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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2020年4月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2020年4月

 本稿中の為替レートは2020年4月末日TTS相場の値であり、1米ドル=108円(107.87円)、1タイ・バーツ=3.38円、1ユーロ=118円(117.50円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
新年度の需給予測、生産量は前年度から大幅に増加する見込み

 2020年5月、米国農務省(USDA)による2020/21穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測が初めて公表された。これによると、作付面積は9700万エーカー(3926万ヘクタール、前年度比8.1%増)とかなりの程度増加し、単収も前年度を上回ることから、生産量は159億9500万ブッシェル(4億629万トン、同17.1%増)と大幅に増加すると見込まれる。消費関連の数値は国内消費量、輸出量ともに前年度を上回ることから、総消費量は148億ブッシェル(3億7593万トン、同7.0%増)とかなりの程度増加すると見込まれる。期末在庫は増産を受けて、33億1800万ブッシェル(8428万トン、同58.2%増)と大幅に増加する見込みである(表2)。
 
【価格動向:トウモロコシ】
新年度の生産者平均販売価格、前年度をかなり大きく下回る見込み
 
2020/21穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は増産を受けて、1ブッシェル当たり3.20米ドル(346円)と前年度をかなり大きく下回る見込みである。

表2

【貿易動向:トウモロコシ】
2月の輸出量は前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に増加

 2020年2月のトウモロコシ輸出量は、392万6125トン(前年同月比8.1%増、前月比56.7%増)と前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。
 
 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり186.1米ドル(2万99円、同1.1%高、同0.4%高)と前年同月および前月からわずかに上昇した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。

表3

図 米国のトウモロコシ

【価格動向:コーンスターチ】
4月のコーンスターチ市場価格は前年同月を大幅に下回る

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2020年4月のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり3.07セント(3.3円、前年同月比46.8%安、前月比40.1%安)と前年同月および前月から大幅に下落し、2016年8月以来、3年8カ月ぶりに3セント台まで下落した(図3)。

(注)1ポンドは約0.45キログラム。

 

【貿易動向:コーンスターチ】
2月の輸出量は前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少

 2020年2月のコーンスターチ輸出量は、1万3143トン(前年同月比24.0%増、前月比2.4%減)と前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり597.0ドル(6万4476円、同0.3%安、同1.8%安)と前年同月および前月からわずかに下落した。

表4

図 米国のコーンスターチ

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同期をやや下回る

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2020年5月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり12.8バーツ(43円、前年同期比5.2%安、前週同)となり、2019年12月末から同12バーツ台後半で安定して推移している(図4)。

図3

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月からは大幅に減少したものの、前月からはかなりの程度増加

 2020年3月のタピオカでん粉輸出量は、23万7128トン(前年同月比28.3%減、前月比8.1%増)と、前年同月からは大幅に減少したものの、前月からはかなりの程度増加した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり429.0米ドル(4万6332円、同6.7%安、同1.9%安)と、前年同月からはかなりの程度、前月からはわずかに下落した。

表5

図 タイのタピオカ

ベトナム

【生産動向(注1)
3月は北部でキャッサバの新期作付けが始まる

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、キャッサバの収穫を終えた北部では、3月に入り新期作付けに移行し、月末までにほとんどの地域で作付けを終えている状況にある。なお、北部最大の作付面積を誇るソンラ省の高地では、一部で降雨の影響で作付けが滞っている状況であるが、同省のキャッサバの作付面積は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて、自家労働力を十分に確保できたことにより、前年度を上回ると見込まれている。

 その一方で、南部に位置し、作付面積が同国第1位のザライ省では、収穫が終盤に差し掛かっているが、干ばつ被害により、収穫されたキャッサバのでん粉含有量は25〜26%と低下し(注2)、その多くはでん粉工場へ出荷されている状況にある。

(注1)2020年3月15日時点の推計値が公表されなかったため、今月号ではベトナムのキャッサバ作付面積の表は掲載しない。
(注2)干ばつ前のキャッサバのでん粉含有量は、28〜30%程度。


【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 AgroMonitorによると、2020年3月のタピオカでん粉輸出量は、24万7415トン(前年同月比17.6%増、前月比2.1倍)と、前年同月および前月から大幅に増加した。同国の主要国別輸出量は、表6の通りである。

表6

図 ベトナムのタピオカでん粉

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向(注1)
1月の輸出量は前年同月および前月からわずかに減少

 2020年1月のばれいしょでん粉輸出量(注2)は、2万4199トン(前年同月比1.7%減、前月比2.3%減)と前年同月および前月からわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり705ユーロ(8万5305円、同5.9%安、同3.1%安)と前年同月および前月からやや下落した。

(注1)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。
(注2)輸出先の不明なものを除く。

表7

図 EUのばれいしょでん粉

コラム スウェーデンのでん粉原料用ばれいしょおよびばれいしょでん粉の生産について

 スウェーデンは日本の約1.2倍の面積を有する北欧で最も面積の広い国である。寒冷な気候のため、人口の約90%が国土の南半分に居住しており、ばれいしょの生産も南部を中心としている。中でもでん粉原料用ばれいしょは、主に南部沿岸のスコーネ県、ブレーキング県、カルマル県で栽培されている(コラム−図1)。

 同国のでん粉原料用ばれいしょの生産量は、2018年に欧州の北部を中心として発生した干ばつの影響を受けて減少したものの、30万トン前後で安定して推移している(コラム−図2)。2019年の作付面積は7370ヘクタール(前年比6.9%減)とかなりの程度減少したものの、単収が前年を上回り平年並みとなることから、生産量は30万9500トン(同13.0%増)とかなり大きく増加すると予測されている。
 
 同国ででん粉を製造する企業は2社あるが、ばれいしょでん粉を製造しているのはLyckeby社のみである。同社はスコーネ県に1カ所、ブレーキング県に2カ所の工場を所有し、年間7万〜9万トンのばれいしょでん粉を製造している。同社のばれいしょでん粉は、近年、需要の高まりを見せているクリーンラベル(注)表示を採用しており、主に食品向けに仕向けられているほか、一部は化工されて製紙産業でも使用されている。

(注)クリーンラベルは明確な定義はないものの、一般的に表示が単純明快で、かつナチュラル・ヘルシー・クリーンな原材料のみを使用している(いわゆる食品添加物や化学合成物質を使用していない)食品とされている。

 




 

 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月からはわずかに減少したものの、前月からは大幅に増加

 2020年3月の化工でん粉の輸出量は、10万9344トン(前年同月比1.4%減、前月比33.5%増)と前年同月からはわずかに減少したものの、前月からは大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。

表8

図 タイの化工でん粉

米国

【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月および前月からわずかに増加

 2020年2月の化工でん粉の輸出量は、2万5198トン(前年同月比1.3%増、前月比2.3%増)と前年同月および前月からわずかに増加した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

表9

図 米国の化工でんぷん

中国

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月からかなりの程度増加

 2020年3月の化工でん粉の輸出量は、8712トン(前年同月比6.8%増)と前年同月からかなりの程度増加した。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。

(注)Global Trade Atrasの元データである中国海関総署の貿易統計が2020年1〜2月合算で公表されたため、今月号では前月比は掲載せず、前年同月比だけを掲載した。

表10

図 中国の化工でん粉

EU

【貿易動向(注1)
1月の輸出量は前年同月および前月からかなりの程度増加

 2020年1月の化工でん粉の輸出量(注2)は、4万6625トン(前年同月比8.9%増、前月比10.7%増)と前年同月および前月からかなりの程度増加した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

(注1)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。
(注2)輸出先の不明なものを除く。

表11

図 EUのでん粉

豪州

【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく減少

 2020年2月の化工でん粉の輸出量は、1590トン(前年同月比27.2%減、前月比14.3%減)と前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく減少した。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。

表12

図 豪州の化工でん粉

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農畜産業振興機構  調査情報部  (担当:企画情報グループ)
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