エタノールの需給トピックス
最終更新日:2012年12月10日
エタノールの需給トピックス
2012年12月
米 国
環境保護庁、バイオエタノールの混合義務の免除要請を退ける
シカゴ商品取引所における10月のエタノール平均価格は前月から変わらず、リットル当たり0.63ドルとなった。
環境保護庁(EPA)は11月16日、再生可能燃料基準(RFS)に基づくガソリンへのバイオエタノール混合義務の免除を行わないことを決定した。今年、米国は70年来とも言われる干ばつに見舞われ、トウモロコシ価格が高騰している。トウモロコシ価格の高騰による食料価格や畜産分野への影響が懸念される中、アーカンソー州知事などがEPA長官に対し混合義務の免除を要請していた。
EPAは今回の決定に当たり、RFSに基づくエタノールの混合義務が米国の農業分野に与える影響については農務省と、エネルギー分野に与える影響についてはエネルギー省と共に経済的影響の分析を行っており、義務を免除した場合、農業分野についてはトウモロコシ価格への影響は1ブッシェル当たり7セント(トウモロコシ価格の1%にも満たない)程度であり、エネルギー分野については家庭のエネルギーコストへの影響はないとした。EPAは、2005年のエネルギー政策法で、州や地域、米国の経済に著しい損失を与える場合にあっては、混合義務の免除を行うことが認められているが、今回の分析ではこの基準を満たす証拠が得られなかったとしている。
ブラジル
10月のエタノール輸出は前月に引き続き高水準
10月のエタノール平均価格は、含水エタノールが前月比4.7%安(米ドル換算5.7%安)のリットル当たり1.01レアル(0.50米ドル)、無水エタノールは同6.7%安(米ドル換算6.8%安)の同1.12レアル(0.55米ドル)に下落した。価格の下落は、主産地の中南部地域でさとうきびの収穫が進み、エタノール供給量が増加したためとみられる。
10月のエタノール輸出量は49万2000キロリットルと前月に引き続き高水準となり、前年同月と比べ約2倍に増加した。輸出の大半は米国向けである。輸出の増加は、米国産エタノールに比べブラジル産の価格が安いこと、また、米国のバイオ燃料政策において先端的バイオ燃料の使用義務数量が引き上げられたことが要因とみられている。米国では、ブラジルのさとうきび由来のエタノールは先端的バイオ燃料として認められている。
E U
10月のエタノール価格は前月から下落するも、依然として高い水準
10月のエタノール平均価格は、米国産エタノール価格が8月の高値水準から下落していることを受け、前月比8.2%安(米ドル換算7.4%安)のリットル当たり0.67ユーロ(0.87米ドル)となった。価格は下落したものの、2012年6月以前の価格が同0.60ユーロ前後で推移していたことを考えると、依然として高水準である。
資料:LMC “Monthly Sugar Report, November 2012”
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