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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2018年4月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2018年4月

 本稿中の為替レートは2018年2月末日TTS相場の値であり、1米ドル=108円(108.37円)、1タイバーツ=3.50円、1ユーロ=133円(132.78円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
消費量が上方修正

 2018年3月時点の米国農務省(USDA)による2017/18穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、前月予測から据え置かれた。一方、消費関連の数値は、国内消費量のうち、エタノール向けが上方修正されたことに加え、諸外国からの堅調な需要と価格の優位性から輸出量が上方修正されたことに伴い、総消費量も148億2000万ブッシェル(3億7644万トン、前年度比1.2%増)に上方修正された。

【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格の下値が上昇

 同じく2017/18穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.15〜3.55米ドル(340円〜383円)と下値が上方修正され、中間値も3.35米ドル(362円)と上昇した(表2)。

表2 米国のトウモロコシの需給見通し

【貿易動向:トウモロコシ】
1月の輸出量は前年同月から大幅に減少

 2018年1月のトウモロコシ輸出量は、385万3362トン(前年同月比16.9%減、前月比7.6%増)と前年同月を大幅に下回ったものの前月をかなり上回った(図3)。同月の主要国別輸出量は、次の通り。

日本    111万1657トン  
 (前年同月比6.4%増、前月比9.9%増)
メキシコ   87万9710トン  
 (同3.3%減、同29.5%減)
コロンビア   62万22トン  
 (同38.1%増、同95.4%増)
ペルー    26万5068トン  
 (同47.5%増、同25.5%増)

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり172.36米ドル(1万8615円、前年同月比1.8%安、前月比1.1%安)と前年同月および前月をわずかに下回った。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。

図3 米国のトウモロコシ輸出量および輸出価格の推移

【貿易動向:コーンスターチ】
1月の輸出量は前年同月から大幅に減少

 2018年1月のコーンスターチ輸出量は、6970トン(前年同月比19.1%減、前月比10.0%増)と前年同月を大幅に下回ったものの前月をかなり上回った(図4)。同月の主要国別輸出量は、次の通り。

メキシコ   3085トン  
 (前年同月比19.3%減、前月比72.7%増)
カナダ   1992トン  
 (同23.3%減、同28.9%減)
英国      581トン  
 (同3.8%増、同2.4倍)
コロンビア 497トン  
 (同54.8%増、同92.6%増)
日本     10トン  
 (同2.0倍、同11.1%増)

 また、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド(注)当たり4.81セント(5.2円、前年同月比1.5%安、前月比8.6%高)と前年同月からわずかに下落したものの前月からかなり上昇した。

(注)1ポンドは0.45キログラム。

図4 米国のコーンスターチ輸出量および市場価格の推移

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格、キャッサバ農家価格ともに前年同月から大幅上昇

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2018年3月第1週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり15.1バーツ(52.9円、前年同期比34.8%高、前週比4.1%高)と、15バーツ(52.5円)を上回ったのは2011年6月以来となった(図5)。同価格高騰の主な理由は、キャッサバ農家価格の低下により、生産者が収益性の高い作物に転作した結果、キャッサバの供給量が減少し、需要を満たせない状況が続いているためである。

 また、2018年2月のキャッサバ農家価格は、1キログラム当たり2.12バーツ(7.4円)と前年同月を大幅に上回った(表1)。

図5 タイのタピオカでん粉価格の推移

【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月および前月から かなり減少

 2018年1月のタピオカでん粉輸出量は、25万8996トン(前年同月比8.5%減、前月比14.0%減)と前年同月および前月をかなり下回った(図6)。同月の主要国別輸出量は、次の通り。

中国       13万2169トン  
 (前年同月比4.7%減、前月比35.6%減)
台湾       2万7387トン  
(同2.4%増、同0.9%増)
インドネシア  2万3842トン  
 (同54.3%減、同4.1倍)
マレーシア   1万9875トン  
 (同26.3%増、同14.0%減)
日本       1万3171トン  
 (同17.4%増、同99.1%増)

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり444米ドル(4万7952円、前年同月比30.5%高、前月比2.9%高)と前年同月および前月をそれぞれ上回った(図6)。

図6 タイのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ベトナム

【生産動向】
12月の作付面積は前年同月からかなり減少

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、2017年12月のキャッサバの作付面積は、53万4289ヘクタール(前年同月比6.0%減)と前年同月をかなり下回った(表3)。キャッサバ価格の低迷により、生産者が収益性に勝る作物へ転作していることに加え、モザイク病が拡大していることなどにより、すべての地域で前年同月を下回った。

 同月のキャッサバの供給動向を見ると、北部では、収穫期のピークだったことに加え、天候に恵まれたこともあり、加工工場への供給量は十分であり、品質も良かった。現地トレーダーによると、中国からのエタノール向けの需要が高いことなどから、前年に比べ早く収穫を終えると見込まれている。

 一方、南部のタイニン省では、キャッサバの収穫はほとんど終わっているため、でん粉工場は主にカンボジアからの輸入に頼っている。しかし、カンボジアも、ベトナム北部同様、大豆など収益性に勝る作物への転作が進んでおり、収穫面積は、前年を20%以上下回ると見込まれている。その結果、カンボジアの収穫期は例年よりも早く終わり、カンボジアからの輸入は、3月後半にはほとんどなくなると見込まれている。このため、同省のでん粉工場は、当分の間、今後原料の集荷量が減って、操業が難しくなると見込まれている。

表3 ベトナムのキャッサバ作付面積

【貿易動向】
12月の輸出量は前年同月からかなり減少

 AgroMonitorによると、2017年12月のタピオカでん粉輸出量は、22万3655トン(前年同月比12.3%減、前月比5.8%増)と前年同月をかなり下回ったものの前月をやや上回った(図7)。依然として中国が最大の輸出先であり、同月は輸出量全体の92.4%を占めた。

図7 ベトナムのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向(注)
12月の輸出量は前年同月および前月から減少

 2017年12月のばれいしょでん粉輸出量は、3万1997トン(前年同月比0.5%減、前月比10.1%減)と前年同月および前月を下回った(図8)。同月の主要国別輸出量は、次の通り。

米国   5680トン  
 (前年同月比17.5%増、前月比18.8%増)
韓国   3879トン  
 (同46.3%減、同53.4%減)
日本   1622トン  
 (同66.7%増、同2.3倍)
タイ    1270トン  
 (同18.8%減、同17.4%増)

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり629ユーロ(8万3657円、前年同月比4.0%高、前月比0.6%高)と前年同月および前月を上回った。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を掲載する。

図8  EUのばれいしょでん粉輸出量および輸出価格の推移

コラム ドイツにおける2016年のコーンスターチの生産動向

 EUにおける2016年のでん粉生産量は1070万トンで、うちコーンスターチが47%と、全体の約半数を占めている()。世界のばれいしょでん粉の主産国として知られているドイツにおいては、EU全体に比べると低いものの、でん粉生産量の25%程度がコーンスターチとなっている。そこで今回は、2016年におけるドイツのコーンスターチの生産動向について紹介する。

 


 同国で生産されるトウモロコシの多くは飼料向けで、でん粉原料向けは6%程度である。でん粉原料向けは、ここ数年60万トン前後で推移しており、2016年は61万5000トン(前年比9.5%増)と前年をかなり上回った。また、コーンスターチの生産量は、36万〜37万トンで推移し、2016年は37万5000トン(同4.2%増)と前年をやや上回った。




 世界で最も多く生産・消費されるでん粉であるコーンスターチの需要は、2016年以降も増加すると見込まれていることから、EUにおける生産動向を今後も注視する必要がある。
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。

タイ

【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月から大幅に増加

 2018年1月の化工でん粉の輸出量は、8万662トン(前年同月比18.7%増、前月比3.0%減)と前年同月を大幅に上回ったものの前月をやや下回った(図9)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本    2万1215トン  
 (前年同月比5.7%減、前月比9.3%増)
中国    1万7226トン  
 (同56.2%増、同28.5%減)
インドネシア 8335トン  
 (同0.7%減、同4.9%増)
韓国      5399トン  
 (同14.7%増、同27.6%減)

図9 タイの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

米国

【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月および前月からやや減少

 2018年1月の化工でん粉の輸出量は、2万3199トン(前年同月比5.5%減、前月比3.1%減)と前年同月および前月をやや下回った(図10)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ    7346トン  
 (前年同月比0.1%増、前月比10.4%増)
メキシコ   3400トン  
 (同27.6%増、同38.0%増)
中国     1726トン  
 (同28.4%減、同53.8%減)
コロンビア 1131トン  
 (同8.3%減、同0.5%増)
ドイツ     856トン  
 (同21.5%減、同2.4%増)
日本     812トン  
 (同12.5%増、同17.2%増)

図10  米国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

中国

【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月および前月から減少

 2018年1月の化工でん粉の輸出量は、6269トン(前年同月比8.7%減、前月比33.6%減)と前年同月および前月をそれぞれ下回った(図11)。同月の国別輸出量は、次の通り。

韓国  2063トン  
 (前年同月比16.0倍、前月比12.8%増)
日本   703トン  
 (同76.5%減、同70.9%減)
台湾   500トン  
 (同33.3%増、同20.4%減)
香港   458トン  
 (同68.4%増、同4.8%増)

図11 中国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

EU

【貿易動向(注)
12月の輸出量は前年同月からわずかに増加

 2017年12月の化工でん粉の輸出量は、3万8461トン(前年同月比1.8%増、前月比12.1%減)と前年同月をわずかに上回ったものの前月をかなり下回った(図12)。同月の国別輸出量は、次の通り。

トルコ   7840トン  
 (前年同月比5.5%増、前月比3.5%増)
日本   3355トン  
 (同22.8%増、同1.5%減)
ロシア  3188トン  
 (同3.4%減、同47.6%減)
中国   3094トン  
 (同38.3%減、同29.9%減)

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を掲載する。

図12 EUの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

豪州

【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月からわずかに増加

 2018年1月の化工でん粉の輸出量は、1775トン(前年同月比1.7%増、前月比14.0%減)と前年同月をわずかに上回ったものの前月をかなり下回った(図13)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本        1011トン  
 (前年同月比15.5%減、前月比20.3%減)
ニュージーランド 285トン  
 (同12.2%増、同4.4%増)

図13 豪州の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

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