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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2019年2月8日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2019年2月

 本稿中の為替レートは2018年12月末日TTS相場の値であり、1米ドル=112円(112.00円)、1タイバーツ=3.49円、1ユーロ=129円(128.50円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ(注)
総消費量は下方修正

 2018年12月時点の米国農務省(USDA)による2018/19穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、前月と同様である。また、消費関連の数値は、国内消費量のうち、エタノール向けの数値が下方修正されたため、総消費量は150億3000万ブッシェル(3億8178万トン、前年度比1.6%増)に下方修正された(表2)。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。

【価格動向:トウモロコシ(注)
生産者平均販売価格は下値が上方修正、上値が下方修正

 同じく2018/19穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.25〜3.95米ドル(364〜442円)と予測され下値が上方修正、上値が下方修正となった。上値と下値の金額の幅は狭まったものの、中間の金額は前月とほぼ同じである。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。

表2 米国のトウモロコシの需給見通し

【貿易動向:トウモロコシ(注1)
10月の輸出量は前年同月から大幅に増加

 2018年10月のトウモロコシ輸出量は、571万1428トン(前年同月比2.1倍、前月比8.4%増)と前年同月を大幅に、また前月をかなりの程度上回った(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注2))は、1トン当たり178.81米ドル(2万27円、前年同月比3.2%高、前月比0.5%安)と前年同月をやや上回った一方、前月をわずかに下回った。

(注1)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。
(注2)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。

図3 米国のトウモロコシ輸出量および輸出価格の推移

表3 米国のトウモロコシ輸出量(10月)

【貿易および価格動向:コーンスターチ】
10月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加(注1)

 2018年10月のコーンスターチ輸出量は、1万2141トン(前年同月比47.3%増、前月比18.6%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 2018年11月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注2)当たり4.97セント(5.6円、前年同月比17.8%高、前月比1.1%高)と前年同月および前月ともに上回った。

(注1)輸出量は直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。
(注2)1ポンドは約0.45キログラム。

図4 米国のコーンスターチ輸出量および市場価格の推移

表4 米国のコーンスターチ輸出量(10月)

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同月からやや上昇

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2019年1月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.8バーツ(48.2円、前年同期比3.8%高、前週比同)と、引き続き前年同月をやや上回った。2017年10月から急上昇していた価格は、翌6月にいったん下落したものの、8月末から再度上昇に転じ、10月は高止まりしていたものの、同月末から6週連続で下落した後、3週連続で価格の変動はなかった(図5)。

図5 タイのタピオカでん粉国内価格の推移

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月からかなりの程度増加

 2018年11月のタピオカでん粉輸出量は、28万1856トン(前年同月比9.4%増、前月比9.5%減)と前年同月からかなりの程度増加した一方、前月からはかなりの程度減少した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、6月から3カ月連続で前月から下落した後、9月から2カ月連続で上昇したが、11月は1トン当たり472.5米ドル(5万2920円、前年同月比16.7%高、前月比7.9%安)と下落に転じた(図6)。

図6 タイのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

表5 タイのタピオカでん粉輸出量(11月)

ベトナム

【生産動向】
10月の作付面積は前年同月からやや減少

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると農業農村開発省(MARD)の統計では2018年10月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、前月からわずかに拡大したものの、48万7827ヘクタール(前年同月比4.2%減)と前年同月をやや下回った(表6)。

 主産地の一つである南東地域のタイニン省では、前年度よりも1カ月早く雨季が終了したことから、10月末にキャッサバの新植を前倒して行った。ただし、同省では、キャッサバモザイク病の影響によって苗木が不足しており、1キログラム当たり3〜5万ベトナムドンと高騰している。また、同省では、11月初旬にはでん粉原料向けのキャッサバが底をつき、次の収穫が始まるのは12月の予定である。このような原料不足を受け、隣国カンボジアから1日当たり6000トン超と前年を大きく上回るキャッサバを原料として輸入しているものの、でん粉工場の稼働率は前年同期比50〜70%減と大きく落ち込んでいる。

 中央高原地域では、でん粉原料用キャッサバが不足しているものの、雨量が減ったことから、でん粉含有量が25〜26%と原料の品質が改善された。ただし、生産者によっては、キャッサバモザイク病が流行したタイニン省産の株を使用したことから、同地域でもモザイク病の影響を受け、生産量や単収が著しく減少している。

表6 ベトナムのキャッサバ作付面積

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月からはかなり大きく減少の一方、前月から大幅に増加

 AgroMonitorによると、2018年10月のタピオカでん粉輸出量は、16万492トン(前年同月比12.1%減、前月比36.8%増)と、前年同月からはかなり大きく減少の一方、前月からは大幅に増加した(図7)。

図7

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月からかなり大きく減少の一方、前月から大幅に増加

 2018年10月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万7308トン(前年同月比15.6%減、前月比35.6%増)と前年同月をかなり大きく下回った一方、前月を大幅に上回った(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり664.03ユーロ(8万5660円、前年同月比9.8%高、前月比7.6%高)と前年同月および前月をかなりの程度上回った。

(注)輸出先の不明なものを除く。

図8 EUのばれいしょでん粉輸出量および輸出価格の推移

表7 EUのばれいしょでん粉輸出量(10月)

コラム 中国におけるコーンスターチの生産について

 中国のでん粉生産量は増加傾向にあり、中でもでん粉生産の9割超を占めるコーンスターチの生産量および消費量は世界最大である。中国のコーンスターチの生産量は、2017年に過去最高の2590万トン(前年比15%増)を記録した。これは、インターネット通販の宅配業務や小型家電の梱包資材に用いられる原料として、コーンスターチ需要が急増しているためである。なお、中国国内でコーンスターチは約6割が異性化糖、1割弱が製紙、6〜7%がビール・食品、5〜6%が製薬に仕向けられているとみられる。

 専門家によると、2018年のコーンスターチ生産能力は、少なくともさらに500万トン増加するという。現時点では、コーンスターチの生産能力が需要を上回っているが、今後のさらなる需要拡大を見込み、多くの企業が設備投資を行い、生産能力の拡大を図っている。一方、業界団体では、設備が不十分な中小企業も多く残っており、中長期的にそれらの再編や合併などの動きが活性化する可能性が高いとみている。
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。

タイ

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月からやや、前月からはわずかに減少

 2018年11月の化工でん粉の輸出量は、9万3642トン(前年同月比3.5%減、前月比1.0%減) と前年同月からやや、また前月からもわずかに減少した(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。

図9 タイの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表8 タイの化工でん粉輸出量(11月)

米国

【貿易動向(注)
10月の輸出量は前年同月からかなり大きく増加したものの、前月からはわずかに増加

 2018年10月の化工でん粉の輸出量は、3万1676トン(前年同月比14.0%増、前月比1.9%増)と前年同月からかなり大きく、また前月からはわずかに増加となった(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。

図10  米国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表9 米国の化工でん粉輸出量(10月)

中国

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月を大幅に、前月からはかなり大きく増加

 2018年11月の化工でん粉の輸出量は、9880トン(前年同月比71.8%増、前月比13.5%増)と前年同月を大幅に、前月からはかなり大きく増加した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。

図11 中国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表10 中国の化工でん粉輸出量(11月)

EU

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月からやや、前月からはかなり大きく増加

 2018年10月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万7561トン(前年同月比5.2%増、前月比12.5%増)と前年同月をやや、前月からはかなり大きく増加した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

(注)輸出先の不明なものを除く。

図12 EUの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表11 EUの化工でん粉輸出量(10月)

豪州

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月からはかなりの程度増加した一方、前月からはかなり大きく減少

 2018年10月の化工でん粉の輸出量は、2429トン(前年同月比7.7%増、前月比11.3%減)と前年同月からはかなりの程度増加したものの、前月からはかなり大きく減少した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。

図13 豪州の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表12 豪州の化工でん粉輸出量(10月)

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