 小林 大祐)