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海外需給【牛乳・乳製品/EU】畜産の情報 2025年12月号

バター価格が引き続き下落も、生乳取引価格は高水準で推移

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25年8月の生乳出荷量は前年同月比2.8%増
 欧州委員会によると、2025年8月の生乳出荷量(EU27カ国)は1239万6000トン(前年同月比2.8%増)と、わずかに増加した(図1、表1)。現地報道によると、1)良質な牧草の生育に適した気象条件、2)高水準で推移する生乳取引価格、3)24年に発生したブルータングによる分娩の遅れ−などが出荷量の増加の背景にあるとされている。なお、同委員会によると、同月の乳脂肪分は4.03%(同0.04ポイント増)、無脂乳固形分は3.44%(同0.06ポイント増)であった。
 




 
 
25年9月の生乳取引価格は前年同月比8.0%高
 欧州委員会によると、2025年9月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり53.56ユーロ(1キログラム当たり96円:1ユーロ=179.81円(注)、前年同月比8.0%高)と17カ月連続で前年同月を上回った(図2)。好調な価格を維持している背景には、同月のバター価格が下落した一方で、チーズやホエイなどの価格が比較的安定していたことがあるものと考えられる。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年10月末TTS相場。
 



 
バター価格、25年10月に入り600ユーロを下回る
 欧州委員会によると、2025年10月26日の週の製品別乳製品価格(EU27カ国の平均)は、バターが100キログラム当たり574ユーロ(1キログラム当たり1032円、前年同期比25.6%安)と、24年5月第2週以来で初めて、600ユーロ(1079円)を下回った(図3)。米国産バターの価格下落の継続や、ニュージーランド(NZ)産バターに対する価格競争力の低下により、EU産バターの価格の下落が継続している。このほか、全粉乳が同356ユーロ(同640円、同14.7%安)、脱脂粉乳が同216ユーロ(同388円、同13.1%安)と、いずれも前年同期をかなり大きく下回った。一方、チーズは同439ユーロ(同789円、同5.5%高)と、前年同期をやや上回った。
 また、乳固形分の増加もあり、同年1〜8月期のEU27カ国のバター生産量は148万200トン(前年同期比3.5%増)と増加しており、8月単月で見るとバター生産量は17万2100トン(前年同月比8.4%増)とかなりの程度増加しており、同月の生乳出荷量の増加分は、主にバターおよび脱脂粉乳の生産に仕向けられたものとみられる。
 現地報道によると、米国のチーズ価格が低下傾向にあることから、EU27カ国のチーズ価格にも下落圧力がかかっている。このため、一部の域内チーズ製品では、価格の下落が始まっている。なお、2025年(1〜8月)のEU域外からのチーズ輸入量は12万8075トン(前年同期比4.9%増)とやや増加している。輸入先を主要国別に見ると、英国産が7万2767トン、スイス産が3万8568トンであり、また、米国産は1053トン、NZ産にあっては、前年(1〜12月)の輸入実績がわずか505トンであったが、6652トンと大幅に増加している。
 


 
(調査情報部 渡辺 淳一)