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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2021年2月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2021年2月

 本稿中の為替レートは2020年12月末日TTS相場の値であり、1米ドル=105円(104.50円)、1タイバーツ=3.52円、1ユーロ=128円(128.45円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
2020/21年度の世界のトウモロコシ期末在庫量、前月予測からわずかに下方修正し、前年度比6.3%減

 2021年1月12日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2020/21年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。

 これによると、2020/21年度の世界のトウモロコシ生産量は11億3389万トン(前年度比1.6%増、前月比0.8%減)へわずかに下方修正された。国別に見ると、米国では単収などの減少により824万トン、アルゼンチンとブラジルではラニーニャ現象による乾燥気候の影響で単収が下方修正されたため、それぞれ150万トン、100万トン下方修正された。しかし、米国(3億6025万トン、前年度比4.1%増)およびブラジル(1億900万トン、同6.9%増)で前年度の生産量を上回ることから、依然として記録的な生産量となることが見込まれている。

 輸出量は、世界全体で1億8363万トン(前年度比8.0%増、前月比1.3%減)へわずかに下方修正された。国別に見ると、米国で生産量の下方修正などにより254万トン下方修正された。輸入量は、世界全体で1億7628万トン(同6.7%増、同1.8%減)へわずかに下方修正された。国・地域別に見ると、アフリカ豚熱からの回復が進み、飼料向け需要が増加し、トウモロコシの国内価格が上昇している中国で100万トン上方修正されたが、EUやメキシコなどで下方修正された。

 消費量は、世界全体で11億5306万トン(同1.7%増、同0.4%減)へわずかに下方修正され、生産量を1917万トン上回ることとなった。国別に見ると、中国で輸入量の増加に伴い150万トン上方修正されたが、米国で381万トン下方修正された。

 期末在庫は、世界全体で513万トン下方修正された結果、2億8383万トン(同6.3%減、同1.8%減)と見込まれている。国別に見ると、中国で17万トン上方修正されたが、減産する米国で381万トン、ブラジルで100万トン下方修正された。


米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
2020/21年度の米国トウモロコシ期末在庫量、前月予測からかなりの程度下方修正し、前年度比19.1%減

 2021年1月12日、USDA/WAOBは、2020/21 年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである(表3)。

 国内生産量は、単収などがわずかに下方修正されたことから、141億8200万ブッシェル(3億6024万トン(注)、前年度比4.1%増、前月比2.2%減)へわずかに下方修正された。

 国内消費量は、飼料など向けが5000万ブッシェル、エタノール向けが1億ブッシェル下方修正されたため、全体では120億2500万ブッシェル(3億545万トン、同1.3%減、同1.2%減)へわずかに下方修正された。

 輸出量は、国内生産量の下方修正や、生産者平均販売価格の上方修正により、25億5000万ブッシェル(6477万トン、同43.4%増、同3.8%減)へやや下方修正された。しかし、依然として記録的な輸出量となる見通しである。

 期末在庫は、2019/20年度の期末在庫(推計値)が下方修正されたことに加え、2020/21年度の総供給量の減少幅が総消費量の減少幅を超えたことから、15億5200万ブッシェル(3942万トン、同19.1%減、同8.8%減)へかなりの程度下方修正された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は10.6%(同3.1ポイント減、同0.9ポイント減)へ下方修正され、干ばつの影響により生産量が大幅に減少したことで期末在庫率が1桁まで低下した、2013/14年度以来の低水準となる見通しである。

 また、生産者平均販売価格は、期末在庫のさらなる下方修正が主な要因となって、前月より0.2米ドル高い1ブッシェル当たり4.20米ドル(441円。1キログラム当たり17.4円)と予測された。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。

表3

【貿易動向:トウモロコシ】
10月の輸出量、前年同月から大幅に増加するも、前月からやや減少

 2020年10月のトウモロコシ輸出量は、369万6513トン(前年同月比59.5%増、前月比3.1%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月よりやや減少した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり182.4米ドル(1万9152円、同1.8%安、同4.7%高)と前年同月からわずかに下落したものの、前月よりはやや上昇した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。




 
【貿易動向:コーンスターチ】
10月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 2020年10月のコーンスターチ輸出量は、1万8868トン(前年同月比78.7%増、前月比17.1%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり525.0米ドル(5万5125円、同21.1%安、同0.6%安)と前年同月からは大幅に、前月からはわずかに下落した。

 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2020年10月の製粉業者の純費用は、1ポンド(注)当たり6.07セント(6.4円、前年同月比13.5%安、前月比13.9%高)と前年同月からかなり大きく下落したものの、前月よりはかなり大きく上昇し、5カ月連続の上昇となった。

(注)1ポンドは約0.45キログラム。
 

 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2020/21年度のキャッサバ生産量は前年度からかなりの程度増加する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の2020年12月現在の予測によると、2020/21年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は886万ライ(142万ヘクタール(注)、前年度比1.8%増、前月同)と増加し、単収も1ライ当たり3.27トン(同4.1%増、前月同)と増加することから、生産量は2898万トン(同6.0%増、前月同)と前年度からかなりの程度増加すると予測されている(表6)。

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。


【価格動向】
国内価格、前年同期からやや上昇

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2021年1月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.5バーツ(48円、前年同期比5.5%高、前週同)と前年同期からやや上昇した(図3)。2018年末以降、価格は比較的安定して推移しているが、キャッサバチップ価格の上昇に伴い、2020年10月以降は上昇傾向にある。

図3

【貿易動向】
11月の輸出量、前年同月および前月から大幅に増加

 2020年11月のタピオカでん粉輸出量は、26万6716トン(前年同月比39.1%増、前月比16.3%増)と、前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり462.5米ドル(4万8563円、同2.2%高、同2.8%高)と、前年同月および前月からわずかに上昇した。

表7

図 タイのタピオカ

ベトナム

【生産動向】
1市19省でキャッサバモザイク病が発生

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、同国で2017年以降、継続的に発生しているキャッサバモザイク病(注)は収束せず、11月中旬には、中央直轄5都市および58省のうち、1市19省の合計5万2370ヘクタール(前年度比71.1%増)で感染が確認された。そのうち約30%(1万5239ヘクタール)でキャッサバの枯死が確認されており、今後も引き続きキャッサバモザイク病の拡大状況や生産への影響について注視する必要がある。なお、主産地であるタイニン省では、キャッサバモザイク病が拡大している状況を受けて、主要な作付け品種として、同疾病に対して耐性があるとされるキャッサバの品種HN5への移行が進んでいるとしている。

(注)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最終的には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイ、カンボジアでも流行している。

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月からかなりの程度減少するも、前月より大幅に増加

 AgroMonitorによると、2020年11月のタピオカでん粉輸出量は、23万2181トン(前年同月比6.6%減、前月比19.3%増)と、前年同月からかなりの程度減少したものの、前月より大幅に増加した。同国の主要国別輸出量は、表8の通りである。

表8

図 ベトナムのタピオカでん粉

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
10月の輸出量、前年同月からかなりの程度減少するも、前月よりかなりの程度増加

 2020年10月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万5146トン(前年同月比10.5%減、前月比10.2%増)と前年同月からかなりの程度減少したものの、前月よりかなりの程度増加した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり638ユーロ(8万1664円、同15.9%安、同4.7%安)と前年同月からはかなり大きく、前月からはやや下落した。

(注)EU27カ国の輸出量。輸出先の不明なものを除く。

表9

図 EUのばれいしょでん粉


コラム ラトビアのでん粉原料用ばれいしょ、ばれいしょでん粉の需給動向
 

 日本の約6分の1の国土面積を有するラトビアは、欧州の中央部に位置することから運輸業が主要産業となっているほか、中東欧の主要なばれいしょでん粉生産国の一つとしても挙げられる。ラトビア中央統計局によると、2020年の同国のばれいしょ生産量は約38万トンであり、これを地域別に見ると、最も生産が盛んな地域は、南部のゼムガレ地域(約14万トン)で全体の37%を占めた(コラム−図1)。これに続くのは、首都リガを囲むピエリガ地域(約8万トン)で同21%、北部のヴィゼメ地域(約7万トン)で同19%であった。
 


 

 ラトビア農務省によると、近年、同国のでん粉原料用ばれいしょの作付面積は増加傾向にあり、2016年には670ヘクタールであったものの、2020年には1000ヘクタールとなった(コラム−表)。作付面積の増加に伴い、ばれいしょの加工量も増加しており、2016年には1万3460トンであったが、2020年には約1万9460トンとなった。一方、単収は増減を繰り返しており、過去5年間で見ると1ヘクタール当たり約17〜24トンで推移している。これは、干ばつなどの気候条件や害虫の発生状況に左右されるほか、慣行農業と比較して単収が低い有機農業を選択する生産者数が年々増加していることが背景となっている。
 


 

 ラトビア唯一のばれいしょでん粉製造企業であるAloja Starkelsen社は、同国内のみならず、エストニアやリトアニアなど近隣諸国の農家とも契約を結び、でん粉原料用ばれいしょを調達している。同社のばれいしょでん粉生産量は2017年以降、毎年増加傾向で推移しており、2020年は約4400トンとなった(コラム−図2)。同社は有機ばれいしょでん粉製造も行っており、欧州の主要な有機ばれいしょでん粉製造企業の一つとして位置付けられている。欧州の有機農業は、環境保護やアニマルウェルフェア(動物福祉)への配慮、消費者の健康志向の高まりなどを受けて成長しており、ラトビアでも慣行農業との比較において低単収にあるものの、有機農業を採用する生産者数や作付面積は増加傾向にあり、今後も増加基調は持続すると見込まれている。

 

 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
11月の輸出量、前年同月からはかなり大きく、前月からはかなりの程度減少

 2020年11月の化工でん粉の輸出量は、8万692トン(前年同月比11.1%減、前月比7.5%減)と前年同月からはかなり大きく、前月からはかなりの程度減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表10の通りである。

表10

図 タイの化工でん粉

米国

【貿易動向】
10月の輸出量、前年同月からわずかに増加するも、前月よりわずかに減少

 2020年10月の化工でん粉の輸出量は、2万4252トン(前年同月比1.5%増、前月比1.8%減)と前年同月からわずかに増加したものの、前月よりわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

表11

図 米国の化工でんぷん

中国

【貿易動向】
11月の輸出量、前年同月からはかなり大きく、前月からは大幅に減少

 2020年11月の化工でん粉の輸出量は、5547トン(前年同月比13.1%減、前月比21.1%減)と前年同月からはかなり大きく、前月からは大幅に減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表12の通りである。

表12

図 中国の化工でん粉

EU

【貿易動向】
10月の輸出量、前年同月からはやや、前月からはわずかに減少

 2020年10月の化工でん粉の輸出量(注)は、5万1955トン(前年同月比5.9%減、前月比2.6%減)と、前年同月からはやや、前月からはわずかに減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表13の通りである。

(注)EU27カ国の輸出量。輸出先の不明なものを除く。

表13

図 EUのでん粉

豪州

【貿易動向】
10月の輸出量、前年同月および前月から大幅に増加

 2020年10月の化工でん粉の輸出量は、3636トン(前年同月比71.1%増、前月比2.4倍)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表14の通りである。

表14

図 豪州の化工でん粉

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構  調査情報部  (担当:企画情報グループ)
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