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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2018年11月9日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2018年11月

 本稿中の為替レートは2018年9月末日TTS相場の値であり、1米ドル=115円(114.57円)、1タイバーツ=3.58円、1ユーロ=134円(133.64円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
総消費量は上方修正
 
2018年10月時点の米国農務省(USDA)による2018/19穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、単収が下方修正された。また、消費関連の数値は、国内消費量のうち、飼料など向けが下方修正されたものの、それを上回って輸出量が上方修正されたため、総消費量も151億5500万ブッシェル(3億8476万トン、前年度比1.2%増)に上方修正された(表2)。

【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格は上値、下値ともに修正なし
 
同じく2018/19穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.00〜4.00米ドル(345〜460円)と予測されており、上値および下値ともに前月同となった。これは、消費量などに大きな修正がなかったためと考えられる。
 



【貿易動向:トウモロコシ】
8月の輸出量も前年同月から大幅に増加
 
2018年8月のトウモロコシ輸出量は、585万8089トン(前年同月比66.5%増、前月比13.6%減)と前年同月を大幅に上回った一方、前月をかなり大きく下回った(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。
 
 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり180.56米ドル(2万764円、前年同月比5.9%高、前月比1.2%安)と前年同月をやや上回った一方、前月をわずかに下回った。
 

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。

 

 

 


【貿易および価格動向:コーンスターチ】
8月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からかなり増加 
 
2018年8月のコーンスターチ輸出量は、1万1064トン(前年同月比22.4%増、前月比15.6%増)と前年同月および前月の水準をともに上回った(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 また、同月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり4.85セント(5.6円、前年同月比3.2%安、前月比5.2%高)と前年同月をやや下回ったものの、前月はやや上回った。

(注)1ポンドは0.45キログラム。

 

 

 

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同月から大幅上昇
 
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2018年10月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり15.5バーツ(55.5円、前年同期比38.4%高、前週比3.1%安)と、引き続き前年同月を大幅に上回った。前年10月から急上昇していた価格は、翌6月にいったん下落したものの、8月末から再度上昇に転じ、9月も上昇を続け、10月は高止まりしている(図5)。
 


【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月からかなり大きく増加

 
2018年8月のタピオカでん粉輸出量は、27万6805トン(前年同月比12.9%増、前月比66.6%増)と前年同月からかなり大きく、前月から大幅に増加した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、6月から2カ月連続で前月から下落していたものの、8月は上昇に転じ、1トン当たり488.8米ドル(5万6212円、前年同月比43.8%高、前月比1.1%安)と前年同月から大幅に上昇したものの、前月比はわずかに下落した(図6)。

 

 

 

ベトナム

【生産動向】
7月の作付面積は前年同月からやや減少
 
ベトナムの調査会社AgroMonitorによると農業農村開発省(MARD)の統計では2018年7月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、41万17ヘクタール(前年同月比4.1%減)と前年同月をやや下回った(表6)。地域別に見ると、南部のメコン河デルタ地域が同30.7%減の2354ヘクタールと大幅に減少したほか、北部の紅河デルタ地域が同14.7%減の2989ヘクタール、北部内陸山岳地域が同16.1%減の5万1311ヘクタールといずれも減少した。

 主産地のタイニン省では、ほぼ全域でモザイク病が流行し作付面積の9割が被害を受けたため、作付面積自体は前年度の10〜15%増加しているにもかかわらず、キャッサバの供給がタイトになると見込まれている。同省のモザイクウイルスは苗木やコナジラミ(Bemisia Tabaci)を介して感染し、南東地域のドンナイ省やビンフォック省、ビンズオン省、バリア=ブンタウ省、中部高原地帯のダクラク省でも被害が出ている。なお、モザイク病に苗木が感染した場合は、単収が最大6割程度まで落ち込むとされる。なお、メコン川流域のタイやラオス、カンボジアでも豪雨によって、キャッサバの生産量が落ち込むとみられている。

 
【貿易動向】
7月の輸出量は前月同月および前月から大幅に減少
 
AgroMonitorによると、2018年7月のタピオカでん粉輸出量は、9万3397トン(前年同月比35.9%減、前月比32.7%減)と、前年同月および前月を大幅に下回った(図7)。
 

 

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月から大幅に増加

 2018年7月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万6282トン(前年同月比29.9%増、前月比8.1%増)と前年同月を大幅に、また、前月をかなりの程度上回った(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり621.85ユーロ(8万3328円、前年同月比0.7%安、前月比0.1%安)と前年同月および前月比をわずかに下回った。



コラム 欧州における小麦でん粉の生産について

 欧州では、域内の77カ所のでん粉工場で小麦・トウモロコシ・ばれいしょ由来のでん粉が生産されている()。中でも小麦でん粉は、製紙業やバイオ燃料に加えて(表1)、オーガニック食品部門における引き合いが強まっており、大手でん粉製造業社によっては生産規模の拡大のため、でん粉の原料をトウモロコシから小麦に切り替える事例もあるという。これを受け、小麦でん粉生産は増加傾向にあり、でん粉全体の生産量のうち、小麦でん粉の占める割合も緩やかに高まっている(表2)。

 なお、欧州では、穀物飼料としての小麦需要も増加傾向にある。これはオーガニック食品の人気によって、有機と認定された飼料穀物が必要とされているためである。これを受け、欧州委員会では、域内での有機飼料の作付け地域の拡大に努めているものの、でん粉用の小麦との競合になる場合があるため、一部の国では有機飼料の増産は難しいとされる。





化工でん粉

デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。

タイ

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月および前月から増加
 
2018年8月の化工でん粉の輸出量は、8万4580トン(前年同月比2.0%増、前月比14.9%増)と前年同月からわずかに、前月からはかなり大きく増加となった(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。
 

 

 

米国

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加
 
2018年8月の化工でん粉の輸出量は、3万4214トン(前年同月比17.2%増、前月比29.1%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。
 

  

 

中国

【貿易動向(注)
3月の輸出量は前年同月から大幅減も前月からはかなり増加

 2018年3月の化工でん粉の輸出量は、5581トン(前年同月比39.0%減、前月比13.8%増)と前年同月の水準を大幅に下回ったが、前月からはかなり増加した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。

 

 

EU

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月からかなりの程度、前月からもやや減少
 
2018年7月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万1913トン(前年同月比6.7%減、前月比5.3%減)と前年同月をかなりの程度、前月からもやや減少した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。


(注)輸出先の不明なものを除く。

 

 

豪州

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月からはかなり減少したものの前月からはわずかに増加

 2018年8月の化工でん粉の輸出量は、2271トン(前年同月比10.0%減、前月比0.5%増)と前年同月からかなりの程度減少したものの、前月からはわずかに増加した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。

 

 

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