牛飼養頭数、9年連続で減少
欧州委員会によると、2025年12月時点のEUの牛飼養頭数(EU27カ国)は、7153万頭(前年比0.5%減)と9年連続で前年を下回った(表1)。同委員会は、この減少傾向について、EUおよび各加盟国における将来の規制動向を巡り、生産者が先行きに不確実性を感じていることの表れであるとの認識を示している。
25年の牛肉生産量、と畜頭数減少を受け、前年比4.1%減
欧州委員会によると、2025年の牛肉生産量(EU27カ国)は631万トン(前年比4.1%減)とやや減少した(表2)。これは、同年のと畜頭数が2110万頭(同5.8%減)と減少したことによる影響が大きい。米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、と畜頭数の減少は、1)牛群縮小に伴う子牛生産の減少により、と畜に供する牛が減少したこと、2)同年第1〜3四半期(1〜9月)にかけて高乳価が続いたことを背景に、搾乳牛の保留が進んだこと−が主な要因とされている。さらに、エネルギー、労働力および土地などのコスト上昇によって生産者の所得が圧迫されていることのほか、環境規制やアニマルウェルフェアへの対応、家畜疾病や後継者不足なども影響しているという。また、同委員会は、相対的に低い飼料価格や高水準の牛肉価格が続く中、26年は年初から生乳取引価格が急落しているため、一時的にと畜頭数が増加する可能性に言及するものの、現状に根本的な変化が見込めないことから、牛群縮小とと畜頭数の減少傾向は継続し、牛肉生産量も減少すると予測している。
26年3月の枝肉卸売価格、前年同月比13.3%高
2026年3月の牛枝肉平均卸売価格
(注1)は、1キログラム当たり7.16ユーロ(1352円、1ユーロ:188.87円
(注2)、前年同月比13.3%高)となり、記録的な高値水準が続いている(図)。牛枝肉価格の高止まりは、前述の通り牛群の縮小が続き、構造的に牛肉供給が減少していることが背景にあるとみられる。
(注1)若雄牛(A)、去勢牛(C)および若齢牛(Z)のうち枝肉の格付けが上(R)、枝肉の脂肪の付着度合が平均的(5段階中3)なものの平均価格(A/C/Z-R3)。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年4月末TTS相場。
25年の牛肉輸出量は減少、輸入量は増加
2025年の牛肉輸出量は、41万9656トン(前年比12.4%減)とかなり大きく減少した(表3)。域内の牛肉価格が高値で推移したことによる国際市場での価格競争力の低下に加え、牛肉生産量の減少が影響したものである。品目別に見ると、冷蔵牛肉は同9.9%減、冷凍牛肉は同18.2%減と、いずれも前年を下回った。
一方、同年の牛肉輸入量は32万4245トン(同18.6%増)と大幅に増加した(表4)。品目別では、冷蔵牛肉が同8.8%増、冷凍牛肉が同37.8%増となった。域内需給のひっ迫により牛肉価格が史上最高水準に達する中、主要輸入先である南米産の冷蔵・冷凍、英国産の冷凍を中心に輸入が拡大している。
(調査情報部)