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地域だより

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最終更新日:2013年11月6日

かんしょでん粉工場における平成25年産操業開始について

2013年11月

鹿児島事務所 谷 貴規

 
 平成25年9月下旬から鹿児島県内の各でん粉工場において順次操業が開始され、平成25年産かんしょでん粉の製造が本格化している。大隅半島の鹿屋市に位置し、鹿児島きもつき農業協同組合(以下「JA鹿児島きもつき」という。)が運営するJA鹿児島きもつき新西南工場の原料搬入の様子および生育状況について調査したので報告する。
 同工場は、10月1日から操業を開始し、10月29日時点での原料用かんしょの搬入数量は、約7,200トンであり、平年に比べ不作だった昨年同日時点と比べ約1割少ない。これは、台風による雨の影響などで収穫が遅れているためと考えられている。
 
 
 大隅半島における今年産のでん粉原料用かんしょの生育状況は、不作だった昨年産より日射量が多く、全体として平年並みとされている。4月以前に早植えされたものは、活着が良く平年並みからやや良いと言われている一方、5月以降に植え付けされたものは、植え付け直後の少雨の影響により生育が遅れ、早植えに比べ収量が低くなると懸念されている。

 同工場の中村工場長によると、「今年産は、干ばつによる被害に加え、害虫被害も一部のほ場で見受けられており、葉を食害され光合成が十分に出来なかったかんしょのでん粉含有量の少なさが危惧されている。11月以降に搬入されるのは、5月以降に植え付けされたかんしょも含まれてくるため、収量性が懸念される。収穫終了までの天候により収量およびでん粉含有量が回復するよう期待している。」とのことである。

 同工場では、今年産から、食品用途向け新品種「こなみずき」の受け入れを始め、食品利用した際に独特な食感や耐老化性などの特性を持つ高付加価値でん粉の製造を開始する予定である。今年産は、5ヘクタールのほ場で作付けされ、約150トンのこなみずき原料を受け入れる計画である。かんしょでん粉の生産量を確保するため、一般食品用途向けへの販路拡大が期待されている。

  かんしょは3年連続の不作となっていたが、今年産の県下の生育状況は、全体的に平年並みと見込まれていることから、生産量が回復することを大いに期待している。また、高齢化などの影響で作付面積が減少する中、当機構としては、生産回復によりでん粉原料用かんしょ生産者の生産意欲が向上し、来年産以降の作付面積が増加するとともに、生産者およびでん粉製造事業者の経営安定につながることを強く願っている。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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