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「これぞ小清水!! 実行委員会」の地域PR活動

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最終更新日:2015年7月10日

「これぞ小清水!! 実行委員会」の地域PR活動

2015年7月

これぞ小清水!! 実行委員会 副代表 秋田 憲人

団体設立のきっかけ

 北海道斜里郡小清水町は、オホーツク東部に位置する人口が約5300人の町である。小清水原生花園や濤沸湖(とうふつこ)、オホーツク海、藻琴山(もことやま)などの大自然に囲まれ、畑作農業が基幹産業である。しかし、人口の減少に伴い、小学校は統合されて1校になり、商店街は店をたたむところも目立ち、過疎化が進行している状況にある。

 このような現状に、「小清水の子供たちへ魅力ある町を残したい」「この町を盛り上げたい」という熱い気持ちを持つメンバーが集結し、町民の笑顔で町の活気を取り戻すべく、地場産素材を使った料理を提供する「小清水屋台村」を開催した。これが「これぞ小清水!! 実行委員会」(以下「実行委員会」という)の活動の始まりである。
 

実行委員会の理念

 実行委員会の理念は、「小清水」に育つ子供たちが郷土愛を深め、「小清水」に育ったことを誇りに想えるような魅力ある小清水を目指すことである。

 団体名称は、「これぞ小清水!」という町民自慢の郷土料理や特産品、食文化などをツールとして「小清水」の魅力を全国に発信し、町の発展につながる活動を行うことから名付けた。

 簡単に言うと、小清水町に生まれ育つ子供たちが、大人になった時に胸を張って、「小清水出身」と言えるような町にするために、町のPR活動を行っている。

 また、実行委員会には町内の20〜40代の23名が所属している。メンバーの職業は、飲食店経営者、パソコン関連技術者、郵便局員、電気技術者、畑作農家、酪農家、菓子製造業従事者、JA職員、役場職員と多様である。その道のプロが所属するので、屋台村の設営や電気配線工事、ポスター制作なども自前で行っている。

 本稿では、実行委員会の活動の原点である「小清水屋台村」、小清水の郷土料理「でんぷんだんご」の普及活動などについて紹介する。

活動の概要

 実行委員会では、地場産素材を生かした料理を提供する「小清水屋台村」を開催し、各回、郷土料理「でんぷんだんご」にちなんだ企画運営を行う他、地元飲食店と連携し、「でんぷんだんご」のご当地グルメ化に取り組み、普及活動を実施している。また、町内外イベントでの販売や、ゆるキャラ「でん坊」を製作し、地域・観光PRなどを行っている。取り組んだ活動については、ホームページやFacebookなどを活用して積極的に情報発信を行っている。

小清水屋台村

 実行委員会を結成してから約1カ月の準備期間を経て、2011年2月26日(土)、地元素材を生かした料理を提供する「第1回小清水屋台村」を開催した。

 町長をはじめ、農家や町内の企業の協力を得て、屋台やバンド演奏、「巨大でんぷんだんご作りに挑戦」などの企画を実施した。

 屋台の出店には、イベントの趣旨に賛同してくれた町内のJA女性部や飲食店の協力が得られ、十数店舗の屋台村となり、「でんぷんだんご」「じゃがいも洋風お好み焼き」「根菜シチュー」などが提供された。人気ランキング1位となったのは、町内の温泉施設が考案した、地場産鶏卵と長芋のふわふわオムレツと知床鶏の照り焼きを合わせた丼「ふわとろ丼」で、その後、施設のご厚意によりメニュー化された。

 メイン企画「世界一のでんぷんだんご作りに挑戦」は、準備期間が1カ月と短く、ギネス本社とのやり取りに苦労したが、多くの方に原料などの物資支援や寄付金を頂いて、来場者約700人が見守る中、重さ115.5キログラム、大きさ2.55メートル×1.25メートル、約千人分の巨大なでんぷんだんごを焼き上げることに成功した。この挑戦は多くのマスコミ報道により全国へ発信され、「小清水」が良質なばれいしょでんぷんの産地であることをPRする良い機会になった。

 これをきっかけに、ばれいしょでんぷんを原料とする「めんべい」を製造する株式会社山口油屋福太郎が、廃校となった浜小清水の北陽小学校を購入し、「ほがじゃ」製造工場とした。この「ほがじゃ」は、小清水産ばれいしょでんぷんと北海道の海の幸を生かしたでんぷん煎餅である。新銘菓の誕生によって、町の知名度は向上し、雇用創出などの経済効果を得た。
 

でんぷんだんごの普及に関する取り組み

 「でんぷんだんご」とは、小清水町の家庭で昔から食べられている郷土料理で、ばれいしょでんぷん、煮豆とその煮汁、塩を熱湯で良く練り、フライパンで両面をこんがりと焼いたものである。これは、昔、ばれいしょを「でんぷん」に加工し、長期間貯蔵できる技術が確立した頃、その余剰分で作られていたそうである。中はモッチリ、外はカリッとした食感で、煮豆の甘さが程よく感じられ、どこか懐かしい味わいである。そのおいしさが今に受け継がれている。

 現在、実行委員会では、主にこの郷土料理「でんぷんだんご」を小清水のご当地グルメとして全国へ発信するための普及活動に取り組んでいる。地元ですごく愛されている郷土料理なのに町内で提供している店が全く無かったことから、冷凍「でんぷんだんご」を町内の飲食店向けに商品化した。これに賛同した飲食店十数店が、各店工夫した「でんぷんだんご」を提供している。

 また、町を知ってもらい訪れるきっかけをつくるために、「さっぽろオータムフェスト」などのイベントに出店し、「でんぷんだんご」を販売している。きな粉やゴマのトッピング、皿と箸ではなく手で食べるスタンドパッケージ化など、新しい食べ方を提供し、食べやすい工夫をしてきた。準備や人手不足で年間を通してイベントに参加することは大変であるが、年々売り上げが増加していることから、知名度の向上に手応えを感じている。

 その他、小学校の放課後児童クラブ室と連携して、毎年、「でんぷんだんご」の作り方の指導や、創作「でんぷんだんご」と題して生徒自ら考えたさまざまなトッピングを試すなど、楽しみながら郷土の食文化に触れる講座を行っている。

 そして、PRの手法の一つとして、実行委員会で小清水の「ゆるキャラ」を製作した。名前を「でん坊」という。夏祭りなど町内イベントで子供たちに大人気。2013年10月、町から「小清水町特命職員」の辞令を受けた。架空の部署「じゃがいもでんぷん課」に配属され、元気な町づくりや小清水のPRを頑張っている。この「でん坊」は、オホーツクのゆるキャラが所属する「オホキャラ隊」にも入隊し、オホーツク管内のイベントを中心にPR活動を行っている。
 

これからの活動

 実行委員会を立ち上げた当初は、われわれの活動を理解できない人もいたと思う。しかし、前述のように実行委員会の活動を継続し、実績が伴うようになることで、周囲が応援してくれるようになってきた。北海道新聞社の「道新 地域元気大賞」、「わが村は美しく−北海道」運動第7回コンクール(北海道開発局主催)の優秀賞などの賞もいただいた。

 肝に命じていることは「活動の継続」である。

 嬉しい悲鳴であるが、今では町内外から実行委員会にいろいろなオファーが来るようになり、一任意団体では処理しきれなくなってきている。このままでは活動の継続の危機も。メンバーはそれぞれ仕事を持ち、家庭や他の活動もある。実行委員会はボランティアなので、メンバーの仕事や家族に影響することまでさせることはできない。

 これを解消するには、実行委員会だけの取り組みで終わることなく、これからは、小清水全体の底上げを考え、各団体ともっと連携し、活動の趣旨によっては任せたり、受けたりと活動の幅を広げ、周りと協調して小清水の活性化につなげていきたいと思う。

 最後になるが、今まで行ってきた取り組みが、実行委員会の理念に掲げた「町民の自信や笑顔」につながって子供たちに町を良い状態で渡すことができたらいいなと思う。

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寺西 徹能、坂上 大樹『小清水町産のばれいしょでん粉を利用したせんべい製造 』 砂糖類・でん粉情報(2014年2月号)
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