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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2018年10月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2018年10月

 本稿中の為替レートは2018年8月末日TTS相場の値であり、1米ドル=112円(112.06円)、1タイバーツ=3.47円、1ユーロ=131円(131.06円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
総消費量は上方修正

 2018年9月時点の米国農務省(USDA)による2018/19穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、単収が上方修正された。また、消費関連の数値は、国内消費量のうち、飼料など向けやエタノール向けが上方修正されたため、総消費量も151億500万ブッシェル(3億8368万トン、前年度比1.1%増)に上方修正された(表2)。

【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格は上値、下値ともに下方修正

 同じく2018/19穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.00〜4.00米ドル(336〜448円)と予測されており、上値および下値ともに前月から下方修正された。これは、総消費量の修正を上回って総供給量が上方修正されたことが影響していると考えられる。

表2 米国のトウモロコシの需給見通し

【貿易動向:トウモロコシ】
7月の輸出量は前年同月から大幅に増加

 2018年7月のトウモロコシ輸出量は、677万9147トン(前年同月比42.0%増、前月比4.9%減)と前年同月を大幅に上回った一方、前月をやや下回った(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり182.69米ドル(2万461円、前年同月比4.3%高、前月比1.8%安)と前年同月をやや上回った一方、前月をわずかに下回った。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。

図3 米国のトウモロコシ輸出量および輸出価格の推移

表3 米国のトウモロコシ輸出量(7月)

【貿易および価格動向:コーンスターチ】
7月の輸出量は前年同月および前月からかなり増加

 2018年7月のコーンスターチ輸出量は、9575トン(前年同月比15.0%増、前月比11.1%増)と前年同月および前月の水準をともにかなり大きく上回った(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 また、同月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり4.61セント(5.2円、前年同月比21.1%安、前月比4.8%安)と前年同月を大幅に、前月をやや下回った。

(注)1ポンドは0.45キログラム。

図4 米国のコーンスターチ輸出量および市場価格の推移

表4 米国のコーンスターチ輸出量(7月)

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同月から大幅上昇

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2018年9月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり15.3バーツ(53.1円、前年同期比41.7%高、前週同)と、引き続き前年同月を大幅に上回った。昨年10月から急上昇していた価格は、6月にいったん下落したものの、8月末から再度上昇に転じた(図5)。

図5 タイのタピオカでん粉国内価格の推移

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月から大幅に減少

 2018年7月のタピオカでん粉輸出量は、16万6173トン(前年同月比28.0%減、前月比4.5%減)と前年同月から大幅に、前月からやや減少した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり494.0米ドル(5万5328円、前年同月比47.5%高、前月比6.4%安)と前年同月から大幅に上昇したものの、2カ月連続で前月から下落した(図6)。

図6 タイのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

表5 タイのタピオカでん粉輸出量(7月)

ベトナム

【生産動向】

表6 ベトナムのキャッサバ作付面積

【貿易動向】
6月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少

 AgroMonitorによると、2018年6月のタピオカでん粉輸出量は、13万8816トン(前年同月比20.4%減、前月比21.9%減)と、前年同月および前月を大幅に下回った(図7)。

図7 ベトナムのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
6月の輸出量は前年同月から大幅に減少

 2018年6月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万4322トン(前年同月比32.0%減、前月比5.1%増)と前年同月を大幅に下回った一方、前月をやや上回った(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり622.21ユーロ(8万1510円、前年同月比0.8%高、前月比1.1%安)と前年同月をわずかに上回った一方、前月をわずかに下回った。

(注)輸出先の不明なものを除く。

図8 EUのばれいしょでん粉輸出量および輸出価格の推移

表7 EUのばれいしょでん粉輸出量(6月)

コラム でん粉を用いたバイオプラスチックについて

 バイオプラスチック(生分解性プラスチック:biodegradable plastics 土中の微生物の働きにより分解されるプラスチック)の製造は、プラスチック全体の1%に満たないが、環境意識の高まりや技術の進歩によって、成長が期待されている分野である。

 このバイオプラスチックには、でん粉またはでん粉を原料とした糖(ポリ乳酸〈PLA〉など)が原料として用いられ、スーパーマーケットなどの買い物袋、使い捨てカトラリー、カップ、包装資材などが製造されている。

 石油を原材料とするプラスチックに比べ、バイオプラスチックは製造コストが高くなる。そのため、バイオプラスチックの原材料としては、安価なコーンスターチが多く利用されている。ばれいしょでん粉からのバイオプラスチック製造も、技術的には可能であるが、原材料コストが高くなり過ぎるため、商業ベースでの製造は今のところ難しいとされる。

 欧州は、世界的に見ても環境問題に対して積極的な取り組みが行われており、世界のバイオプラスチック消費量の3分の1を占める地域である。2015年に設立された欧州バイオエコノミー連合(EUBA:European Bioeconomy Alliance)は、脱石油社会への移行のため、欧州におけるバイオプラスチックなどの研究や石油製品に関する法規制を先導することを目的に組織された。バイオプラスチック産業の成長はでん粉産業にも影響していくと思われ、でん粉の業界団体であるStarch EuropeもEUBAの会員となっている。

 


 

化工でん粉

デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。

タイ

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月からかなりの程度増加も前月からはかなり大きく減少

 2018年7月の化工でん粉の輸出量は、7万3601トン(前年同月比8.6%増、前月比11.8%減)と前年同月からかなりの程度増加したものの、前月からかなり大きく減少となった(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。

図9 タイの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表8 タイの化工でん粉輸出量(7月)

米国

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月から増加も前月比では減少

 2018年7月の化工でん粉の輸出量は、2万6496トン(前年同月比11.9%増、前月比7.1%減)と前年同月からかなり大きく増加した一方、前月からかなりの程度減少した(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

図10  米国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表9 米国の化工でん粉輸出量(7月)

中国

【貿易動向(注)
 3月の輸出量は前年同月から大幅減も前月からはかなり増加 2018年3月の化工でん粉の輸出量は、5581トン(前年同月比39.0%減、前月比13.8%増)と前年同月の水準を大幅に下回ったが、前月からはかなり増加した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。

図11 中国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表10 中国の化工でん粉輸出量(3月)

EU

【貿易動向】
6月の輸出量は前年同月からかなり大きく減少し、前月からもわずかに減少

 2018年6月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万4240トン(前年同月比11.9%減、前月比2.1%減)と前年同月をかなり下回り、前月からもわずかに減少した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

(注)輸出先の不明なものを除く。

図12 EUの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表11 EUの化工でん粉輸出量(6月)

豪州

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 2018年7月の化工でん粉の輸出量は、2476トン(前年同月比28.5%増、前月比18.1%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。

図13 豪州の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表12 豪州の化工でん粉輸出量(7月)

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