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海外需給【牛肉/豪州】畜産の情報 2026年9月号

牛価格は高値を維持するも、主要輸出市場で関税措置の影響が顕在化

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高水準を維持する若齢牛価格、下落を不安視する声高まる
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2026年7月28日時点で1キログラム当たり1002豪セント(1152円:1豪ドル=114.99円(注1))と、1000豪セント以上の高水準で推移している(図1)。
 

 
 5月からの継続的な降雨により、牧草肥育(グラスフェッド)業者の需要が継続しており、牛価格の高止まりの要因となっている。現地アナリストによると、と畜頭数が堅調な中で牛価格が上昇している現状は、牛の供給ひっ迫に伴う価格上昇という従来のパターンとは異なり、高い輸出需要に支えられたもので、生産者にとって最高の市場環境であるとされる。
 一方、1)エルニーニョ現象の発生による7月以降の少雨、2)主要輸出先である中国・韓国向けの牛肉に追加関税が課されたことによる両市場向けの供給減少と、他市場でのブラジル産牛肉との競争激化−などが予測されることから、価格下落の懸念が高まっている。実際に、最終製品価格の軟化傾向が報告されており、米国向け加工用牛肉(90CL:赤身率90%のひき肉)価格は、昨年11月に記録した1キログラム当たり約13豪ドル(1495円)から、現在は約11豪ドル(1265円)まで下落している(図2)。

(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年7月末TTS相場。
 


 
26年6月の牛肉輸出量、中国向けが急減も全体では高水準を維持
 豪州農林水産省(DAFF)によると、2026年6月の牛肉輸出量は14万6798トン(前年同月比9.1%増)と、同年5月の過去最高記録(15万2438トン)からは3.7%減少したものの、高水準を維持している(表)。



 
 輸出先別に見ると、米国向けは4万9207トン(同39.2%増)と大幅に増加し、単月として過去最高を記録した。中国が豪州産牛肉の輸入に対するセーフガード(以下「SG」という)枠超過に伴う55%の追加関税(注2)を課したことで、中国向け輸出の拡大に制約が生じる中、米国市場が有力な輸出先として機能したとみられている。中国向けを見ると、7814トン(同71.3%減)と大幅に減少しており、現地アナリストは、今後の輸出は割当枠の対象外となる内臓などの品目が中心になるという見方を示している。
 米国向けと同様に、韓国向けも3万2599トン(同68.5%増)と大幅に増加し、単月として過去最高を記録した。中国向け輸出の減少や、韓豪自由貿易協定(FTA)における豪州産牛肉の輸入に対する特別SG枠(注3)発動を見越した駆け込み需要が、今回の記録更新の背景にある。韓国関税庁は26年7月21日、豪州産牛肉の輸入数量が同SG枠を超過したことを発表しており、今後は関税率が24%に引き上げられることから、輸出への影響が懸念されている。
 また、業界の最も大きな懸念は、ブラジル産牛肉の米国市場へのさらなる流入にある。MLAによると、6月末時点で中国のブラジル産牛肉の輸入に対するSG枠の消化率は79%に達しており、未通関分を含めると、基準数量を超過するとの見方も出ている(図3)。ブラジル産牛肉の中国向け輸出の減少分が低価格で米国市場に流入した場合、豪州産牛肉の最大市場である米国における競争が激化し、輸出全体に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。そのような中、日本、インドネシア、中東、英国、カナダなどの代替市場への関心が高まっている。日本向けも2万4012トン(同9.8%増)と増加基調にあるものの、中国および韓国向け輸出の減少に加え、ブラジル産牛肉との競合によって生じる需給緩和の影響を他市場がどの程度吸収できるかが、今後の輸出動向を見通す上での重要なポイントになると考えられる。

(注2)詳細については、海外情報「中国、豪州産牛肉に対しセーフガードを発動(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004383.html)をご参照ください。
(注3)詳細については、海外情報「韓豪FTAは2014年内に発効予定、豪州牛肉産業に恩恵(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_001150.html)をご参照ください。
 
 
(調査情報部)