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第29回国際砂糖機関(ISO)セミナー報告

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最終更新日:2021年4月9日

第29回国際砂糖機関(ISO)セミナー報告〜新型コロナウイルス感染症や気候変動をめぐる砂糖産業の動向および今後の課題〜

2021年4月

調査情報部

【要約】

 2020年11月24日〜 25日に開催された第29回国際砂糖機関(ISO)セミナーでは、世界の砂糖の需給見通しのほか、新型コロナウイルス感染症が砂糖産業に及ぼす影響や気候変動に対する各国の取り組みなどが報告された。

はじめに

 国際砂糖機関(ISO:International Sugar Orga-nization)は2020年11月24日〜25日、「コロナウイルスと気候変動をめぐる短期的および長期的な課題(Coronavirus and Climate Change : Short and Long Term Challenge)」をテーマにオンラインセミナーを開催し、世界54カ国から総勢251名が参加した。同セミナーは、1991年から開催され、今回で29回目の開催となった。

 本稿では、同セミナーに参加して得た情報などを踏まえて、世界の砂糖需給見通しのほか、新型コロナウイルス感染症(COVID–19)や気候変動をめぐる最近の砂糖産業の動向および課題などについて報告する。なお、特段の断りが無い限り砂糖年度は10月〜翌9月とし、砂糖の数量は実数(tel quel:粗糖換算前の数量)で示すものとする。

1. 世界の砂糖需給などの短期見通し

 まず、ISOが発表した2020年11月現在の世界の砂糖需給予測を基に、2020/21年度末までの砂糖需給の見通しを以下に記す。

(1)世界の砂糖需給の概況

 世界の砂糖生産量は、エルニーニョ現象の影響などにより主産国で軒並み減産した2015/16年度以降、増加傾向で推移し、2017/18年度には過去11年間で最多となる1億7979万トンを記録した(表1)。しかし、その後は減少に転じ、2019/20年度は天候不順によるインドの減産などが影響して 1億7160万トン(前年度比1.5%減)、2020/21年度は、欧州における乾燥気候の影響や()(おう)病の流行などを受けて1億7113万トン(同0.3%減)とわずかに減少すると見込まれている。

 一方、砂糖消費量は、2017/18年度以降減少傾向で推移し、2019/20年度は世界規模で実施されたCOVID–19の拡大抑制策による経済の低迷により、1億6975万トン(同0.6%減)とわずかに減少することが見込まれる。しかし2020/21年度は、一部の国における経済活動の復調を受けて1億7464万トン(同2.9%増)とわずかに増加することが見込まれる。また、2020/21年度は3年ぶりに、消費量が生産量を上回る見通しとなっている(図1)。

 

 

(2)主産国の状況

 砂糖生産量について、2020/21年度の主産国(生産量上位10カ国(注))を見ると、世界最大の生産国であるブラジルは、ラニーニャ現象による乾燥気候の影響などを受けて、3528万トン(前年度比11.4%減)とかなり大きく減少すると見込まれる(図2)。一方、第2位のインドは、雨季の降雨に恵まれて3100万トン(同13.1%増)とかなり大きく増加すると見込まれている。また、EUおよび英国は1626万トン(同2.0%減)とわずかに減少し、中国は1050万トン(同0.8%増)とわずかに増加すると見込まれている。なお、輸出量で世界第2位のタイは、干ばつの影響を受けてサトウキビの不作が続き、820万トン(同1.0%減)と、3年連続の減産が見込まれている。

(注)日本は第26位(75万トン、前年度同)。

 砂糖消費量は、EUおよび英国を除いた主産国で増加すると見込まれている。特に、最大消費国であるインドは2560万トン(同5.4%増)、中国は1671万トン(同3.5%増)、パキスタンは560万トン(同3.8%増)、タイは313万トン(同3.6%増)とアジア圏で堅調に増加するほか、豪州も102万トン(同5.1%増)と増加する見込みである。

 砂糖輸入量は、世界最大の砂糖輸入国である中国で628万トン(同13.1%増)とかなり大きく増加すると見込まれ、第3位の米国も328万トン(同8.4%増)と増加が見込まれている(なお第2位はインドネシアで519万トン〈同14.4%減〉)。

 砂糖輸出量は、輸出量第1位のブラジルで2621万トン(同2.3%減)、第2位のタイはサトウキビの不作により524万トン(同37.2%減)と減少が見込まれている。
 

 

 

2. 新型コロナウイルス感染症が砂糖需給に及ぼす影響

 本セミナーでは、新型コロナウイルス感染症(COVID–19)の拡大・まん延が世界および各国の砂糖需給に及ぼす影響について紹介された。

(1)世界の砂糖需給への影響

 英国の調査会社であるLMC Internationalは、 COVID–19の世界的な流行によって状況は一変したと述べた。同社は2020年1〜3月ごろ、2019/20年度(10月〜翌9月)の全世界の砂糖生産量は、タイのサトウキビ生産量の減少などを受けて消費量を800万〜1000万トン程度(粗糖換算)下回ると予測していた。しかし10月時点の予測では、CO-VID–19の拡大抑制のために各国で実施された都市封鎖や移動制限、経済の停滞などが引き起こした世界的な砂糖消費量の減少(注)や、燃料需要の落ち込み(図3)によるブラジル産砂糖生産量の増加(製糖へのサトウキビ仕向け割合の増加)によって生産量が消費量をわずかに上回り、需給が均衡に向かうと分析しており、2020/21年度についても、同様の状況が続くとしている。

(注)都市封鎖によってカフェやレストランなどの飲食店における砂糖消費量が減少したほか、観光産業を主な産業としている国では旅行客の大幅な減少が砂糖需要に大きな影響を与えたことが指摘された。

 また同社は、2020年は世界的な砂糖需要の鈍化傾向が現れたにもかかわらず、同年の月別輸出量は増加傾向で推移し、10月までの累計砂糖輸出量は、前年同期と比べて約700万トン増加(増加分のほとんどが粗糖)したと述べた。この世界的な砂糖輸出量の増加をけん引したのは主にブラジルで、 2020年1〜10月までの同国産砂糖の累計輸出量は、前年同期比で約1000万トン増加し、タイなどによる輸出の落ち込み分を補完したとしている。

 砂糖の主要輸出先としては、中国、インドネシア、インド、中東、北アフリカ諸国などを挙げ、特に輸入量が急増している中国では、農家からのサトウキビやてん菜の買い取り価格が地方政府によって高水準に設定されているため、国内産砂糖価格は国際価格と比べてかなり高く、50%の関税が課せられた砂糖を輸入した場合でも、国内価格より安価となる状況にあることから、砂糖の輸入は増加傾向にあるとした。
 

 

(2)主産国への影響

ア  ブラジル

 ブラジルの大手製糖業者の一つで、70年以上の歴史を持つSão Martinho社の代表が本セミナーに登壇した。COVID–19の拡大を受けて隔離政策が実施され、エタノール価格の下落や砂糖消費量の減少が引き起こされた中で、バイオ燃料など再生可能エネルギーの生産・利用の促進を図る国家政策「RenovaBio」が初めて実施された2020年は、製糖業者にとって困難な年であったと述べた(図4)。一方、米ドルに対し現地通貨レアルが安値で推移したこと、手指消毒液用途の工業用エタノール需要の拡大、同年10月の国内砂糖消費量の回復(家庭向け商品の消費量増加)は製糖業者にとって追い風となったとした。同国中南部地域の2020年における砂糖生産量は3800万トン(前年比46.2%増)に達する見込みであり、価格変動の大きな市場においては、状況に応じ、他部門での収益を確保できる体制を整えるなどして、サトウキビの砂糖とエタノールへの仕向け割合を柔軟に変えることで、それぞれの生産量を最適化する対応が今後も肝要であるとした。

イ  EUおよび英国

 欧州砂糖製造者協会(CEFS)やドイツ農民協会(DBV)の講演によると、2019/20年度のEUにおける砂糖消費量は、COVID–19の拡大抑制のための都市封鎖などによる消費減退を背景に、50万トン程度減少すると予測されている。また、都市封鎖の打撃を特に受けたのは外食産業であるとし、2回目の都市封鎖による一層の需要低下を懸念している。一方、製糖工場は、消費者への砂糖供給を確保するために操業が継続されたほか、病院や薬局へ供給するために消毒用エタノールを生産したとのことであった。

 また、米国製糖企業の業界団体である米国砂糖協会の講演では、英国ではCOVID–19の重症患者削減を目的に、脂質・砂糖・塩分を多く含む食品(HFSS)について、WEB広告を禁止する動きがある(注)ことが報告された。

(注)これまでの経緯については、『砂糖類でん粉情報』2020年9月号「砂糖の国際需給―3.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2020年1月時点予測)―」のEUの項(URL:https://www.alic.go.jp /joho–s/joho07_002293.html)を参照されたい。

ウ  米国

 米国砂糖協会は、COVID–19が米国の砂糖消費に及ぼした影響などについて講演した。同協会によると、世界保健機関(WHO)が世界的なパンデミックを宣言し、同国で都市封鎖が初めて実施された2020年3月において、包装重量50ポンド(約22.7キログラム)未満の家庭向け砂糖の出荷量が前年比37.8%増の約24万ショートトン(約22万トン)を記録し、4〜5月にかけても前年の出荷量を上回った。一方、4月および5月の業務用砂糖(バルク)の出荷量は、前年と比べてそれぞれ17.0%および24.5%減少し、家庭向け商品とは真逆の動向を見せた(図5)。

 同協会は、砂糖の家庭需要が高まった理由として、物流や流通の混乱などに起因した食料不足への懸念の高まりを背景に、各家庭で食物を備蓄する消費者 が増加したことや、在宅時間の増加に伴い、家庭での菓子・パン作りの回数が増えたことによるものが大きいと分析している(詳細はコラム参照)。

 

 

(3)国際砂糖相場への影響

 本セミナーでは、国際砂糖相場の動向に関する発表も併せて行われ、世界的な金融企業であるJP Morganは、中国におけるトウモロコシや大豆といった農作物の輸入需要や食料安全保障の優先度の高まりが、世界的な農作物の輸出向け在庫を急激にひっ迫させたとして、穀物や油料種子の相場も砂糖と同様に回復傾向にあると発表した。また、2020年に発生したラニーニャ現象は、少雨により南米における農作物の生産を抑制することから、エタノールなどのバイオ燃料需要の落ち込みにも関わらず、これら農作物の相場回復に寄与しているとした。 2021年は、COVID–19のワクチン接種が各国で開始され、世界の経済や人の移動が同年下半期に回復し始めることで、バイオ燃料や甘味料の原料需要が高まるとの見込みを発表した。

 また、LMC Internationalは、COVID–19による需給動向の変化と、その他の要素が組み合わさって国際砂糖相場に影響を及ぼしていることを指摘した(表2)。今後の相場の推移は不透明なものの、干ばつの影響が続くタイのサトウキビ生産量の回復時期、原油価格や米ドル、ブラジルレアルなどの為替の動向など、さまざまな要因を注視する必要があるとした。

 

 

コラム 都市封鎖が家庭での菓子・パン作りブームを後押し(米国)


 米国砂糖協会の講演によると、家庭での菓子・パン作り(home baking)の流行は2年ほど前から米国で始まっていたが、COVID–19による都市封鎖の影響でhome bakingに取り組む人々がより一層増えたという。

 2018年1月から2020年9月にかけてオンライン上に投稿されたhome bakingに関する言葉(cake, dessert, bakery, cookiesなど)の推移を調べたところ、約2年間で121%増加し、2020年4月1日の投稿数(約422万件)が最も多かった。また、「はじめてのお菓子作り(First Time Baking)」という言葉を含む投稿数も、同期間で223%増加し、2020年4月1日の投稿数(約4万7000件)が最も多かった。

 特筆すべきは、ミレニアル世代(1980年から1995年の間に生まれ、2020年に25歳から40歳を迎える世代)においてhome bakingに関する投稿が多かったこと、女性だけでなく男性も一定の割合を占めていたことで、home bakingは従来よりも若年層の人々に浸透し、性差なく楽しまれるようになったと同協会は述べていた。

3. 気候変動への対応〜持続可能な産業に向けて〜

 本セミナーでは、気候変動がサトウキビおよびてん菜の生育に及ぼす影響のほか、温室効果ガスの削減や、バイオエタノール生産、バイオマス発電など、持続可能な産業に向けた各国の取り組みが発表された。

(1)気候変動の砂糖産業への影響

 ドイツ農民協会(DBV)によると、EUではここ数年で平均気温の上昇と降水量の減少が見られ、一部では害虫の多発も散見されるなど、EUのてん菜生産においては、栽培環境の変化が懸念材料として挙げられている。

 これに対し、中米の主要輸出国であるグアテマラの気候変動研究所(Institute for Climate Change Research,ICC)は、近年、世界的規模での気温の上昇が観測されており、今後もその傾向は持続するとの予測を紹介した(図6)。また、降水量の変動についても言及し、地域によって異なる動き(増加または減少)が見られるのではないかと述べた。これまで、地球温暖化や二酸化炭素(CO2)濃度の上昇がサトウキビの生産に及ぼす影響についてさまざまな研究結果が発表されているものの、対象地域や時間枠、分析方法によって結果が大きく異なっており、統一的な見解を示すのは難しい状況にあるとした。

 

(2)各国の取り組み

ア ブラジル

 ブラジルの調査会社DATAGRO社からは、同国における再生可能エネルギーの普及状況について講演が行われた。2019年の同国におけるエネルギー供給の内訳を見ると、サトウキビ由来のエネルギー供給量は石油など(34.4%)に次ぐ第2位(18.0%)で、水力発電や天然ガスを上回り、2019/20年度のサトウキビ部門からの送電量は3万ギガワット時を突破して増加傾向にある(図7、8)。また、同国では2000年代から、燃料にバイオエタノールを使用可能なフレックス車(注1)の販売台数が増加傾向にあり、2019年には販売台数の96.4%を占めるほど普及している。

(注1) 使用する燃料が、ガソリン、バイオエタノール100%、エタノール混合ガソリンのいずれでも走行できる自動車を指す。なお、同国のガソリンへのバイオエタノールの混合割合は、2015年以降、 27%を維持することが法律で義務付けられており、同国のガソリンスタンドでは、バイオエタノール100%のものとガソリンにバイオエタノールを27%混合したものが販売されている。

 
近年自動車業界が電気自動車の普及へ動きを見せていることについては、バイオエタノールを燃料として利用するハイブリッド車(注2)が主流となることで、ガソリンスタンドなどの既存施設を活用でき、電気自動車用の充電施設を新たに整備する必要がないことに加え、ハイブリッド車はフレックス車や電気自動車に比べ、温室効果ガス排出量も抑えることができるなど、利点が多いと述べた(図9(注3)、写真)。現在、ハイブリッド車はブラジルやタイを中心に販売されており、次世代型電気自動車として、バイオエタノールを燃料として発電された電気を使用する形態の電気自動車の開発も進められているとのことであった。

(注2) 二つの動力源(ここでは、エンジンと電気モーター)を使用する自動車。
(注3) 図9は従来の電気自動車の燃料使用量に相当する、火力発電所などの発電時に発生するCO2よりも、エタノールを利用するハイブリッド車から排出されるCO2の方が少ないことを示している。

 
同社はバイオエネルギーの利点として、▽技術的な障壁が低く、導入や規模拡大が比較的容易▽結果として、需要者にとって手ごろな価格での提供が可能▽サトウキビ農家の収入や雇用を促進▽従来のエネルギー源の使用に持続可能性をもたらす(石油などの有限なエネルギー源消費量が相対的に減少することで、当該エネルギー源の利用可能期間の延伸が図られる)―を挙げ、バイオ燃料の活用はアフリカやアジア、南米などの開発途上国における雇用問題や地球温暖化の解決策として有効なのではないか、と述べた。

 

 

 

 

イ EU

 欧州砂糖製造者協会(CEFS)によると、先進国における温室効果ガスの排出抑制を掲げた京都議定書(注1)を念頭に、EUでは1990年以降、製糖工場で使用するエネルギーおよび化石燃料由来のCO2を約50%削減することに成功している。

(注1)1997年12月、京都市において気候変動枠組条約第3回締約国会議が開催され、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH 4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCS)、パーフルオロカーボン類(PFCS)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類の温室効果ガスの削減数量について、法的拘束力のある京都議定書が採択された。

 また、CEFSは、今後、製糖工場における気候中立(温室効果ガス排出量を実質ゼロとすること)の実現に向け、現在オランダの製糖工場で実践している3つの方法を提案した。

(1)工場操業過程の見直しを通じた、所要エネルギーのさらなる削減
(2)代替クリーンエネルギー(太陽光・風力・バイオガス発電など)の生産・活用
(3)てん菜を原料としたバイオプラスチックなどの生産によるCO2の固定化(注2)

(注2)光合成によってCO2を吸収した植物を原料とするため、バイオプラスチックなどが燃焼または分解してCO2を放出しても、大気中のCO2は増加していない(CO2の量に変動がない=固定化)とみなせること。

 CEFSはこのほかにも、てん菜に含まれる水分の再利用やビートパルプ由来の紙製品の生産事例の紹介のほか、てん菜の葉由来の植物性タンパク質の抽出実験が現在行われていることも、将来的にCO2の削減につながると述べた(注3)。そして、これらの取り組みを行えば、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標は達成可能であるとした(注4)

(注3)動物性タンパク質の代替として、てん菜の葉由来のタンパク質を生産することで、家畜由来の温室効果ガス排出量を削減することができると考えられる。
(注4)欧州委員会が2019年12月に発表した対策「欧州グリーンディール」で掲げられている目標。詳細は、2020年1月16日付海外情報「欧州委員会発表の環境対策「欧州グリーンディール」に対する畜産業界の反応(EU)」(https://www.alic.go. jp/chosa–c/joho01_002590.html)を参照されたい。


 またドイツのてん菜研究所(Institute of Sugar Beet Research)からは、ビッグデータやクラウドコンピューティングなど様々な情報技術(IT)を組み合わせた農業のデジタル化について報告がなされた。ドローンや人工知能(AI)の活用により、農作物の生育状況や種類の把握、生物学的ストレスや植物病害の評価、雑草の観測などが可能であることなどを、実例を元に紹介し、今後は、農業におけるデジタル化の発展に向け、農業関係者に対してIT専門家によるデータの取得方法や解析方法などに関する指導や助言が重要であると述べた。

おわりに

 本セミナーでは、新型コロナウイルス感染症(COVID–19)が砂糖産業に及ぼした影響について各国の団体や企業から発表があり、2020年においては、COVID–19の影響によるブラジル産砂糖の増産や各国の消費減退が生じたことが報告された。また、2021年の需給見通しについては、COVID–19拡大の長期化や異常気象の可能性を背景に不透明な状況にある中、今後のCOVID–19のワクチン接種の状況や経済活動の回復、砂糖の主要生産国における天候状況などについて、引き続き注視していく必要があることを改めて確信することができた。

 また、本セミナーでは砂糖産業における温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みが数多く発表され、各国の砂糖産業関係者において、国際連合の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)が強く意識されている印象を受けた。そのうちバイオエタノール事業は地球温暖化解決の糸口となる可能性を秘める有望な事業であり、 SDGsへの取り組みというだけでなく、砂糖産業にとっても雇用創出や利益拡大といったメリットが見込めるところ、今後さらなる発展・拡大が見込まれ、今後の砂糖産業の動向を概観するに当たり、併せて注視すべき取り組みであると考えられる。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272



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