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食品メーカーにおける天然でん粉の利用形態

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最終更新日:2017年7月10日

食品メーカーにおける天然でん粉の利用形態
〜平成28年度甘味料およびでん粉の仕入動向調査の概要〜

2017年7月

調査情報部

【要約】

 天然でん粉の仕入量および仕入価格の動向は、総じて安定している。ばれいしょでん粉については、平成28年産の減産に伴い、調達面に対して不満を持つ企業が一定割合存在した。

はじめに

 でん粉は、異性化糖、水あめなどの甘味料の原料になるほか、熱などを加えることで生まれる粘性、弾力性、保水性などの特性を生かし、飲料やパン、麺類、菓子などの食品分野を中心に、工業や医療分野など幅広い用途で活用されている。

 また、わが国で流通するでん粉の約1割を占める国内産いもでん粉は、原料となるばれいしょが北海道、かんしょが南九州地方(鹿児島県および宮崎県)の基幹作物の一つとなっており、この地域で操業するでん粉工場は、地域の経済や雇用を支える重要な役割を担っている。

 このように、でん粉は私たちの生活や社会と密接に関係していることから、安定的に供給していくことが欠かせない。

 そこで当機構では、実需者のでん粉に対するニーズを把握し、でん粉の需給動向の判断に資する基礎的な情報を収集するため、食品製造事業者を対象にしたアンケート調査を毎年実施している。

 本稿では、平成28年度に実施した「甘味料およびでん粉の仕入動向調査」のうち、天然でん粉(ばれいしょでん粉、かんしょでん粉、コーンスターチ、タピオカでん粉)の調査結果について報告する。なお、甘味料と化工でん粉(デキストリンを含む)の調査結果については、次号以降に順次報告する。

1.調査の方法

(1)調査期間
 平成29年2〜3月

(2)調査対象
 でん粉を使用する食品製造事業者

(3)調査方法
 郵送による調査票の発送および回収を実施

(4)調査項目
ア.用途、使用する商品の数および使用する理由
イ.仕入量および仕入価格の動向
ウ.でん粉に対する評価

(5)回収状況  
配布企業数    121社  
回収企業数    45社  
調査票回収率  37.2%

(6)集計区分
集計区分
(7)集計結果についての留意事項
ア.図中の「n」は有効回答数を表す。
イ.端数処理の関係により、図中の内訳の合計が100%にならないことがある。
ウ.「不明・無回答」は比較対象から除外する。

2.調査企業の概要

 でん粉を使用する企業45社の資本金の額と業種のそれぞれの構成比は、図1の通り。このうち、天然でん粉を使用する企業は39社であった。
図1 資本金の額と業種の構成比

3.集計結果

(1)天然でん粉の用途
 天然でん粉の用途を見ると、「和生菓子・洋生菓子」「水産練り製品」が同数で14件と多く、次いで「ソース・たれ・つゆ類」が7件、「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」「ミックス粉」が同数の6件と続く(図2)。

 具体的な食品の種類を見ると、「和生菓子・洋生菓子」は柏餅や大福餅などの餅菓子、クッキーやマドレーヌなどの焼き菓子が多く、「水産練り製品」は魚肉ソーセージやかまぼこなどが多かった。また、双方ともに、複数の天然でん粉を混合して食品中に使用している傾向がうかがえた。

 また、種類別の用途を見ると、ばれいしょでん粉およびコーンスターチは、かんしょでん粉およびタピオカでん粉と比べて幅広い用途で使用されていた。
図2 天然でん粉の用途(複数回答)
(2)天然でん粉を使用する商品の数
 天然でん粉を使用する商品の数は、1企業当たり「10点以下」が最も多かった(図3)。

 ばれいしょでん粉およびコーンスターチを101点以上の商品に用いる企業が存在する一方、かんしょでん粉を11点以上の商品に用いる企業はいなかった。
図3 天然でん粉を使用する商品の数(1企業当たりの商品点数)
(3)天然でん粉を使用する理由
 天然でん粉を使用する理由は、「食感を良くする」が36件と最も多く、次いで「商品特性上、他のでん粉に代替できない」が13件、「とろみを付ける」が12件と続く(図4)。

 また、「原材料に対する安心感を訴求する」を理由に挙げる企業も6件存在した。これらの企業が使用するでん粉は国内産いもでん粉であったことから、安心感の訴求には国内産であることが重要な要素であると言える。

 他方、全体として少数であるが、「理由は定かではない」(3件)を理由として挙げる企業もあった。これは、原材料の変更には時間とコストがかかるため、容易に変更することができない事情があるものと思われ、特に、広く親しまれているロングセラー商品などは開発された当時のレシピを変えること自体、難しい面があるものと推察される。
図4 天然でん粉を使用する理由(複数回答)
(4)仕入量の動向
ア.直近1年間の仕入量

 平成28年(1〜12月、以下同じ)の仕入量は、「100トン未満」が37.7%と最も多く、次いで「1100トン以上」(20.3%)、「100トン以上300トン未満」(11.6%)の順であった(図5)。

  種類別に見ると、ばれいしょでん粉およびコーンスターチは「100トン未満」が最も多く、かんしょでん粉は「100トン未満」と「1100トン以上」が同率で多かった(図6)。

 

   


 イ.昨年と比較した仕入量の動向
 平成27年と比較した28年の仕入量の動向は、いずれの天然でん粉も「横ばい」が最も多かったものの、かんしょでん粉は他のでん粉と比較すると、その割合が20ポイント程度低くなっており、仕入量の動きに違いが見られた(図7)。横ばい以外を回答した企業の増減要因としては、「既存商品の需要の変動」を挙げる企業が多かった。なお、「大幅に増加」「やや増加」と回答した企業は製菓業が多く、「やや減少」「大幅に減少」と回答した企業は水産練り製品製造業、製パン業、糖化製品製造業であった。



ウ.今後の仕入量の見込み
 今後の仕入量の見込みは、いずれの天然でん粉も「横ばい」が圧倒的に多かった(図8)。横ばい以外を回答した企業の増減要因としては、全体として「既存商品の需要の変動」を挙げる企業が最も多かったが、ばれいしょでん粉に限っては、28年夏に北海道を相次いで襲った台風の影響で、原料となるばれいしょの生産量が減少したことに伴い、仕入先から供給制限を受けていることを理由に挙げる企業もあった。なお、「大幅に増加する見込み」「やや増加する見込み」と回答した企業は製麺業、「やや減少する見込み」「大幅に減少する見込み」と回答した企業は製粉業、糖化製品製造業であった。




(5)仕入価格の動向
ア.直近の仕入価格

 1キログラム当たりの仕入価格(平成29年1月時点)は、「80円以上120円未満」「120円以上160円未満」が同数の15.9%で多かった(図9)。

 種類別に見ると、ばれいしょでん粉の仕入価格は、総じて他の天然でん粉よりも高い傾向にあった(図10)。



   

イ.昨年と比較した仕入価格
 平成27年と比べた28年の仕入価格の動向は、いずれの天然でん粉も「横ばい」が最も多く、おおむね安定的に推移していると言える(図11)。横ばい以外を回答した企業の増減要因としては、「仕入れ先の価格改定によるもの」「原料作物の市場価格(相場)の変動によるもの」を挙げる企業が多かった。
図11 種類別天然でん粉の仕入価格の対前年比
(6)天然でん粉に対する評価
 天然でん粉に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面については、かんしょでん粉以外の天然でん粉は「満足」が過半を占めたが、かんしょでん粉は「満足」と「普通」が同率で多かった(図12)。かんしょでん粉の品質面で「やや不満」と回答した企業は、年によって白度にばらつきがあることを理由に挙げた。

 調達面については、「満足」「やや満足」を合わせると、いずれの天然でん粉も過半を占めたものの、ばれいしょでん粉では「やや不満」「不満」を合わせた割合が約1割を占めた(図13)。ばれいしょでん粉の調達面で「やや不満」「不満」と回答した企業は、供給が不安定であることを理由に挙げた。平成28でん粉年度の供給量が減少する見込みであることを受け、数量確保を不安視する向きがあるためとみられる。
 

   

 現在使用するでん粉の切り替えの意向について尋ねたところ、39社中1社が、かんしょでん粉を他のでん粉へ切り替える意向を示した。理由は、コストを削減するためであった。

おわりに

 今回の調査では、ばれいしょでん粉の調達面に対し不満を示す企業が約1割存在した。前年度の調査では、調達面に関して「不満」と回答した企業がなかったことを踏まえると、特徴的な変化であると言える。

 平成28年産のばれいしょでん粉の生産量はこの10年で最も少なくなる見込みであるものの、供給量は繰り越された在庫があることから1割程度の減少にとどまるとみられる(図14)。しかしながら、すでに調達がやや難しくなっていることを受け、不作により減産となった平成22〜23年の時と同様、供給の安定性に対する不安・懸念が再燃している。
図14 ばれいしょでん粉の供給量と生産量の推移
 かんしょでん粉にあっては、他のでん粉と比べ品質面に対する評価が相対的に低かった。食品用途に適した品種の開発や、でん粉工場における品質管理の強化などにより、近年、かんしょでん粉の品質は格段に向上しているものの、実需者の視点では、依然として課題があることが示唆された。

 他方、国内産いもでん粉という観点では、原材料の安心感を訴求するために使用する企業が一定割合存在することも分かっている。こうした使用のすそ野を広げていくためにも、関係者が一体となって原料用いもの生産に対する意欲向上や、品質改善に向けた不断の努力を続けていくことが重要であると思われる。

 最後に、お忙しい中、本調査にご協力いただいた企業の皆さまに、改めて厚く御礼申し上げます。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03‐3583‐9272



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