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国産でん粉の販売状況等について

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最終更新日:2017年3月15日

でん粉情報

[2009年4月]

【話題】

全国農業協同組合連合会 園芸農産部 でん粉販売課
課長 阿部 光一


はじめに

 国産でん粉販売は、関税割当制度による抱き合わせ販売から価格調整制度に平成19年10月から移行し、新しい時代を迎えた。でん粉業界を取り巻く環境は、国内外の経済状況の変化、景気が低迷する中、大変厳しい局面を迎えている。

 このような中、国内における最近のでん粉の販売状況などについて概括し、国内産でん粉に求められている課題などについて報告する。


1.国産でん粉の供給量

(1) 平成20でん粉年度 ばれいしょでん粉:生産見込数量 22万5千トン

 北海道のばれいしょの作付面積は若干減少し、収穫量は6〜7月の少雨・干ばつのため生育が抑制されたが、その後の適量な降雨があり回復した。ばれいしょの着いも数は一定程度あるものの全般的に小玉傾向にあり、総じて平年並みの作柄となった。ただし、でん粉原料用ばれいしょは、生食用、加工用などへの生産シフトにより減少した。


(2) 平成20でん粉年度 かんしょでん粉:生産見込数量 4万6千トン

 主産地である鹿児島でのかんしょの作付面積は増加し、台風の被害もなく、作柄は良好と思われたが、薩摩半島の植え付け遅れによる小玉傾向があり、かんしょでん粉の生産数量は前年並みとなる見込みである。


2.国産でん粉の需要量

平成19でん粉年度 国産でん粉の消化数量

交付金対象販売数量  17万7千500トン(対前年比 92.1%)
固有用途販売数量 10万トン(対前年比 113.6%)
 計 27万7千500トン(対前年比 99.1%)

(1) 交付金対象用途の内訳を見ると、ばれいしょでん粉では糖化用、化工用、即席めん、水産養殖用餌料、板紙(製紙用)であり、かんしょでん粉では現在利用されているすべての用途が交付金の交付対象となっている。また、交付金交付対象のばれいしょでん粉、かんしょでん粉の販売数量は、それぞれ13万5千トン、4万2千500トンとなっている。


(2) 交付金対象販売数量は前年より減少しているが、平成18でん粉年度までは旧制度であったため単純な比較はできない。糖化用の使用数量は、平成19でん粉年度の12万5千トンを最大値として、今後この数量の範囲内で推移すると考えられる。


(3) かんしょでん粉の必要数量は4万トン/年であるが、品質の向上がなければこの数量は減少していくことが予想される。平成19でん粉年度の販売は、とうもろこし価格の高騰により、国産でん粉の価格に優位性が出て、比較的順調に販売できた。


3.糖化・コーンスターチ業界の状況

(1) シカゴのとうもろこし相場は、年末から年明けにかけて1ブッシェル当たり4ドル近辺であったが、最近は同3.5ドル近辺で推移している。


(2) 平成20年4月〜9月の異性化糖の出荷数量は、糖質ゼロ系飲料の逆風のなかであったが、好天に恵まれ対前年比102%となり大変好調に推移した。ただし、月別にみると8月まで大幅に伸びていたが、9月以降は大幅に減少し、10月以降は前年を下回っている。


(3) 糖化用国産でん粉の4月〜9月期売り出し数量6万トンは、糖化用コーンスターチ価格と比べた場合の割安感もあり、順調に販売することができた。また、10月〜3月期売り出し数量5万9千トンは、前述のとおり国産の割安感はなくなったため、一部販売の苦戦を強いられたが、NON−GMO原料としての評価もあり全量販売できた。


4.外国産でん粉の状況

(1) タイ産のタピオカでん粉は、景気後退によるEU、中国などの需要減少によりタイからのタピオカチップの輸出が大幅に減少していること、EUから安い小麦が中国、韓国へ輸出されていることなどにより、タイ国内の在庫が大幅に増加している。タイ政府がキャッサバの価格維持のため担保融資制度を実施したが、その効果は現れていない。


(2) 2008/09年産のEU産ばれいしょでん粉は豊作であり、適正在庫を上回る状況となっている。10月〜3月期の日本市場への売り込みは、様子を見ながらの販売となっていたが、年明け以降価格は大幅に下落してきている。


5.かんしょでん粉の販売情勢

 平成19年10月以降、国産でん粉の販売は抱き合わせ販売ではなくなり、全量交付金交付対象として販売する糖化用販売とその他食品用販売となった。


(1) 糖化用販売

平成19でん粉年度 3万3千トン(対前年比 67.3%)


ア.現在、かんしょでん粉を購入しているのは、かんしょでん粉の特性を評価しているメーカー、地域的にかんしょでん粉を購入したほうがメリットのあるメーカーとなっている。

 糖化用として、現在必要とされているかんしょでん粉の数量は、4万トン程度とされているが、今後この数量は減少していく可能性がある。


イ.コーンスターチメーカーは、かんしょでん粉を食品という位置づけで使用しており、かんしょでん粉と自ら生産しているコーンスターチ、タピオカでん粉、ばれいしょでん粉とを常に比較している。特に、食品メーカーの原料の品質に対する厳しさは想像以上のものであり、必ず品質規格書、品質保証書などの提示を求められる。


ウ.また、メーカー間の競争が激化している中で、自社の原料基準に合致した品質のかんしょでん粉を要求してきており、今後は抜本的に精製工程を改善し、異臭・異物を極力無くす努力が必要となる。さらに、かんしょでん粉納入の都度、成分分析を実施し、自社にあった工場の製品を指定してくる可能性もある。


(2) 食品用販売

平成19でん粉年度 1万トン(対前年比 100.0%)

 糖化用以外の用途としては、えびせんべい、春雨、水産養殖用餌料、オブラートなどの食品用があり、一部に工業用がある。


ア.食品メーカーは、多少品質が悪くても、購入価格がその他のでん粉より安価なこと、長年使用しているため別のでん粉に変更することをためらっていることなどにより継続して使用している。主要メーカーは、愛知県を中心としたえびせんべい、奈良県を中心とした春雨関係である。


イ.競合品であるタイ産のタピオカ化工でん粉は、EU、中国の需要の減少により日本向けに安価な輸出が増加している。一方、かんしょでん粉の販売価格は、糖化用価格に引きずられる形で大幅な値上げとなっている。このため、タピオカでん粉の使用を考えるメーカーも出てきており、今後の価格動向を注視している。


ウ.食品用の需要は、一定の価格でかつ品質が向上すれば必ず使用してもらえる分野であり、新規の用途開拓によってはさらに需要が増加することも考えられる。

 かんしょでん粉を使用しているメーカーは中小企業であり、フレキシブルコンテナバッグの導入は困難であり、25キロ紙袋の供給が前提となる。25キロ紙袋の製造には諸経費がかかるが、メーカーのニーズにあった製品の販売を実施する必要がある。


6.ばれいしょでん粉の販売情勢(糖化用以外)

販売実績

平成20年4月〜12月 11万7千470トン(対前年比 107%)
(前年実績 10万9千834トン)

交付金交付対象用途別実績

化工用 24,425トン
めん用 6,762トン
養殖用餌料用  641トン
板紙用 1,620トン
その他 84,022トン
117,470トン

(1) 即席めん関係

 製品値上げ後売れ行きは芳しくなく動きは停滞し、ほとんどのメーカーの販売数量は前年から1〜2割減少した。そのため、量販店はタピオカでん粉を使用した安価なプライベートブランド(PB)品を増やしている。カップめんは値上げ幅が大きいため、袋めんのほうに割安感が出てきている。


(2) 水産練製品

 高騰した原料すり身は需要減で荷余り感が出てきている。練り製品メーカーは、製品量目を減らすなどの方法により対応してきたが、結果としてそのことが需要減につながったようである。また、メーカーは量販店から安値納入を依頼されており、製造コストを抑えるためにEU産の安価な化工でん粉使用を検討している。


(3) 菓子類

 少子化が進みボーロ・菓子の需要は大幅に落ち込んでいる。また、えびせんべいの主要原料である各種でん粉は値上がりしており、メーカーは厳しい経営となっているが、ここへきての輸入化工でん粉の値下げにより、国産ばれいしょでん粉の価格引き下げの要求がでてきている。新潟の米菓業界は、地元の加工でん粉メーカーによる事故米穀の不正規流通の影響が大きく、風評被害による需要減少を懸念している。


(4) ミックス粉

 から揚げ粉は、中国冷凍餃子問題から国内加工が増加しており、過去最高の需要となっている。特に、コンビニ弁当向け需要が好調に推移している。製粉業界全体として、原料の先高予想から小麦粉製品販売を割当てにしていたが、今後価格が下がることなどからそうした動きはなくなった。


(5) 冷凍・レトルト食品

 冷凍食品メーカーは昨年8月から東京都が原産地表示を求める指導を実施しているため、中国産の表示を明確にしているが、消費者の中国産食品に対するイメージが悪く、冷凍食品業界全体が大幅な売り上げ減少となっている。

 レトルト食品は、小麦粉の価格上昇によりパン・めん食から、米飯食にシフトしているため、おかず関連のふりかけや、マーボーの素などの販売は好調に推移している。 


(6) 片栗粉

 昨年10月に実施された化工でん粉11品目の添加物指定もあり、今まで化工でん粉を片栗粉として使用していたメーカーが原料を国産ばれいしょでん粉に切り替えており、需要が大幅に増加している。ただ、EU産化工ばれいしょでん粉の大幅な価格の下落がある中、成分規格の適用および表示の義務については平成23年3月末までの経過措置期間が設定されているということもあり、今後のメーカーの原料に対する考え方が気になるところである。


ア.業務用: 昨年4月から業者間取引のJAS表示の義務化が追い風となり、中華レストラン、学校給食などの外食・給食向けは、大幅に増加した。

イ.家庭用: 原料の国産でん粉の値上げで、大手量販店のPBを製造していたメーカーが片栗粉事業から撤退した。一方、景気低迷の影響で内食が進んでおり、家庭用片栗粉の荷動きは好調に推移している。

(7) 春雨

 中国の冷凍食品、粉ミルクなどの問題から、昨年は中国産緑豆春雨の需要が大幅に減少し、国産春雨にシフトし、国内のほとんどのメーカーが注文に追いつかない状況であった。この動きは現在も続いており、あるメーカーは史上最高の売上を上げている模様である。


(8) 総対的な情勢

 平成20年4月からのJAS法における業者間取引表示の義務化や同年10月からの化工でん粉11品目の添加物指定などが、国産でん粉には大きな追い風となる可能性がある。ただし、EUのばれいしょでん粉の誘導体が、豊作を理由に価格引下げを実施してきており、販売数量が大きく減少することが予測されるため、メーカーとの意見交換を実施し、メーカーの原料使用動向を正確に把握する必要がある。

 今後は、メーカーは景気低迷による消費者の買い控え、量販店指導による製品値下げ攻勢などにより原材料、副資材のコストの見直しを実施することが予想される。国産ばれいしょでん粉の安全・安心および品質の安定性をメーカーがどこまで評価していただけるかが今後の課題となる。


おわりに

 糖化用途向け需要についての大きな伸びが考えにくく、国産でん粉にとっては厳しい状況が続いているが、品質の向上と新規用途開拓について関係者が努力を続けることにより、国産でん粉に対する評価が向上していくことを願っている。

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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