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平成22年度でん粉の需要実態調査の概要

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最終更新日:2011年5月6日

平成22年度でん粉の需要実態調査の概要
〜需給ひっ迫を受け、仕入価格が上昇傾向〜

2011年5月

調査情報部

はじめに

 でん粉は、製品の主原料となることは少ないものの、その用途は、食品や工業品など多岐にわたっている。わが国で消費されているのは、コーンスターチ、ばれいしょでん粉、かんしょでん粉、タピオカでん粉などの天然でん粉および天然でん粉から生産される化工でん粉であるが、原料作物の違いにより特性が異なるため、ユーザーはそれぞれの用途に応じたでん粉を使用している。

 こうした状況を踏まえ、当機構では、でん粉の需要実態を把握するため、各天然でん粉と化工でん粉を調査対象として、平成22年度でん粉需要実態調査を行ったので、その概要を報告する。 なお、異性化糖を含む甘味料の需要実態調査については、砂糖類情報2011年6月号に掲載する予定であるので併せてご覧いただきたい。 

1.調査概要

 食品分野(水産練製品、即席麺、はるさめ、片栗粉、スープ、菓子、冷凍食品、調味料、ハム・ソーセージ、製パン)のでん粉使用企業29社に対して、2010年(1〜12月)におけるコーンスターチ、国内産ばれいしょでん粉、国内産かんしょでん粉、タピオカでん粉、輸入ばれいしょでん粉および化工でん粉などの使用状況について調査を行った。調査項目は、使用しているでん粉ごとに、(ア)使用動機(イ)調査対象年およびその前年の仕入量と今後の見込み(ウ)仕入価格とその動向(エ)そのでん粉種に対する評価(オ)ほかの種類のでん粉などへの切り替えの可能性とし、聞き取りにより調査した。

 また、糖化製品用にでん粉を使用している企業8社に対しても、仕入量の動向を把握するため、聞き取り調査を行った。

2.調査結果

(1)コーンスターチ 〜供給量の減少に伴い、価格は上昇〜

 
 
2010年の状況

 コーンスターチを使用していたのは21社で、水産練製品、即席麺、はるさめ、片栗粉、スープ、菓子、冷凍食品、調味料、ハム・ソーセージ、製パンなど幅広い製品分野で使用されている。

 使用理由としては、「風味や食感が良くなる」、「とろみを引き出す」、「増粘・増量に必要」、「食品の機能性向上」などが挙げられた。

 これら21社における2010年の仕入量の合計は約6400トンで、前年比0.2%の減少となった。企業別では、前年に比べて増加した企業は2社、前年並みだった企業は15社、減少した企業は4社であった。増加理由は、「商品販売量の増加」が多く挙げられたが、「相対的にみて高値ではあるものの、ほかのでん粉より価格的に優位である」とする声も聞かれた。一方、減少した主な理由は、「商品の売上減少に伴う仕入減少」が挙げられた。

 2010年の仕入価格については、供給量の減少に伴い、多くの企業で値上がりしたとの声が聞かれた。

 このほか、糖化製品にとうもろこしまたはコーンスターチを使用した企業は8社で、2010年の仕入量の合計は、タピオカでん粉の値上がりや猛暑による異性化糖需要の伸びにより3.6%増加した。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が9社、減少を見込む企業が1社、売上に比例する企業が4社となった。概ね、横ばいとする企業が多い中で、本来ならば積極的に使用数量を増加させたいものの、とうもろこし価格の高騰により数量確保が難しいとの意見も聞かれた。

(2)国内産ばれいしょでん粉 〜品質を高く評価〜

 
 
2010年の状況

 国内産ばれいしょでん粉を使用していたのは21社で、水産練製品、はるさめ、片栗粉、スープ、菓子、冷凍食品、調味料、ハム・ソーセージなど幅広い製品分野で使用されている。

 使用理由としては、「製造上必須」であるとの声のほか、「食感の向上」、「つなぎ」、「増粘・増量」に加え「国産訴求」などが挙げられた。

 仕入量について回答のあった20社における2010年の仕入量の合計は約1万7400トンで、前年比8.6%の増加となった。企業別では、前年に比べて増加した企業は5社、前年並みだった企業は14社、減少した企業は1社であった。増加理由は、「国産回帰」、「値上げ前の特需」などであった。一方、減少した理由は、「玉不足」、「値上がりのため」などが挙げられた。

 2010年の仕入価格については、供給量の減少に伴い、多くの企業で値上がり基調にあることがうかがわれた。 品質に関しては、「物性が良い」、「強い弾力」、「高い安全性」、「食感(舌触り、歯ごたえ)」、「安定していて白度が高い」、「緑豆に比べてもっちり」、「有機(JAS)格付け製品は品質が非常に高く売上増に寄与」など高く評価されている。一方、猛暑によるばれいしょ不作に伴う供給減のため、需給がひっ迫し品薄感のため、数量確保が厳しいとの意見が聞かれた。

 このほか、糖化製品に使用した企業は6社で、2010年の仕入量を前年と比べると、猛暑による異性化糖の需要が伸びたとして増加した企業もあったが、全体としては原料不足による調達難のため7.9%減少した。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が4社、横ばいを見込む企業が11社、減少を見込む企業が3社、売上に比例する企業が4社となった。今後の販売増を目指して積極的に仕入量を増やそうとする企業があった一方で、昨今の品薄感から数量確保を不安視する企業が多く、本来ならば増加したいが現状を維持出来ればよいとする企業もあった。また、売上見合いであることや、季節性の要因も影響するため、読み切れないとの意見も聞かれた。

(3)国内産かんしょでん粉 〜使用する企業は限定的〜

 
 
2010年の状況

 国内産かんしょでん粉を使用していたのは7社で、はるさめ、片栗粉など特定の製品分野で使用されている。 使用理由としては、「創業以来こだわって使用」、「地域に豊富にある材料」、「食感向上」、「一部の食品との相性がよい」などを挙げており、主に西日本の企業で積極的に使用されている。

 仕入量について回答のあった6社における2010年の仕入量の合計は約1500トンで、ほぼ前年と等量であった。企業別の増減では、仕入量が前年に比べて増加した企業は1社、前年並みだった企業が5社であった。増加理由は、商品の販売増であった。

 仕入価格については、ほかのでん粉の値上がりを受けて連れ高となっている企業が多かった。

 品質に関しては、「匂いの問題もなく品質が向上した」とする意見がある一方で、依然として「品質が不安定」、「臭気がある場合もある」、「色が黒っぽい」など指摘する意見も一部で聞かれた。 このほか、糖化製品に使用した企業は3社で、2010年の仕入量は前年と同量であった。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が1社、横ばいを見込む企業が3社、減少を見込む企業が1社、売上に比例する企業が3社となった。現在、使用していないが「国内産ばれいしょでん粉が品薄ということもあり、安定的に入手できれば使用を検討したい」とする企業がある一方、「コストメリットがない」、「流通量が国内産ばれいしょでん粉ほど多くないため、安定調達が不安視される」などの意見も聞かれた。

(4)タピオカでん粉 〜数量確保が懸念材料〜

 
 
2010年の状況

 タピオカでん粉を使用していたのは11社で、水産練製品、即席麺、片栗粉、スープ、菓子、冷凍食品、ハム・ソーセージ、製パンなどの製品分野で使用されている。

 使用理由としては、「デザート向けのモッチリ感」、「増粘・増量に必要」、「冷凍に適している」などに加えて、「ほかのでん粉より価格が魅力」との声もあった。 仕入量について回答のあった10社の2010年の仕入量の合計は6000トンで、前年比3.1%の増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は2社、前年並みだった企業は8社であった。増加理由としては、主に「商品の売上増加」によるものであったが、「化工でん粉の添加物指定による振替」を挙げたものもあった。一方、減少した主な理由は、商品の売れ行きによるものであった。

 仕入価格については、主産国タイにおける害虫被害による減産で2009年末から上昇傾向となっており、2010年は多くの企業で値上がり基調にあることがうかがわれた。タイの減産見込みや政情不安については、今後の数量確保に対する企業の不安を増幅させている。既に各企業は対応を検討し始めており、カントリーリスク回避のため、タイ以外のベトナムなどの仕入先を増やす傾向がみられた。

 品質に関しては、「食感」、「もちもち感、こし、耐老化性の高さ」などにおいて高く評価されている。一方、「生産国の政情不安は拭えない」、「異物混入などデリバリーに問題がある」、「虫食いによる数量減」などの意見が聞かれた。

 このほか、糖化製品に使用した企業は4社で、2010年の仕入量を前年と比べると価格上昇の影響で減少したが、その減少分については、コーンスターチで代替している。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が6社、減少を見込む企業はなく、売上に比例するとした企業が2社となった。 増加予測の要因としては、「ばれいしょでん粉の減少を補うため」などの声が聞かれた。しかしながら、タピオカでん粉価格が高騰する中、価格次第ではほかのでん粉に切り替える可能性を示唆する企業もあるため、今回得られた見通しどおりとなるかは不透明である。

(5)輸入ばれいしょでん粉 〜世界気候変動の影響を受け品薄感〜

 
 
2010年の状況

 輸入ばれいしょでん粉を使用していたのは10社で、水産練製品、即席麺、片栗粉、スープ、冷凍食品、調味料、ハム・ソーセージ、製パンなどの幅広い分野で使用されている。

 使用理由としては、「とろみを出すため」など物性に加えて、「国内産ばれいしょでん粉と比較して価格面で魅力」など価格優位性を示す声が挙げられた。 仕入量について回答のあった9社における2010年の仕入量の合計は約2700トンで、前年比1.2%の増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は2社、前年並みだった企業は6社、減少した企業は1社であった。

 仕入価格については、寒波の影響からヨーロッパ産が品薄となっていることと、世界的な気候変動の影響などから穀物市場が強含んでいることに伴い、ほぼすべての企業で値上がりしたとの声が聞かれた。

 品質に関しては、「国内産にない特有の食感」などの意見がある一方、調達面での品薄を危惧していることや、「途上国の需要増に伴う調達リスク」を挙げる企業もあった。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業は無く、横ばいを見込む企業が6社、減少を見込む企業が2社、売上に比例する企業が1社となった。増減については、販売数量に比例するため一概に判断できないとする企業もあったが、概ね前年並みとの見方が大方を占めた。

(6)化工でん粉 〜食品添加物指定の影響により需要減〜

 
 
2010年の状況

 化工でん粉を使用していたのは12社で、水産練製品、菓子、冷凍食品、調味料、製パンなどの幅広い分野で、各種の化工でん粉が使用されている。

 使用理由としては、「食感の改善」、「製品にマッチする特定の化工でん粉を選択できる」など物性を評価する一方、ほかのでん粉と比べた場合の価格優位性を示す声が挙げられた。

 仕入量について回答のあった10社における2010年の仕入量の合計は約3100トンで、前年比9.4%の減少となった。これは、一部のメーカーが、化工でん粉を使用する場合、原材料表示が食品添加物の扱いとなるので、これを避けるためタピオカでん粉に切り換えたことによるものである。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は1社、前年並みだった企業は7社、減少した企業は2社であった。

 仕入価格については、ほとんどの企業が上昇しており、前年並みとする企業も先高感を危惧していた。

 品質に関しては、「特有の物性(食感、こし、固さ)」、「安全面での評価」、「価格面で優位」とする意見がある一方、「品薄感」、「価格上昇」を危惧する意見も聞かれた。


今後の見通し

 今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が3社、横ばいを見込む企業が4社、減少を見込む企業が2社、売上に比例する企業が1社となった。増減については、基本的に使用品目の売上の増減に左右されるとの見方が大方を占めたものの、ばれいしょでん粉の不足分を補うために使用するとの意見も一部あった。

まとめ

 でん粉需給は国際的にひっ迫しており、本調査においてもその傾向は顕著にみられた。特にばれいしょでん粉、タピオカでん粉については、減産による価格上昇などが使用企業の懸念事項となっている。

 そのような中、本調査では、現在使用しているでん粉の種類を切り替えることについては、消極的な姿勢が大勢を占めた。この理由には、配合は変えない、商品の風味・特性を変えられない、レシピで固定されている、物性から難しい、ライン・表示変更によるコスト増、品質保持、国産にこだわるなどさまざまな意見が得られた。しかしながら、一部では、品質の均一化や安定供給が行われるなら、国内産いもでん粉への切り替えを検討したいとの動きもみられた。国産いもでん粉のシェア拡大のためには、今後も競合する外国産でん粉の動向に注視していく必要があろう。

 最後に、ご多忙の中、本調査に対してご協力いただいた各企業に、この場を借りて厚くお礼を申し上げる次第である。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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