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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2017年1月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2017年1月

 本稿中の為替レートは11月末日TTS相場の値であり、1米ドル=109円(109.12円)、1タイバーツ=3.14円、1ユーロ=121円(121.20円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
生産量、総消費量ともに据え置き

 2016年12月時点のUSDA(米国農務省)による2016/17穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、価格を除き、生産量、総消費量などは、11月時点の値がいずれも据え置かれた。なお、輸出量については、前月の値が据え置かれているものの、実際の出船量は、前年を上回るペースとなっている一方、今後は、南米諸国との競合が高まるとしている。

【価格動向:トウモロコシ】
生産者価格は、4カ月連続で上方修正

 同じく2016/17穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.05〜3.65米ドル(332円〜398円)と、直近数カ月の比較的堅調な価格推移を受け、4カ月連続で上方修正された(表2)。

表2 米国のトウモロコシの需給見通し

【貿易動向:トウモロコシ】
10月の輸出量は、5カ月連続で前年比増

 2016年10月のトウモロコシ輸出量は、364万2931トン(前年同月比53.3%増、前月比42.8%減)と、5カ月連続で前年同月を上回った(図3)。同月の国別輸出量は、次の通り。

メキシコ   100万8854トン
 (前年同月比8.0%減、前月比19.6%減)
韓国     39万3303トン
 (同147倍、同60.0%減)
日本     38万6706トン
 (同6.3%減、同76.5%減)
中国        3647トン
 (同2.0倍、同3.8倍)

 なお、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり175.75米ドル(1万9157円、前年同月比7.0%安、前月比1.6%高)と、前年同月を下回った。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれていない。
 

図3 米国のトウモロコシ輸出量および輸出価格の推移

【貿易動向:コーンスターチ】
10月の輸出量は、2カ月ぶりに前年比減

 2016年10月のコーンスターチ輸出量は、6017トン(前年同月比24.0%減、前月比18.2%減)と、2カ月ぶりに前年同月を下回った(図4)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ  2720トン
 (前年同月比9.7%減、前月比18.7%減)
メキシコ 1547トン
 (同40.4%増、同6.5%増)
ドイツ    19トン
 (同80.6%減、同56.8%減)

 なお、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり4.87セント(5.3円、前年同月比13.8%安、前月比15.4%高)と、4カ月連続で前年同月を下回った。

図4 米国のコーンスターチ輸出量および市場価格の推移

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
キャッサバの供給量は増加傾向

 タイタピオカ取引協会によると、11月末現在、キャッサバの供給量は増加傾向にあるものの、市場の需要量を満たしておらず、取引価格は上昇傾向にある。ただし、依然として、前年同月を下回る低水準で推移している。

【価格動向】
国内価格は、わずかに回復

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2016年12月第1週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり11.2バーツ(35円、前年同期比12.5%安、前週比0.9%高)と、前年同期を下回っているものの、前週比では上昇した(図5)。

 一方、キャッサバ農家価格は、1キログラム当たり1.28バーツ(4.0円)(表1)と、前年同月を下回っているものの、前月比では上昇している。

図5 タイのタピオカでん粉価格の推移

【貿易動向】
10月の輸出量は、4カ月連続で前年比増

 2016年10月のタピオカでん粉輸出量は、30万7573トン(前年同月比42.1%増、前月比20.0%増)と、4カ月連続で前年同月を上回った(図6)。同月の国別輸出量は、次の通り。

中国       17万1469トン
 (前年同月比85.6%増、前月比38.1%増)
インドネシア  4万9290トン
 (同47.7%増、同59.6%増)
台湾       2万3653トン
 (同3.8%増、同13.8%減)
日本       1万556トン
 (同5.7%増、同58.0%増)
マレーシア  1万100トン
 (同62.2%減、同56.3%減)

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり316米ドル(3万4444円、前年同月比24.5%安、前月比5.6%安)と、引き続き前年同月を下回って推移している(図6)。
 

図6 タイのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ベトナム

【生産動向】
10月の作付面積は、前年比増

 ベトナム農業農村開発省によると、2016年10月の調査では、キャッサバの作付面積は、49万5893ヘクタール(前年同月比1.5%増)となった(表3)。北部、南部ともに前月に引き続き増加傾向が続いているものの、南部では、降雨による作付けの遅れから、わずかな増加にとどまっている。なお、北部では、作付け時期がほぼ終了していることから、作付面積は前月から横ばいとなっている。

表3 ベトナムのキャッサバ作付面積

【貿易動向】
10月のタピオカでん粉輸出量は、3カ月ぶりに前年比増

 ベトナム税関総局によると、2016年10月のタピオカでん粉輸出量は、19万1342トン(前年同月比0.9%増、前月比30.1%増)と、3カ月ぶりに前年同月を上回った(図7)。

 停滞していた最大の輸出先である中国からの需要が、10月後半以降、回復してきたことが影響している。また、中国市場での競合国であるタイでは、政府が、キャッサバ生産支援のため、タピオカでん粉の最低輸出価格設定という新たな政策を検討しており、その詳細が決定されるまで輸出を抑制する動きが一部で見られていることも背景にあるとみられている。
 

図7 ベトナムのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
10月の輸出量は、4カ月ぶりに前年比増

 2016年10月のばれいしょでん粉輸出量は、2万8345トン(前年同月比7.5%増、前月比3.2%増)と、4カ月ぶりに前年同月を上回った(図8)。同月の国別輸出量は、次の通り。

韓国  7387トン
 (前年同月比44.8%増、前月比5.6%増)
米国  2463トン
 (同29.7%減、同34.3%減)
中国  1783トン
 (同8.4%減、同3.0倍)
日本  702トン
 (同2.5%増、同4.9%増)

 2016年10月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり610ユーロ(7万3810円、前年同月比9.7%高、前月比2.9%安)と前年同月を上回った。

図8  EUのばれいしょでん粉輸出量および輸出価格の推移

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。

タイ

【貿易動向】
10月の輸出量は、5カ月ぶりに前年比減

 2016年10月の化工でん粉の輸出量は、7万5737トン(前年同月比4.7%減、前月比8.6%減)と、5カ月ぶりに前年同月を下回った(図9)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本     2万1042トン
 (前年同月比0.9%増、前月比19.0%減)
中国     1万9667トン
 (同4.9%減、同3.0%減)
インドネシア  7771トン
 (同11.6%増、同24.2%増)
韓国       5018トン
 (同30.9%減、同35.2%減)
 

図9 タイの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

米国

【貿易動向】
10月の輸出量は、4カ月連続で前年比増

 2016年10月の化工でん粉の輸出量は、2万8967トン(前年同月比21.5%増、前月比18.1%増)と、4カ月連続で前年同月を上回った(図10)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ    7610トン
 (前年同月比1.5%増、前月比13.6%増)
メキシコ  3830トン
 (同22.4%増、同23.0%増)
中国     3598トン
 (同3.0倍、同64.0%増)
ドイツ     997トン
 (同51.3%増、同20.0%減)
日本      905トン
(同2.7%増、同9.1%減)
 

図10  米国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

中国

【貿易動向】
10月の輸出量は、3カ月連続で前年比増

 2016年10月の化工でん粉の輸出量は、5080トン(前年同月比22.6%増、前月比13.9%増)と、3カ月連続で前年同月を上回った(図11)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本       2352トン
 (前年同月比3.3倍、前月比3.3倍)
韓国       722トン
 (同61.2%減、同7.9%増)
マレーシア  668トン
 (同2.2倍、同42.4%増)
インドネシア  325トン
 (同3.0倍、同43.1%減)
 

図11 中国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

EU

【貿易動向】
10月の輸出量は、3カ月連続で前年比増

 2016年10月の化工でん粉の輸出量は、4万6702トン(前年同月比4.6%増、前月比3.7%増)と、3カ月連続で前年同月を上回った(図12)。同月の国別輸出量は、次の通り。

トルコ  8527トン
 (前年同月比13.2%減、前月比51.8%増)
中国  6527トン
 (同19.8%減、同13.8%減)
ロシア  5415トン
 (同32.8%増、同5.0%増)
日本  3877トン
 (同22.8%増、同13.2%増)
 

図12 EUの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

豪州

【貿易動向】
10月の輸出量は、8カ月連続で前年比増

 2016年10月の化工でん粉の輸出量は、2566トン(前年同月比2.2倍、前月比18.1%増)と、8カ月連続で前年同月を上回った(図13)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本        2147トン
 (前年同月比3.4倍、前月比40.6%増)
ニュージーランド 110トン
 (同14.7%減、同31.7%減)
マレーシア     54トン
 (同42.6%減、同66.7%減)
 

図13 豪州の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

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