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海外需給【牛乳・乳製品/中国】畜産の情報 2025年11月号

生乳価格は引き続き下落、主要乳製品輸入量は脱脂粉乳を除き増加

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25年8月の生乳価格、前年同月比5.6%安
 中国農業農村部によると、2025年8月の生乳価格は1キログラム当たり3.02元(63.96円:1元=21.18円(注1)、前年同月比5.6%安)と前年同月をやや下回った(図1)。
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年9月末TTS相場。



 
 
 この要因について同部は、25年9月に公表した「農産物需給動向分析月報(2025年8月)」(以下「月報」という)の中で、1)気温の低下に伴う乳用牛の暑熱ストレス緩和による生乳生産量の回復、2)アイスクリームなど季節商品の消費量減少による生乳の供給過剰−としている。また、今後の生乳価格についても、生乳の供給過剰は当面続くことから、短期的には下落が続くとしている。
 
25年1〜8月の乳製品輸入量、脱脂粉乳を除きいずれも増加
 2025年1〜8月の乳製品主要8品目の輸入量は、脱脂粉乳を除く7品目で前年同期を上回った(表)。乳製品輸入量の増加要因について中国農業農村部は、9月に公表した月報の中で、1)高水準にある豚飼養頭数(注2)を背景とした豚飼料向けホエイの需要増加、2)茶飲料業界やベーカリー業界の急速な拡大によるクリームやバターなどの需要増加―といった個別要因を挙げつつ、現在の中国の乳製品製造能力では、急速に拡大するこれら乳製品の国内需要に対応できないためとしている。
 
(注2)『畜産の情報』2025年10月号「生産能力調整措置などから子豚価格は下落傾向、前年同月比18.6%安」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_003910.html)をご参照ください。
 


 
 中国政府は25年3月27日、国産生乳の消費拡大などを目的に、滅菌乳(常温保存牛乳)の原料として生乳のみの使用を義務付け、全粉乳などの使用は認めないとする国家基準「全国食品安全基準のうち牛乳(滅菌乳)」の改正を行い、同年9月16日に施行された。同基準が施行される前の8月までの全粉乳輸入量は前年と比較して大きな影響は見られないが(図2)、同輸入量は中国の乳製品輸入量の約2割を占め、例年40万トンを超える量が輸入されていることから、今後の動向が注目される。
 



 
(調査情報部 平山 宗幸)