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鹿児島県における平成27年産原料用さつまいもの生産状況などについて

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最終更新日:2016年10月11日

鹿児島県における平成27年産原料用さつまいもの生産状況などについて

2016年10月

鹿児島県さつまいも・でん粉対策協議会

【要約】

 鹿児島県における平成27年産さつまいもの生産量は29万5100トン(対前年比88%)で、このうち、でん粉原料用さつまいもの生産量は11万6800トンであった(同92%)。

はじめに

 鹿児島県におけるさつまいもは、でん粉・焼酎の原料用や、青果用、菓子など加工用向けとして、普通畑の約2割に作付けされている。

 また、さつまいもの平成26年農業産出額は約177億円で、耕種部門では米に次ぐ第2位(構成比12%)であり(表1)、でん粉工場や焼酎工場などの関連産業を含め、地域経済を支える重要な品目であるとともに、台風などの気象災害にも耐えうる夏場の土地利用型作物として、輪作体系や防災営農の面からも重要な品目である。

 本稿では、27年産原料用さつまいもの生産状況やでん粉工場の操業状況について報告する。

表1 鹿児島県における平成26年の農業産出額(耕種部門のみ)

1.平成27年産さつまいもの生産状況

(1)作付面積

 平成27年産さつまいもの作付面積は、1万2400ヘクタール(対前年比93%)(図1)で、全国1位である(全国作付面積3万6600ヘクタールの34%)。

 このうち、でん粉原料用は4710ヘクタール(同98%)で、県全体の38%を占める。

図1 鹿児島県におけるさつまいもの作付面積、生産量の推移

(2)生産量

 平成27年産さつまいもは、5月中旬以降の長雨とこれに伴う日照不足により、茎葉が軟弱で生育も遅れたことから、10アール当たりの収量は2380キログラム(対平年比95%)となり(図2)、生産量は29万5100トンと過去最低となった。

 このうちでん粉原料用については、10アール当たりの収量は2480キログラム(同94%)(図2)、生産量は11万6800トン(対前年比92%)であった。

図2 鹿児島県におけるさつまいもの10アール当たり収量の推移

(3)用途別仕向け量

 鹿児島県におけるさつまいもの用途は、でん粉原料用と焼酎原料用が全体の9割以上を占めており、平成27年産では、でん粉原料用が全体の40%の11万6800トン、焼酎用が全体の52%の15万3900トン(注)の生産となる見込みである(表2)。

(注)焼酎用は各社の実績により,今後変動する可能性がある。

表2 鹿児島県におけるさつまいもの用途別仕向け量

2.でん粉工場の操業状況

 鹿児島県内のさつまいもでん粉工場は,主産地の南薩、大隅、種子島地域を中心に、農協系3工場、民間系13工場、合計16工場が操業している。

 しかしながら、さつまいもの不作も相まって、でん粉工場16工場の操業(処理)能力に対する原料の集荷率は平均で約5割と低い(図3)。操業能力に見合った原料確保に向け、面積の維持・拡大、単収向上に向けた取り組みを推進する必要がある。

図3 でん粉工場の操業率

おわりに

 鹿児島県さつまいも・でん粉対策協議会では、不作からの生産回復に向け、ウイルスフリー苗の利用を促進するとともに、健苗育成やマルチ栽培など基本技術の励行、病害虫対策の実践などを推進するチラシを作成・配布し、各地域の単収向上に向けた取り組みを支援している。

 平成28年度は、新たな取り組みとして、単収の安定化や栽培面積の維持・拡大に資するため、原料用さつまいも生産における優良農家の事例調査を実施している。

 また、実需者と生産者との実効性のある契約取引の実践に資するため、でん粉や焼酎などの用途別原料需要量の把握に努め、「28年産原料用さつまいもの需要見込(平成28年2月)」を関係機関に通知し、県・地域段階における需給・生産情報の共有化にも取り組んでいる。

 今後とも、関係機関・団体と一体となり、生産回復に向けた取り組みと、需要に応じた生産を推進していくこととしている。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713