でん粉 でん粉分野の各種業務の情報、情報誌「でん粉情報」の記事、統計資料など

ホーム > でん粉 > でん粉の国際需給 > 2.日本の品目別主要輸入先国の動向

2.日本の品目別主要輸入先国の動向

印刷ページ

最終更新日:2015年1月9日

2.日本の品目別主要輸入先国の動向

2015年1月

 本文中の日本円換算に用いた為替レートは11月末日TTS相場の値であり、1米ドル=119.23円、1タイバーツ=3.69円、1ユーロ=148.70円である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

 米国農務省(USDA)が12月10日に公表した「2014/15穀物年度(9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通し(12月予測)」によるトウモロコシの需給動向などは次のとおり。

【需給動向】
トウモロコシ由来の甘味料の需要増により国内消費量は上方修正

 2014/15穀物年度のトウモロコシの総供給量は、前月予測と変わらず156億6800万ブッシェル(3億9797万トン、前年度比6.0%増)となった。USDAの「Crop Progress(11月24日公表)」によれば、主要18州の収穫進捗率は94%であり、記録的な大豊作は確定的とみられている。

 一方、消費については、いわゆるコーンシロップやコーンシュガーと呼ばれるトウモロコシ由来の甘味料の需要が増えるとの予想から、総消費量は前月予測を1000万ブッシェル上回る136億7000万ブッシェル(3億4722万トン、同0.9%増)となった。また、期末在庫量が下方修正され、19億9800万ブッシェル(5075万トン、同61.7%増)と、20億ブッシェルを下回る予想となった(表2)。

【価格動向】
下値、上値ともに前月予測と変わらず

 2014/15穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、下値、上値ともに前月予測と変わらず、1ブッシェル当たり3.20〜3.80米ドル(381円〜453円)としている(表2)。
 
【貿易動向:トウモロコシ】
9月の輸出量は、5カ月連続で前月を下回る

 2014年9月のトウモロコシ輸出量は406万6650トン(前年同月比97.5%増、前月比4.5%減)となり、5月以降、5カ月連続して前月を下回った。米国産トウモロコシの輸出量は、割安感を受けて2013年10月ごろから増加し始め、2014年1月以降さらに急増したが、増加幅が大きかったことから一服感が出てきたこと、また、他の主要輸出国の価格も下落し、米国産の競争力が低下したことなどが減少の要因とされる(図3−1、図3−2)。2014年9月の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

メキシコ 111万3613トン (前年同月比69.0%増、前月比15.2%増)
日本 103万2450トン (同91.3%増、同2.1%増)
韓国 35万2569トン (同203倍、同57.8%減)
中国 1万225トン (同97.2%減、同36.7%減)

 また、同年1〜9月の輸出量は、4034万7067トン(前年同期比196.0%増)となった。同期間の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

日本 1058万7080トン(前年同期比119.5%増)
メキシコ 813万5972トン(同116.0%増)
韓国 443万230トン(同41倍)
中国 20万2560トン(同86.3%減)

 中国は、2013年11月以来、一部の米国産トウモロコシの輸入を認めていないこと(注)から、同国向け輸出量は大幅に減少した。

 なお、同年9月の輸出価格(FAS)は、前月に比べ5.2米ドル安の1トン当たり194.9米ドル(2万3238円、前年同月比23.7%安、前月比2.6%安)と、引き続き低水準で推移している。

(注)中国は、2013年11月18日、米国産トウモロコシから未承認のGM種子であるMIR162が検出されたとして、それ以降、輸入の際に検査を行い、MIR162の混入がないと認められたもののみが輸入されている。
 
【貿易動向:コーンスターチ】
9月の輸出量は、22カ月連続で前年を下回る

 2014年9月のコーンスターチ輸出量は、7005トン(前年同月比19.3%減、前月比3.7%増)となり(図4)、22カ月連続で前年割れとなっている。これは、コーンスターチそのものを輸入するより、原材料であるトウモロコシを輸入し、自国でコーンスターチを製造することが増えていることによる。同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

カナダ 2702トン (前年同月比13.8%減、前月比2.4%減)
ドイツ 536トン (同45.3%増、同63.4%増)
メキシコ 334トン (同66.5%減、同39.7%減)
英国 200トン (同74.6%減、同70.9%増)
日本 197トン (同159.2%増、同7.1%減)

 また、同年1〜9月の輸出量は、6万8078トン(前年同期比21.0%減)となった。同期間の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

カナダ 2万2336トン (前年同期比17.7%減)
メキシコ 6872トン (同42.2%減)
ドイツ 4987トン (同1.7%増)
英国 4259トン (同63.4%減)
日本 1391トン (同49.1%減)

 なお、同年9月の中西部市場のコーンスターチ価格は、前月に比べ1.1セント安の1ポンド当たり3.71セント(4.4円、前年同月比53.4%安、前月比22.2%安)となっている。コーンスターチ価格は、原料であるトウモロコシ価格の安値を受けて2013年7月以降大幅に下落し、低水準で推移している。
 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
キャッサバの供給不足状態が続く

 タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、11月に入りでん粉含有量の回復はみられるものの、コメの収穫が優先され、キャッサバの収穫に遅れが見られることなどにより、いまだキャッサバの供給は需要に追い付いていない状況となっている。

 現地報道によると、農業協同組合大臣とタピオカ関係の4団体は、農家支援指針に関して協議し、2017年までにキャッサバ生産量を年間3000万トンから4000万トンに増産することなどを目標に掲げた推進計画を策定することで合意した。この計画では、土壌改良、適切な施肥の実施、品種改良、機械化により生産性の向上を図る指針が示され、12月中に農業普及局から具体策が発表される予定である。

【価格動向】
国内価格、輸出価格ともに前年を上回って推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2014年12月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、前月に比べ0.2バーツ安の1キログラム当たり13.3バーツ(49.08円、前年同月比3.1%高、前月比1.5%安)、輸出価格(FOB・バンコク)は前月に比べ15バーツ安の1トン当たり430米ドル(5万126.9円、同2.4%高、同3.4%安)と前年同期を上回っている(図5)。
 
【貿易動向】
輸出量は前年に比べ大幅増

 2014年10月のタピオカでん粉輸出量は、32万3932トン(前年同月比25.1%増、前月比1.4%増)となった(図6)。同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

中国 17万9512トン (前年同月比14.2%増、前月比3.4%減)
インドネシア 5万4284トン (同338.2%増、同43.0%増)
台湾 3万532トン (同0.1%減、同17.3%増)
マレーシア 1万5719トン (同12.5%増、同40.3%減)
日本 1万2712トン (同39.1%増、同98.2%増)

 また、同年1〜10月の輸出量は、248万7915トン(前年同期比30.0%増)となった。同期間の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

中国 129万1568トン (前年同期比46.1%増)
インドネシア 28万9979トン (同31.4%増)
台湾 25万1786トン (同9.6%増)
マレーシア 18万7318トン (同19.0%増)
日本 11万9311トン (同18.4%増)
 

ベトナム

【生産動向】
キャッサバ作付面積は前年をやや上回る

 ベトナム農業農村開発省によると、2014年11月現在のキャッサバの作付面積は、前年同月比3.4%増の50万2850ヘクタールとなった(表3)。前年同月と比べて、北部では0.8%減、南部では5.5%増となっている。

 南部では、国内キャッサバ価格の上昇を受けて農家の作付意欲が高まったことなどから、作付面積は拡大傾向にある。特にタイニン省(南東地域)では、天然ゴムやサトウキビよりもキャッサバ価格が高いことで、今年度のキャッサバの生産面積は前年度に比べ30〜40%増加するとみられている。しかし、キャッサバは主に低地での作付が多いことから、洪水被害などを受けることが多々ある。このため、今年度のキャッサバ収穫量は、作付面積の増加率ほど増えることはないだろうとの見方も強い。
 
【貿易動向】
中国向け輸出量は9割を占める

 税関総局によると、2014年10月のタピオカでん粉輸出量は、14万6826トン(前年同月比2.7%増、前月比1.1%増)となった(図7)。このうち、中国向けは13万1055トン(同2.0%増、同4.2%減)と全体の9割近くを占めている。

 また、同月の輸出価格(FOB・ホーチミン)は、前月に比べ10ドル高の1トン当たり440米ドル(5万2461円、同2.8%安、同2.3%高)であった。

 なお、同月のキャッサバチップ輸出量は、8万6459トン(同64.7%増、同26.9%増)となり、国別に見ると、中国向けが6万959トン(同205.1%増、同48.1%増)、韓国向けが2万5200トン(同22.5%減、同6.6%減)と、中国向けが大幅に増加し、7割を占めるに至っている。

 中国ではキャッサバチップの多くがエタノール原料として用いられているが、最近、中国のエタノール価格は下落傾向にあると言われている。この要因として、化学工場のエタノール需要が減退していることなどが挙げられている。中国の景気減速感がさらに鮮明になれば、ベトナムおよびタイのキャッサバチップ、タピオカでん粉の輸出動向に影響が及ぶのは必至である。
 

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
輸出量は前年同月比2割減

 2014年8月のばれいしょでん粉輸出量は、1万5150トン(前年同月比25.2%減、前月比21.1%減)となった(図8)。同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

韓国 3983トン (前年同月比14.9%減、前月比6.1%減)
中国 1780トン (同7.3%減、同97.8%増)
米国 1096トン (同54.6%減、同41.3%減)

 2013年9月以降、輸出価格(FOB)は上昇傾向で推移しており、2014年8月は前月に比べ3.47ユーロ高の1トン当たり683ユーロ(10万1562円、同20.4%高、0.5%高)であった。2012年にばれいしょでん粉の生産割当制度(注)が廃止されたことによって、補助金収入の減少による収益の減少分が輸出価格に反映され、輸出価格の上昇を招いていると考えられる。

(注)ばれいしょでん粉の生産量は、各国ごとに生産割当数量が設定されており、でん粉原料用ばれいしょ生産農家とでん粉製造業者は、割当数量内で生産されたでん粉原料用ばれいしょとでん粉に対して補助金を受け取ることができた。
 

〜デンマークのでん粉原料用ばれいしょ生産の現状〜
 

 デンマークのでん粉原料用ばれいしょの生産を行う農家は、全てでん粉製造工場と契約を結んで栽培を行っている。2010年(全体で682戸)と2013年(同672戸)の栽培面積の規模別の農家数を見ると、2013年には最小規模の農家(10ヘクタール未満)は存在しなくなり、30.0〜49.9ヘクタールの農家数が増加している。また、200ヘクタール以上の大規模農家数は増加し、50.0〜99.9ヘクタールの中規模農家が減少している。これらにより、規模拡大は着実に進んでいるが、ある程度の規模の農家でも離農や、他の作物への転換を図る農家が存在すると考えられる。



 なお、農家規模別でん粉原料用ばれいしょの栽培面積の割合をみると、100ヘクタール以上の農家で8割以上を占めており、大規模農家への生産の集中が進んでいることが分かる。

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の、主要輸出国の主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下のとおり。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。

タイ

【貿易動向】
10月の中国向け輸出量は、前年同月および前月を大幅に上回る

 2014年10月の化工でん粉の輸出量は、9万113トン(前年同月比13.8%増、前月比2.7%増)となった(図9)。同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

日本 2万7252トン (前年同月比18.0%増、前月比10.9%減)
中国 2万5355トン (同24.0%増、同25.1%増)
インドネシア 5610トン (同28.0%減、同27.6%減)
 

米国

【貿易動向】
8月に引き続き日本向けが大幅増

 2014年9月の化工でん粉の輸出量は、3万8028トン(前年同月比8.6%増、前月比1.4%減)となった(図10)。同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

カナダ 7087トン (前年同月比17.6%増、前月比6.9%減)
日本 5272トン (同14.9%増、同29.3%増)
ドイツ 3671トン (同27.0%減、同12.8%減)
メキシコ 3467トン (同34.7%増、同4.2%増)
 

中国

【貿易動向】
前月に比べ、韓国向けは7割、全体では3割の増加

 2014年10月の化工でん粉の輸出量は、7942トン(前年同月比0.0%減、前月比34.2%増)となった(図11)。同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

韓国 3443トン (前年同月比0.6%増、前月比66.6%増)
日本 2730トン (同55.0%増、同21.9%増)
 

EU

【貿易動向】
輸出量は4カ月連続で減少

 2014年8月の化工でん粉の輸出量は、3万4792トン(前年同月比2.3%増、前月比9.9%減)となった(図12)。同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

トルコ 8311トン (前年同月比9.7%増、前月比10.4%減)
ロシア 4620トン (同5.8%増、同3.3%増)
中国 3488トン (同27.5%増、同17.6%減)
日本 2715トン (同5.0%減、同21.6%増)
 

豪州

【貿易動向】
10月の輸出量は前月比3割減

 2014年10月の化工でん粉の輸出量は、1156トン(前年同月比5.9%増、前月比28.7%減)となった(図13)。同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおり。

日本 494トン (前年同月比13.5%減、前月比46.2%減)
ニュージーランド 251トン (同41.8%増、同17.3%増)
台湾 144トン (前年同月は輸入実績なし、同11.1%減)
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713