(1)肉用牛・牛肉の需給見通し
ア 牛群の縮小が続く
2026年1月1日時点の乳用種を含めた牛総飼養頭数は8616万頭(前年比0.4%減)と、減少幅は縮小しているものの、依然として牛群の縮小は継続している(表1、図2)。内訳を見ると、経産牛は3718万頭(同0.3%減)で、前年並みであったものの、このうち肉用種は2761万頭(同1.0%減)とわずかな減少となった。一方、未経産牛のうち肉用繁殖後継牛頭数は471万頭(同0.9%増)と、わずかに増加した。
25年の年間子牛出生頭数は3290万頭(同1.6%減)と、わずかに減少した。
26年1月1日時点のフィードロット飼養頭数は1145万頭(同3.2%減)と、やや減少した。肥育もと牛の供給がひっ迫する状況は継続し、フィードロット飼養頭数は26年も減少することが予測されている。25年の生体牛輸入頭数は98万頭(同52.1%減)と、大幅に減少した。これは、ラセンウジバエなどの影響により、メキシコからの輸入が一時停止したことが要因である。米国はメキシコから毎年110万〜120万頭の生体牛を受け入れていたが、24年末に国境を閉鎖した後、25年の初めに一時的に再開したものの、すぐに再閉鎖している。
米国の牛総飼養頭数は19年以降、減少傾向が続いている。26年の分娩予定頭数は296万頭(同1.4%増)とわずかに増加すると予測されているものの、牛群再構築には時間を要するとみられることから、短期的に大きく牛の飼養頭数が回復するような状況は見通すことができないとしている。なお、牛の飼養頭数の回復については、4で現地の聞き取り結果を含め、詳細を説明する。
イ 牛肉生産量は減少後、横ばいとなる見込み
2025年の牛肉生産量は1179万4000トン(前年比3.6%減)と、やや減少した(図3)。主な要因として、フィードロットからの供給減少により、と畜頭数が前年比6.4%減とかなりの程度減少したことが挙げられる。一方、平均枝肉重量は24年に続き、25年も同3.0%増と増加傾向が続いている。これは、飼料価格の下落により肥育により増加する生体重量1ポンド当たりの収入がコストを上回り、肥育期間が延長されているためである。
26年の牛肉生産量は1170万7000トン(同0.7%減)と、わずかに減少する見通しである。
ウ 肥育牛平均価格は引き続き上昇見込み
2025年の主要5地域
(注1)の肥育牛平均価格は、1キログラム当たり4.94米ドル(795円、前年比19.9%高)と、大幅に上昇した(図4)。
また、26年は同5.33米ドル(857円、同7.9%高)と、かなりの程度上昇すると見込まれる。堅調な牛肉需要と子牛供給頭数が限られることを背景に、肥育牛価格は高水準で推移すると予測されている。
(注1)1)テキサス州、2)オクラホマ州、3)ニューメキシコ州・カンザス州・ネブラスカ州・コロラド州、4)アイオワ州、5)ミネソタ州。
エ 牛肉輸出はかなり大きく減少、今後も減少見通し
2025年の牛肉輸出量は116万9000トン(前年比14.3%減)と、近年続く減少傾向の中で、かなり大きく減少した(図5)。
米国産牛肉の主要輸出先は、メキシコやカナダのほか、日本、韓国、台湾、香港、中国などのアジア市場である。25年には、香港を除く主要輸出先向けの輸出量はいずれも減少した。中でも中国向け輸出は、前年比で67.5%減と大幅に落ち込み、これは米中間の貿易摩擦や輸出施設登録の失効などが影響したものとみられる。
26年の牛肉輸出量は108万6000トン(同7.1%減)と、かなりの程度減少する見通しである。この要因としては、米国内の牛群縮小に伴う生産量の減少などにより、国産牛肉の輸出価格の上昇が見込まれることが挙げられる。
オ 国内生産減少を背景に牛肉輸入は増加
2025年の米国の牛肉輸入量は248万2000トン(前年比18.0%増)と、大幅に増加した(図6)。米国内のと畜頭数の減少により、特に加工用赤身肉の供給がひっ迫しており、主要供給国の豪州、ブラジル、ウルグアイ、メキシコからの輸入量が増加し、数量面で全体の増加をけん引した。また、欧州ではアイルランドおよび英国からの輸入量が大幅に減少したものの、オランダおよびフランスからの輸入量は前年度に引き続き増加した。26年の牛肉輸入量は、加工用赤身肉の堅調な需要が継続し、257万4000トン(同3.7%増)とやや増加すると見込まれている。
(2)養豚・豚肉の需給見通し
ア 豚総飼養頭数はわずかに増加
2025年12月1日時点の米国の豚総飼養頭数は7541万5000頭(前年比0.5%増)となり、わずかに増加した(図7)。
母豚は全米で前年比1.7%減とわずかに減少しており、インディアナ州やミネソタ州など一部の州で増加が見られたものの、ペンシルベニア州やミズーリ州などでは減少が目立った。一方、肥育豚は全米で同0.6%増とわずかに増加しており、アイオワ州、ネブラスカ州、オハイオ州などが増加をけん引した。
この結果、肥育豚の増加が母豚の減少を相殺する形となり、米国の豚総飼養頭数は前年をわずかに上回った。
イ 生産性の向上が豚肉生産量を下支え
2025年の繁殖母豚群は過去のピークを下回る水準で推移しており、コスト環境や収益性の制約から大幅な拡大は見込まれ難いとされている。一方、一腹当たり平均産子数は増加傾向にあり、生産性が向上している。この結果、豚肉の生産量はおおむね安定的に推移している。25年の一腹当たり平均産子数は、年間平均で約11.8頭と、前年の年間平均約11.7頭(前年比0.9%増)からわずかに増加し、高水準で推移している(図8)。26年についても、この増加傾向が続くと見込まれている。
25年の豚肉生産量は、繁殖母豚群の減少により1250万9000トン(同0.8%減)と、わずかに減少した。
26年については、繁殖母豚群がおおむね横ばいで推移する一方、生産性の向上が供給を下支えすることで、1282万6000トン(同2.5%増)と、やや増加が見込まれている(図9)。
ウ 豚肉輸出量はわずかな増加見込み
2025年の豚肉輸出量は316万2000トン(前年比2.2%減)と、わずかに減少した(図10)。メキシコ向けやその他中南米向けが増加した一方、主要輸出先であるカナダ、中国、韓国、豪州向けは減少に転じた。特に中国向けは、20年に94万743トンと前年比で約2倍に増加したものの、その後は年々減少傾向にあり、25年には15万5667トン(同25.8%減)と、大幅に減少した。
日本向け輸出は、円安や現地相場高の影響を受けて22年以降減少基調にあり、25年は前年比8.9%減と、かなりの程度減少した。
26年の米国の豚肉輸出量は、生産量の拡大や、為替環境の好転と欧州での豚の疾病にに伴う特定の市場へのアクセス改善を背景に、325万9000トン(同3.1%増)と、やや増加すると見込まれている。
エ 豚肉輸入量はわずかな増加見込み
2025年の米国の豚肉輸入量は50万6000トン(前年比2.8%減)と、わずかに減少した(図11)。豚肉の主要輸入先であるカナダからの輸入量は前年比1.5%減とわずかに減少したものの、シェアは依然として約62.5%を占め、高水準を維持している。
26年の米国の豚肉輸入量は、競争力のある小売価格や生産量の増加を背景に消費の拡大が見込まれることから、51万9000トン(同2.6%増)と、わずかに増加すると予測されている。
オ 肥育豚平均価格はほぼ横ばい見込み
2025年の肥育豚の平均価格は、1キログラム当たり1.52ドル(245円、前年比8.5%高)と、かなりの程度上昇した(図12)。これは、特に第3四半期に疾病の影響で豚出荷頭数が減少したことにより、豚肉価格が上昇したことが主な要因である。
26年の肥育豚平均価格は、供給増加が見込まれるものの、国内外における堅調な需要が肥育豚価格を下支えし、1キログラム当たり1.54ドル(248円、同1.7%高)と、わずかに上昇する見通しである。
(3)肉用鶏・鶏肉の需給見通し
ア 鶏肉生産量はわずかな増加見込み
2025年の鶏肉生産量は、処理羽数の増加や1羽当たりの重量の増加によって2177万6000トン(前年比2.2%増)とわずかに増加した(図13)。種鶏(GP)の1羽当たりのひな生産羽数の向上も、この増加に貢献している。26年も飼料が安価であること、種鶏によるひな生産効率が引き続き向上傾向にあること、鶏肉需要が好調であることなどから、鶏肉生産量は2209万トン(同1.4%増)とわずかな増加が見込まれている。
イ 鶏肉輸出量は前年と同水準の見込み
2025年の鶏肉輸出量は、302万6000トン(同0.1%減)と、23年比でかなりの程度減少した前年と同水準となった(図14)。26年は国内生産量が増加するものの、旺盛な国内需要に加えて、ブラジル産鶏肉との競合により、鶏肉輸出量は302万6000万トン(前年同)と見込まれている。
ウ 肉用鶏平均価格はわずかな下落見込み
2025年の肉用鶏平均価格は、下半期の国内供給量の拡大に伴い、1キログラム当たり2.75米ドル(442円、前年比3.6%安)とやや下落した(図15)。26年は堅調な国内需要を背景に、年平均で同2.73米ドル(439円、同0.6%安)とわずかな下落にとどまると見込まれている。
(4)採卵鶏・鶏卵の需給見通し
ア 食用鶏卵生産量はやや増加する見込み
2025年の鶏卵総生産量は、24年10月〜25年4月にかけて流行した高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の影響などにより、87億7100万ダース(前年比3.0%減)と前年をやや下回った(図16)。このうち、食用鶏卵生産量も75億ダース(同3.3%減)と前年をやや下回った。26年の食用鶏卵生産量は、採卵鶏羽数の回復により、78億6000万ダース(同4.7%増)と前年をやや上回ると見込まれている。
イ 鶏卵価格は大幅な下落見込み
2025年の食用鶏卵価格(鶏卵卸売価格)は、HPAI発生に伴う採卵鶏の処分により鶏卵の供給が急激にひっ迫したことに加え、イースター(復活祭)やホリデーシーズンの需要が重なったことにより、第1四半期が1ダース当たり6.75米ドル(1086円、前年同期比2.6倍)と高騰したものの、第2四半期以降は下落し、第4四半期には同1.92米ドル(309円、同53.1%安)と前年同期を大幅に下回った(図17)。26年の平均卸売価格は、年間を通じて新たな疾病の発生がないことを前提に、同1.17米ドル(188円、前年比68.6%安)と前年平均を大幅に下回ると見込まれている。
ウ 鶏卵輸出量は大きく回復する見込み
2025年の鶏卵・鶏卵製品輸出量は、価格の高騰と鶏卵供給の減少などから、殻付き換算で2億300万ダース(前年比14.1%減)とかなり大きく減少した(図18)。26年の輸出量は、国内の鶏卵供給が回復し輸出価格が下落すると見られることから、2億6000万ダース(同27.9%増)と大幅な増加が見込まれている。
(5)酪農・乳業の需給見通し
ア 乳用経産牛頭数は前年を上回る見込み
乳用経産牛飼養頭数は、乳牛の供用期間延長などにより、2025年に急速に増加し、26年1月1日時点では、956万8000頭(前年比2.0%増)となった(図19)。26年の飼養頭数は、乳価の下落により年間を通じて減少が見込まれるものの、1月1日時点での飼養頭数が高水準であるため、25年を上回る水準となるとみられている。
イ 生乳生産量はわずかに増加見込み
2025年の生乳生産量は、乳用経産牛頭数の増加に加え、1頭当たり乳量も1万1057キログラム(前年比0.8%増)とわずかに増加したことから、1億496万トン(同2.4%増)と増加した(図20、21)。26年の生乳生産量も、1頭当たり乳量の増加(同0.5%増)により、1億619万トン(同1.2%増)とわずかに増加すると見込まれている。
ウ 平均総合乳価はかなりの程度下回る見込み
2025年の平均総合乳価は、生乳および乳成分の生産量が増加したことに加え、チーズをはじめとする乳製品の国内製造能力の増加に伴う供給増から、1キログラム当たり0.47米ドル(76円、前年比6.1%安)と前年をかなりの程度下回った(図22)。26年も0.43米ドル(69円、同7.1%安)と、前年をかなりの程度下回る見通しである。
エ 乳製品輸出量、乳脂肪分ベースが増加見込み
2025年の乳製品輸出量は、価格競争力のあるバターおよびチーズがけん引し、乳脂肪分ベースで759万5000トン(前年比41.4%増)と大幅に増加した。一方、脱脂粉乳など無脂乳固形分ベースでは、乳脂肪とは異なり価格競争力の低下により海外からの需要が弱まったことから、2185万2000トン(同1.4%減)とわずかに減少した(図23)。
26年の乳製品輸出量は、価格競争力を維持すると見られる乳脂肪分ベースでは816万5000トン(同7.5%増)と前年に続き増加すると見込まれるが、無脂乳固形分ベースは2190万9000トン(同0.3%増)と前年並みが見込まれている。