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でん粉の国内需給

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最終更新日:2021年5月10日

でん粉の国内需給

2021年5月

調査情報部

1. 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、でん粉に関して適切な価格調整を図るため、半期ごとにでん粉の需給見通しを公表している。3月に公表したでん粉の需給見通しの概要は、次の通り。

 

 

 

(1)でん粉の需要量の見通し

 用途ごとのでん粉の需要量の見通しは以下の通り。

【糖化用向けでん粉の需要量】
令和元でん粉年度は、前年度からやや減少
 
 令和元でん粉年度は、上期は、冷菓や酒類向けの販売数量が前年を上回って推移したことなどから前年度比1万9000トン増、下期は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による外出自粛などの影響により、清涼飲料向けの販売が減少したことなどから、同12万4000トン減、年度計では前年度を10万6000トン下回る166万6000トンとなった。  

 2でん粉年度は、COVID-19による外出自粛などの影響により、引き続き清涼飲料向けの需要減退が懸念される一方、ワクチン接種が進むにつれ、徐々に人の移動が活発になると見込まれるとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京オリンピック・パラリンピック」という)の開催を前提に清涼飲料向けの需要の増加も一定程度想定されることから、近年の需要がおおむね維持されるとし、前年度を4万8000トン上回る171万4000トンと見通している。

【化工でん粉用向けでん粉の需要量】
令和元でん粉年度は、前年度からかなりの程度減少
 
 令和元でん粉年度は、情報・広告分野を中心とした電子化の影響などにより、製紙・段ボール向けの需要が減少していることなどから、前年度を2万7000トン下回る30万1000トンとなった。  

 2でん粉年度は、製紙・段ボール向けの需要の減少が引き続き見込まれることなどから、前年度を9000トン下回る29万2000トンと見通している。

【その他用途向けでん粉の需要量】
令和元でん粉年度は、前年度からかなり大きく減少
 
 令和元でん粉年度は、COVID-19による外出自粛などの影響により、外食産業用に供するビールや食品向けの需要が減少したことなどから、前年度を6万2000トン下回る49万5000トンとなった。  

 2でん粉年度は、COVID-19による外出自粛などの影響により外食産業向けの需要減退が懸念される一方、ワクチン接種が進むにつれ、徐々に人の移動が活発になると見込まれるとともに、東京オリンピック・パラリンピックの開催を前提に、外食産業向けの需要の増加も一定程度想定されることから、近年の需要がおおむね維持されるとし、前年度を3万1000トン上回る52万6000トンと見通している。

(2)でん粉の供給量の見通し

 各種でん粉の供給量の見通しは以下の通り。

【かんしょでん粉の生産量】
令和元でん粉年度は、前年度からやや増加  

 令和元年度産の原料かんしょについては、サツマイモ(もと)(ぐされ)病が鹿児島県内の5割の()(じょう)で確認されるなどにより生産量の減少が懸念されたものの、近年の焼酎需要の減少により、焼酎用からでん粉用に仕向けられるかんしょが増加したため、かんしょでん粉の生産量は、前年度を1000トン上回る2万8000トンとなった。  

 2年度産については、サツマイモ基腐病の影響により、でん粉原料用かんしょ生産量の大幅な減少が見込まれることから、かんしょでん粉の生産量は前年度を7000トン下回る2万1000トンと見通している。

【ばれいしょでん粉の生産量】
令和元でん粉年度は、前年度からやや増加
 
 令和元年度産の原料ばれいしょについては、生育期間全般において天候に恵まれ、いもの肥大が良好であったため、ばれいしょでん粉の生産量は前年度を1万トン上回る18万トンとなった。  

 2年度産については、梅雨期の雨不足などによる着いも数の減少などにより、原料ばれいしょ生産量の減少が見込まれることから、ばれいしょでん粉の生産量は前年度を1万6000トン下回る16万4000トンと見通している。

【コーンスターチの供給量】
令和元年産は、前年度からかなりの程度減少
 
 令和元年産(2019年産)は、COVID-19による外出自粛などの影響により、コーンスターチなどから製造される異性化糖の主な用途である清涼飲料の需要が減少したため、元でん粉年度の供給量はでん粉ベースで前年度を18万7000トン下回る210万8000トンとなった。  

 2年産(2020年産)は、COVID-19による外出自粛などの影響により、清涼飲料向けの需要減退が懸念されるものの、ワクチン接種が進むにつれ、徐々に人の移動が活発になると見込まれるとともに、東京オリンピック・パラリンピックの開催を前提に、清涼飲料向けの需要増加が一定程度想定されることから、近年の需要がおおむね維持されると考え、前年度を7万5000トン上回る218万3000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(糖化製品、化工でん粉用)
令和元でん粉年度は、前年度からわずかに減少
 
 令和元でん粉年度は、COVID-19による外出自粛などの影響により清涼飲料向けの販売が減少したことなどから、前年度を3000トン下回る13万8000トンとなった。  

 2でん粉年度も、COVID-19による外出自粛などの影響により、引き続き清涼飲料向けの需要減退が懸念される一方、ワクチン接種が進むにつれ、徐々に人の移動が活発になると見込まれるとともに、東京オリンピック・パラリンピックの開催を前提に、清涼飲料向けの需要の増加も一定程度想定されることから、近年の需要に応じた輸入がなされるとし、前年度並みの13万8000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(その他用)
令和元でん粉年度は、前年度並み
 
 令和元でん粉年度は、前年同の9000トンとなった。  

 2でん粉年度は、ワクチン接種が進むにつれ、徐々に人の移動が活発になると見込まれるとともに、東京オリンピック・パラリンピックの開催を前提に、外食産業向けの需要の増加も一定程度想定されることから、近年の需要に応じた輸入がなされるとし、前年度を3000トン上回る1万2000トンと見通している。

【小麦でん粉の供給量】
令和元でん粉年度は、前年度からやや減少
 
 小麦でん粉は、主に畜水産練製品向けとして供給されており、令和元でん粉年度は前年度を1000トン下回る1万6000トンとなった。  

 2でん粉年度についても、安定した供給がなされると見込まれ、前年度を1000トン下回る1万5000トンと見通している。

2. 輸入動向

【タピオカでん粉の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に減少
 
 財務省「貿易統計」によると、2021年2月のタピオカでん粉の輸入量は、6949トン(前年同月比16.6%減、前月比41.9%減)と、前年同月から大幅に減少した(図1)。  

 輸入先国はタイ、ベトナムおよび台湾の3カ国で、輸入量は次の通りであった。  

タイ        6922トン   
(前年同月比16.7%減、前月比40.8%減)  
ベトナム      16トン   
(同61.4%増、同93.3%減)  
台湾         10トン   
(同48.4%減、同16.6%減)

 

 2021年2月の1トン当たりの輸入価格は、4万7899円(前年同月比0.3%安、前月比3.5%高)と、前年同月並みとなった(図2)。

 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。  

タイ        4万7477円   
(前年同月比0.1%安、前月比3.7%高)  
ベトナム    11万4880円   
(同26.9%安、同2倍)  
台湾       23万163円   
(同7.7%高、同16.9%安)

 

【サゴでん粉の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2021年2月のサゴでん粉の輸入量は、1656トン(前年同月比19.6%増、前月比43.1%増)と、前年同月から大幅に増加した(図3)。  

 輸入先国はマレーシアおよびインドネシアの2カ国で、国別の輸入量は次の通りであった。  

マレーシア     1566トン   
(前年同月比40.4%増、前月比35.4%増)  
インドネシア      90トン   
(同66.7%減、前月輸入実績なし)

 

 2021年2月の1トン当たりの輸入価格は、5万4217円(前年同月比7.0%安、前月比2.1%高)と、前年同月をかなりの程度下回った(図4)。  

 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。  

マレーシア     5万3843円   
(前年同月比8.4%安、前月比1.4%高)  
インドネシア     6万772円   
(同7.9%高、前月輸入実績なし)

 

【ばれいしょでん粉の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に減少
 
 財務省「貿易統計」によると、2021年2月のばれいしょでん粉の輸入量は1015トン(前年同月比19.9%減、前月比9.8倍)と、前年同月から大幅に減少した(図5)。  

 輸入先国はドイツ、デンマーク、オランダおよび台湾の4カ国で、輸入量は次の通りであった。  

ドイツ       814トン   
(前年同月比15.9%減、前月輸入実績なし)  
デンマーク    100トン   
(同50.0%減、前月同)  
オランダ      100トン   
(前年同月同、前月輸入実績なし)  
台湾           1トン   
(前年同月輸入実績なし、前月比66.7%減)

 

 2021年2月の1トン当たりの輸入価格は、8万5789円(前年同月比4.3%高、前月比6.8%安)と、前年同月をやや上回った(図6)。

 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。  

ドイツ       8万5541円   
(前年同月比4.5%高、前月輸入実績なし)  
デンマーク    8万6140円   
(同1.9%高、前月比0.2%安)  
オランダ      8万5440円   
(同4.6%高、前月輸入実績なし)  
台湾       25万4167円   
(前年同月輸入実績なし、前月比1.3%高)

【でん粉誘導体の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に増加
 
 財務省「貿易統計」によると、2021年2月のでん粉誘導体の輸入量は、3万1118トン(前年同月比19.3%増、前月比10.4%増)と、前年同月から大幅に増加した(図7)。  

 でん粉誘導体の輸入先国は16カ国で、最大の輸入先国はタイであった。主要輸入先国からの輸入量は次の通りで、タイが輸入量の約7割を占めており、次いで中国、ベトナムとなっている(表3)。

 

 2021年2月の1トン当たりの輸入価格は、8万5474円(前年同月比9.5%安、前月比0.6%安)と、前年同月をかなりの程度下回った。

 

【デキストリンの輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に増加
 
 財務省「貿易統計」によると、2021年2月のデキストリンの輸入量は、832トン(前年同月比16.4%増、前月比35.4%減)と、前年同月から大幅に増加した(図8)。  

 デキストリンの輸入先国は8カ国で、輸入量は上位輸入先国の数量および各国のシェアも含め、月ごとの変動が大きい。  

 上位輸入先国からの輸入量は次の通りで、ベトナムおよびタイで輸入量の約6割を占めている(表4)。

 

 2021年2月の1トン当たりの輸入価格は、12万1797円(前年同月比7.1%安、前月比24.5%高)と、前年同月をかなりの程度下回った。

 

【コーンスターチ用トウモロコシの輸入動向】
2月の輸入量は前年同月からかなりの程度減少
 
 財務省「貿易統計」によると、2021年2月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、23万3214トン(前年同月比8.3%減、前月比74.0%増)となり、前年同月からかなりの程度減少した(図9)。  

 輸入先国は、米国およびブラジルの2カ国で、国別の輸入量は次の通りであった。  

米国     23万214トン   
(前年同月比8.5%増、前月比2.1倍)  
ブラジル     3000トン   
(同92.9%減、同88.1%減)  

 2021年2月の1トン当たりの輸入価格は、2万6493円(前年同月比5.1%高、前月比6.4%高)と、前年同月をやや上回った。  国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。  

米国       2万6574円   
(前年同月比3.6%高、前月比5.0%高)  
ブラジル    2万216円   
(同12.3%安、同12.4%安)

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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