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海外需給【牛肉/豪州】畜産の情報 2026年10月号

牛価格は需給緩和で調整局面、中国の関税措置を受け輸出先の再編に注目

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若齢牛価格は下落傾向、輸出市場の変化を受け調整局面へ
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2026年8月26日時点で1キログラム当たり978豪セント(1141円:1豪ドル=116.65円(注1))と、一時的に上昇しているものの、7月中旬以降は全体として下落傾向が続いている(図1)。



 
 現地アナリストによると、この価格下落は、主要輸出先である中国と韓国の豪州産輸入牛肉に対するセーフガード(以下「SG」という)の発動という輸出市場の不透明感に市場が反応した結果とされている。また、今後の見通しについては複数の見解が示されているが、米国向けをはじめとする輸出需要は依然として堅調であることから、現状の肉牛価格の動向は長期的な下降トレンドへの転換ではなく、市場が今後の方向性を見極める調整局面に入ったことによるものと分析している。

(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年8月末TTS相場。
 
豪州のと畜頭数は約50年ぶりの高水準、牛肉生産量は過去最高を更新
 豪州統計局(ABS)が公表した統計によると、2025/26年度(7月〜翌6月)の豪州の成牛と畜頭数は959万7200頭(前年度比8.1%増)と1978年以来の高水準となり、牛肉生産量は298万5000トン(同8.6%増)と過去最高を更新した(図2)。MLAは、ここ数年の恵まれた天候による牛群頭数の増加や、堅調な豪州産牛肉に対する需要が記録更新に寄与したと説明している。




 
 直近となる26年8月第3週の成牛と畜頭数は、15万172頭(前年同期比2.4%増)と前年同期を上回ったが、7月以降は減少傾向に転じている(図3)。しかしながら、現地報道は、複数の食肉加工処理業者がと畜の予約状況などから需給の緩和を感じているものの、9月以降の予約は十分確保されており、今後も現在の水準が維持される見通しとしている。なお、業界では加工処理コストの上昇が懸念事項として浮上しており、国際競争力の維持・向上に向けて、官民一体となった取り組みの重要性が指摘されている(注2)。

(注2)詳細については、海外情報「高まる豪州の牛肉加工コスト、競合国との差は縮まるも規制面に課題(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004415.html)をご参照ください。
 
 
 
26年7月の牛肉輸出は底堅く推移、日・米・韓が中国向け余剰分の受け皿に
 豪州農林水産省(DAFF)によると、2026年7月の牛肉輸出量は、14万3962トン(前年同月比4.3%減)と減少したものの、依然として底堅い需要を示している(表)。
 

 
 輸出先別に見ると、上位3市場のうち米国向けは4万7989トン(同11.5%増)、韓国向けは2万9068トン(同39.3%増)、日本向けは2万6135トン(同13.4%増)と、いずれも大きく増加した。SG(注3)の発動により、中国向けが6458トン(同79.1%減)と大幅に減少する中、これらの市場が受け皿として機能したとされている。特に日本は、信頼性の高い牛肉市場として、その重要性が改めて認識された。
 今後の見通しについては、7月21日に発動した韓国の豪州産牛肉に対するSG(注4)の影響に加え、中国向け輸出の減少に伴う輸出先の再編がどのように進むのか注目されている。また、米国ホワイトハウスは現地時間の8月26日、米国の消費者に手頃な価格の牛肉を供給するため、牛ひき肉製品に対する輸入関税を90日間停止すると発表した。発表内容によると、同措置は9月1日から適用され、月間最大10万トンを上限に先着順に割り当てられる。また、米国内でひき肉に転用される正肉は対象とならず、輸入時点でひき肉になっているものが対象となる。豪州産牛肉については、豪米自由貿易協定(FTA)により、すでに米国向け輸出関税が免除されていることから、今回の措置により最大の恩恵を受けるのは、競合国で26.4%の関税が課せられているブラジルとの見方が強い。今後は、米国市場におけるブラジル産牛肉との競争環境の変化が、豪州の輸出動向を左右する重要な要因となると考えられる。

(注3)詳細については、海外情報「中国、豪州産牛肉に対しセーフガードを発動(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004383.html)をご参照ください。
(注4)詳細については、海外情報「韓豪FTAは2014年内に発効予定、豪州牛肉産業に恩恵(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_001150.html)をご参照ください。

 
(調査情報部)