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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2019年7月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2019年7月

 本稿中の為替レートは2019年5月末日TTS相場の値であり、1米ドル=110円(110.36円)、1タイ・バーツ=3.51円、1ユーロ=123円(123.24円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
生産量予測は下方修正

 2019年6月、米国農務省(USDA)による2019/20穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、前年度と比較して作付面積がわずかに増加するものの、主産地の天候不順などによる作付けの遅れなどによって前月予測から単収が下方修正されたことから、生産量は136億8000万ブッシェル(3億4749万トン、前年度比5.1%減)に下方修正された。また、消費関連の数値は、国内消費量のうち、飼料など向けや輸出量が下方修正されたことから、総消費量は142億5000万ブッシェル(3億6196万トン、同1.0%減)に下方修正された(表2)。

 【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格は上方修正 

 2019/20穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.80米ドル(418円)と予測され、上方修正された。

表2

【貿易動向:トウモロコシ】
3月の輸出量は前年同月からは大幅に減少したものの、前月からは大幅に増加

 2019年3月のトウモロコシ輸出量は、478万6387トン(前年同月比26.4%減、前月比31.8%増)と前年同月を大幅に下回ったものの、前月と比べると大幅に上回った(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。
 
 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり183.53米ドル(2万188円、前年同月比4.2%高、前月比0.3%安)と前年同月と比べるとやや高かったものの、前月からはわずかに安くなった。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。

図3

表3

【貿易および価格動向:コーンスターチ】
3月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からかなりの程度増加

  2019年3月のコーンスターチ輸出量は、1万1754トン(前年同月比33.6%増、前月比10.9%増)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度増加した(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 同月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり5.82セント(6.4円、前年同月比10.9%高、前月比0.5%安)と前年同月を上回ったものの、前月からはわずかに下回った。

(注)1ポンドは約0.45キログラム。

図4

表4

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同期から大幅に下落

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2019年6月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.1バーツ(46.0円、前年同期比18.1%安、前週比1.5%安)となった。2017年9月26日以降、前年同期を上回って推移していたタピオカでん粉の国内価格は、2018年末にかけて下落し、2019年1月末に前年同期の価格を下回った。その後、5月第1週以降、徐々に下落し6月第2週には13.1バーツまで落ち込んだ(図5)。

図5

【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月から大幅に増加の一方、前月からは大幅に減少

 2019年4月のタピオカでん粉輸出量は、19万5517トン(前年同月比17.1%増、前月比40.8%減)と前年同月から大幅に増加の一方、前月からは大幅に減少した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。
 
 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、同464.0米ドル(5万1040円、前年同月比14.3%安、前月比0.9%高)と、前年同月からはかなり大きく下落したものの、前月からはわずかに上昇した(図6)。
 【※文章および図を修正しました(2019.10.31)】

図6

表5

ベトナム

【生産動向(注)
3月の作付面積は前年同月からかなり大きく拡大

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、農業農村開発省(MARD)の統計では2019年3月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、前月から3割増となったことから、12万3112ヘクタール(前年同月比12.6%増)と前年同月をかなり大きく上回った(表6)。特に、北部中央地域での拡大が著しく、前月比4.2倍となった。これは同地域でキャッサバの収穫が終盤となり、次期の新植を行ったためである。ただし、現地の生産者によると、水不足から多くのキャッサバが枯れ、再度の作付けが必要な状況であるという。なお、今年の雨季の到来は例年と比べて1カ月遅れの5月初旬になると予測されている。

 主要生産地域であるタイニン省では、前月から作付面積が22.4%(3万1000ヘクタール)増加したものの、前年同期と比べると5.9%減少している。同省では暑さが最も厳しい時期で雨が少なく、地面が固くなっているため、キャッサバの収穫が困難な状況にあることから、新植が進んでいない。このため、タピオカでん粉の原料として、カンボジアから1日当たり3000〜4000トンほどのキャッサバが輸入されている。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。

表6

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 AgroMonitorによると、2019年3月のタピオカでん粉輸出量は、21万360トン(前年同月比21.6%増、前月比98.5%増)と、前年同月および前月から大幅に増加した(図7)。

図7

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはわずかに減少

 2019年3月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万23トン(前年同月比24.8%減、前月比2.1%減)と前年同月からは大幅に、前月からはわずかに減少した(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。
 
 また、輸出価格(FOB)は2018年10月から6カ月連続で上昇を続けており、同月は1トン当たり819.48ユーロ(10万796円、前年同月31.9%高、前月比3.5%高)と前年同月の620.70ユーロ(7万6346円)を大幅に上回った。

(注)輸出先の不明なものを除く。

図8

表7

コラム ロシアのでん粉(2)
 ロシアの2017年のでん粉輸入量は、前年比1.0%増の3万8000トンとなったものの、国内生産量の増加に伴い、長期的に見ると減少傾向にある。総供給量に占める輸入量の割合は、2012年に2割強あったものが、2017年においては16%まで減少している(コラム−図1)。
 

 
 2017年において、輸入量の4割強は、ばれいしょでん粉が占め、次いで、コーンスターチ、小麦でん粉と続く(コラム−図2)。ばれいしょでん粉はデンマーク、コーンスターチはウクライナ、小麦でん粉はリトアニアが主な輸入先である(コラム−表1)。
 


 また、でん粉輸出は、コーンスターチが中心でウズベキスタンやカザフスタンといった近隣諸国へ仕向けられている(コラム−表2)。


(注) コラム ロシアのでん粉(1)は『砂糖類・でん粉情報2019年6月号』に掲載。

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。

タイ

【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月からはやや、前月からは大幅に減少

 2019年4月の化工でん粉の輸出量は、8万1867トン(前年同月比5.6%減、前月比26.2%減)と前年同月からはやや、前月からは大幅に減少した(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。

図9

表8

米国

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月からはやや、前月からは大幅に増加 

 2019年3月の化工でん粉の輸出量は、3万597トン(前年同月比3.7%増、前月比23.0%増)と前年同月からはやや、前月からは大幅に増加となった(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

図10

表9

中国

【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少
 2019年4月の化工でん粉の輸出量は、5394トン(前年同月比62.9%減、前月比33.9%減)と前年同月および前月から大幅に減少した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。

図11

表10

EU

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月からはかなりの程度減少したものの、前月からはやや増加

 2019年3月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万574トン(前年同月比6.2%減、前月比4.8%増)と前年同月からはかなりの程度減少したものの、前月からはやや増加した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

(注)輸出先の不明なものを除く。

図12

表11

豪州

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月からはわずかに、前月からはやや増加

 2019年3月の化工でん粉の輸出量は、2277トン(前年同月比0.8%増、前月比4.3%増)と前年同月からはわずかに、前月からはやや増加した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。

図13

表12

このページに掲載されている情報の発信元
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