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米国におけるグルテンフリー表示規則およびグルテンフリー食品の流通状況について

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最終更新日:2017年7月10日

米国におけるグルテンフリー表示規則およびグルテンフリー食品の流通状況について

2017年7月

独立行政法人日本貿易振興機構 農林水産・食品課 阿部 あづ希

はじめに

 米国食品医薬品局(FDA)は食品アレルゲン表示および消費者保護法(FALCP)に基づき、 2013年9月4日からグルテンフリー表示規則を施行している。本規則の施行により、米国で流通する食品にグルテンフリーと表示する場合に満たすべき条件が定められたことになる。独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が2016年3月に調査したグルテンフリー表示およびグルテンフリー食品の流通状況を紹介する。

1.グルテンフリーとは

 グルテンという用語は、米国のグルテンフリー表示規則の中で「グルテン含有穀物で自然発生するタンパク質であり、セリアック病(注)疾患者に健康上の悪影響を与える可能性のあるもの」と定義付けられている。この定義における「グルテン含有穀物」とは、小麦、ライ麦、大麦をはじめとする穀物を指し、グルテン含有物から発生するタンパク質の例としてはプロラミンやグルテリンが挙げられる。

 セリアック病患者がグルテンを含む食品を摂取すると、抗体や炎症細胞の生成が刺激され、結果としてグルテンが小腸で栄養を吸収する働きをしている突起を傷つける異常な免疫反応が起きる。セリアック病患者がグルテンを摂取し続けると栄養の吸収が不足し、その他深刻な健康問題を引き起こす。セリアック病には、治療法がないとされており、セリア ック病患者は食事においてあらゆるグルテンの摂取を控えるよう言われる。長い時間をかけてグルテンフリーの食生活をすることで、セリアック病患者は症状が改善し、健康リスクを軽減できる可能性がある。

(注)慢性的な小腸の炎症性疾患のこと。

2.グルテンフリー表示規則の概要

 グルテンフリー表示規則が制定された目的は、米国でセリアック病患者が商品におけるグルテン含有に関して正確な情報を得られるようにするためである。これまで、米国内でグルテンフリー表示について定義が存在しなかったため、消費者は成分表を確認したり、場合によっては食品メーカーに問い合わせたりするなど、時間をかけてグルテンの有無を確認しなければならなかった。本規則の施行で「グルテンフリー」という用語の使用について条件が統一され、消費者は食品におけるグルテンの含有について正確な情報を得ることができ、グルテンフリー食品の特定が簡単かつスピーディーになるとしている。

 本規則の対象となる食品は、FDAが食品医薬品化粧品法(FDCA)上で定義している「食品」である。そのため、米国農務省(USDA)管轄下の食肉、家きん肉、酒類タバコ税貿易管理局(TTB)管轄下のアルコール度数7%以上のワイン、麦芽飲料、蒸留酒は対象外である。

 FDAはグルテンフリー表示の要件について、規則の中で次の通り定義している。
 
「グルテンフリー」というラベルを表示する食品は、(1)〜(2)のいずれかを満たすものを意味する。
 (1) 以下のいずれも含有していないもの。
 ア.グルテン含有穀物である原料(スペルト小麦など) 
 イ.グルテン含有穀物に由来しグルテン除去処理が施されていない原料(小麦粉など)
 ウ.グルテン含有穀物に由来しグルテン除去処理が施されている原料で(小麦でんぷんなど)、食品中のグルテンを1キログラム当たり20ミリグラム以上とする原料
(2) 本質的にグルテンを含有しないもの。

 なお、原料にグルテンがやむを得ず含有する場合、食品中のグルテンは1キログラム当たり2?ミリグラム未満であるものとする。

 規則文にもある通り、FDAはグルテンフリー表示の基準値を設定するに当たり、グルテンフリー表示がなされている食品に対する基準の一つとして1キログラム当たり20ミリグラム未満を適用した。記載する文言は“gluten free”に加え“no gluten”、“free of gluten”、“without gluten”、なども可能である。ただし、グルテンフリー表示と同時に小麦が原材料リストに記載されている場合や、アレルゲン表示規則に沿って「小麦を含む」との記載がある場合、「小麦」の直後にアステリスクまたは他の記号を付け、すぐ近くに「小麦は本食品がグルテンフリー食品に関する米国食品医薬品局(FDA)の要件を満たすために処理されています」と記載しなければならない。

 なお、グルテンフリー表示に当たり、第三者機関による認証は義務付けられていない。また、FDAは特定の第三者機関による認証を推奨することはしないという立場を取っている。

3.米国でのグルテンフリー表示事例

 米国では、グルテンフリーと表示された食品がさまざまなコーナーで見られる。規則ではグルテンフリーの表示方法について指定されていないため、さまざまな文字サイズ、色で表示されている。パッケ ージにおける表示場所については、企業名あるいは商品名の近くにグルテンフリーを表示している商品が多く見られた。米国ではグルテン含有穀物を原料に含みうる商品のみならず、本来グルテンを含まない食品にもグルテンフリーの表示がされているケースが見られる。そのような例としてはコメ、豆腐、酢、アイスクリーム、ポップコーン、フルーツバーなどである。

 次ページの写真は米粉を使ったグルテンフリーのチョコチップクッキーである。グルテンフリーの表示については、パッケージの表に“GLUTEN-FREE” という文言が2カ所に書かれている。
写真 グルテンフリーのチョコチップクッキー

4.グルテンフリー食品の米国での流通状況と今後

 米国では、2007年にFDAがグルテンフリー表示の規則案を提案した頃にグルテンフリー食品へのブ ームが始まったとされる。2008年以降、大手食品企業が次々とグルテンフリー食品を販売し始めた。今ではレストランや小売店、ファーマーズマーケットなどあらゆる場所でグルテンフリーの食品や料理が見られる。また、グルテンフリーのレシピ本が販売されていることや、Open Tableというレストラン予約サイトで「グルテンフリー料理」というカテゴリーでレストランを検索できるなど、グルテンフリー食品は米国に住む人々にとって身近なものになりつつある。

 ジェトロがグルテンフリー食品の流通状況や今後の需要見込みを小売店やレストランにヒアリングした結果はの通りである。
表 グルテンフリー食品についての視察・ヒアリング結果
 これまで米国では、グルテンフリーブームと呼ばれ需要が急増してきたが、今後は需要が安定し、継続あるいは拡大するだろうとの見方が強かった。また、グルテンフリーを健康志向の一つと捉えた際に、グルテンフリーであると同時にオーガニックであることを重視する声も挙げられた。ヒアリング結果の詳細は調査レポート(注)を参照いただきたい。

(注)独立行政法人日本貿易振興機構「米国規制情報調査−食品におけるグルテンフリー表示規則−」2016年3月
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03‐3583‐9272



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