25年9月の国産トウモロコシ価格、国内需給を反映してわずかに下落
中国農業農村部は2025年10月24日、「農産物需給動向分析月報(2025年9月)」を公表した。これによると、25年9月の国産トウモロコシ価格は、前月からわずかに下落した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、供給面では、主産地での収穫開始により市場への供給量は増加した。一方、需要面ではコーンスターチ製造企業の需要低下から在庫補充の動きも少なく、工場稼働率も5割程度に低下する中で、全体的な需給はやや軟調とされる。9月下旬の全国の主要コーンスターチ製造企業の製品在庫量は、前年同期比28.9%増の114万トンと高い水準にあることが報告されている。今後、収穫が進むにつれて、国産トウモロコシ価格は段階的な下落圧力が生じるものの、輸入が大幅に減少していることに加え、備蓄による価格調整政策の支えもあり、同価格は適正な水準を維持すると見込まれている。
輸入トウモロコシ価格を見ると、養豚主産地の中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着価格は、25年9月が前月同の1キログラム当たり2.12元(47円:1元=21.97円(注))となった。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.36元(52円、同0.8%安)とわずかに下落したことで、輸入と国産の価格差は縮小した。
25年9月の国産大豆価格、新穀の収穫開始も様子見からわずかに下落
2025年9月の国産大豆価格は、前月からわずかに下落した(図2)。同月の大豆需給を見ると、大豆市場は旧穀と新穀の切り替え時期にあり、取引業者は様子見の状況とされている。国慶節後の10月10日以降は産地での収穫がピークを迎え、市場への供給増が見込まれるが、輸入大豆のコストが高いことを考慮すると、当面の国産大豆価格は安定的な推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、25年9月が1キログラム当たり4.08元(90円、前年同月比12.6%安)と前年同月をかなり大きく下回ったものの、3カ月連続で前月水準を維持した。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同4.66元(102円、同8.6%安)と前年同月をかなりの程度下回ったものの、前月水準を維持した。さらに、同月の輸入大豆価格は同3.98元(87円、前月比同)となり、輸入と国産の価格差は縮小した。
国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年水準を上回っている。25年(1〜8月)の輸入量は7331万トン(前年同期比4.0%増)とやや増加した。また、輸入額は同9.5%減の325億9400万米ドル(5兆553億円:1米ドル=155.10円(注))と報告されている。主な輸入先はブラジル(総輸入量の71.9%)、米国(同22.9%)、カナダ(同1.3%)であり、ブラジルからの輸入が増加している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年10月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)