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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2021年7月9日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2021年7月

 本稿中の為替レートは2021年5月末日TTS相場の値であり、1米ドル=111円(110.76円)、1タイバーツ=3.59円、1ユーロ=135円(135.24円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
2021/22年度の世界のトウモロコシ生産量、前年度からやや増加する見込み
 
 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2021年6月10日、2021/22年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。  

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は前回と変わらず、11億8985万トン(前年度比5.8%増)と予測された。国別に見るとブラジル(同19.8%増)およびウクライナ(同23.8%増)では記録的な生産増が予測され、米国(同5.7%増)、アルゼンチン(同8.5%増)および中国(同2.8%増)でも過去最高水準に近い生産が見込まれている。  

 輸出量も前回と変わらず、1億9747万トン(同5.6%増)と予測された。国別に見るとブラジル(同30.3%増)とウクライナ(同32.6%増)で大幅な増加が見込まれるものの、米国(同14.0%減)はこれら輸出国との競合により減少が見込まれている。  

 輸入量も前回と変わらず、1億8951万トン(同3.0%増)と予測された。国別に見ると、主要輸入国である中国の輸入量は2600万トンと前年度から変わらないものの、引き続き高水準での推移が見込まれている。  

 消費量は4万トン下方修正されて、11億8104万トン(同2.7%増)と予測されたものの、消費大国であるブラジル(同5.8%増)、米国(同1.2%増)および中国(同1.7%増)などで増加が見込まれている。  

 期末在庫は、2020/21年度の期末在庫の下方修正に伴い、前月から1.0%減の2億8941万トン(同3.1%増)と見込まれている。

 

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
2021/22年度の米国トウモロコシ期末在庫率、9%台の見込み
 
 USDA/WAOBは2021年6月10日、2021/22年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである(表3)。  

 生産量は前回と変わらず、149億9000万ブッシェル(3億8076万トン(注)、前年度比5.7%増)と予測されており、これまでの統計で最も生産量の多かった2016/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)をわずかに下回る過去2番目の水準となっている。  

 消費量も前回と変わらず、123億1500万ブッシェル(3億1281万トン、同1.2%増)と予測された。

 輸出量も前回と変わらず、ロシア産やウクライナ産との競合によって米国産のシェアが縮小し、24億5000万ブッシェル(6223万トン、同14.0%減)と記録的な輸出量となった前年度からかなり大きく減少すると予測された。  

 期末在庫は、2020/21年度の国内消費量のうちエタノール向け(新型コロナウイルス感染症〈COVID–19〉の感染拡大前の水準まで需要が回復)と輸出量が上方修正されたことに伴い、2021/22年度の期首在庫が下方修正されたため、前月から10.0%減の13億5700万ブッシェル(3447万トン、同22.6%増)と予測された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は前月から1.0ポイント減の9.2%(同1.8ポイント増)となった。  

 また、生産者平均販売価格は前回と変わらず、1ブッシェル当たり5.70米ドル(633円。1キログラム当たり24.9円)と予測された。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。

表3

【貿易動向:トウモロコシ】
輸出価格、8カ月連続で上昇し、前年同月比35.8%高
 
 2021年3月のトウモロコシ輸出量は、948万5123トン(前年同月比2.1倍、前月比50.1%増)と前年同月および前月からいずれも大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。  

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり255.2米ドル(2万8327円、同35.8%高、同1.5%高)と前年同月からは大幅に、前月からはわずかに上昇し、過去1年の最安値(2020年7月)と比べ、53.1%の上昇となった。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。
 



 
【貿易動向:コーンスターチ】
3月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加
 
 2021年3月のコーンスターチ輸出量は、1万6473トン(前年同月比25.6%増、前月比29.5%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。  

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり621.0米ドル(6万8931円、同5.4%安、同7.2%安)と前年同月からはやや、前月からはかなりの程度下落した。  

 なお、米国農務省経済調査局(UDDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2021年3月の製粉業者の純費用は、1ポンド(注)当たり8.50セント(9.4円、前年同月比65.9%高、前月比5.9%減)と前年同月からは大幅に上昇したものの、前月からはやや下落した。

(注) 1ポンドは約0.45キログラム。

  

 

 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2020/21年度のキャッサバ生産見通し、3カ月変化なし
 
 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の2021年5月現在の予測によると、2020/21年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は916万ライ(146万ヘクタール(注)、前年度比2.7%増、前月同)、単収は1ライ当たり3.29トン(同1.2%増、前月同)、生産量は3011万トン(同3.8%増、前月同)であった(表6)。

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。


 
【価格動向】
国内価格、前年同期からかなりの程度上昇
 
 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2021年6月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり14.0バーツ(50円、前年同期比8.5%高、前週同)と前年同期からかなりの程度上昇し、4月第4週以降連続して14.0バーツで推移している(図3)。

図3

【貿易動向】
4月の輸出量、前年同月および前月から大幅に減少
 
 2021年4月のタピオカでん粉輸出量は、23万7751トン(前年同月比16.6%減、前月比46.7%減)と、前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。  

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり485.0米ドル(5万3835円、同14.1%高、前月同)と、前年同月からかなり大きく上昇した。

表7

図 タイのタピオカ

ベトナム

【生産動向】
南部でキャッサバの新期作付けが進む中、キャッサバモザイク病が拡大
 
 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、2021/22年度(8月〜翌7月)のキャッサバの新期作付けは、北部に引き続き南部でも進んでいるとしている。作付面積が同国第2位のタイニン省では、4月下旬時点でほぼ作付けが完了している状況にある一方、同国第1位のザライ省では、気温が高く晴天が続いているため作付けは滞っており、一部のキャッサバで枯死が発生しているほか、キャッサバから近時、価格環境が良好な砂糖の原料作物であるサトウキビへの転作の動きが見られることから、キャッサバの作付面積は前年度比で10〜15%程度の減少が予測されている。  

 なお、キャッサバモザイク病(注1)は4月30日現在、中央直轄5都市および58省のうち、1市19省(前月から1省増加)の合計7万1551ヘクタール(前年度比23.2%増)で感染が確認され、前月比(3月12日)では35.0%増と被害の拡大が進んでいる(注2)

(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最終的には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国におけるキャッサバの作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタールで推移している。


【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少
 
 AgroMonitorによると、2021年4月のタピオカでん粉輸出量は、10万5672トン(前年同月比51.2%減、前月比35.6%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同国の主要国別輸出量は、表8の通りである。

表8

図 ベトナムのタピオカでん粉

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
3月の輸出量、前年同月および前月から大幅に増加
 
 2021年3月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万8385トン(前年同月比37.6%増、前月比33.8%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。  

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり584ユーロ(7万8840円、同16.2%安、同4.8%安)と前年同月からは大幅に、前月からはやや下落した。

(注)EU27カ国の輸出量。輸出先の不明なものを除く。

表9

図 EUのばれいしょでん粉

コラム フランスの小麦および小麦でん粉の生産動向


 フランスでん粉協会(USIPA)によると、2019年の同国のでん粉生産量は310万トンであり、品目別に見ると、小麦でん粉が47%と最も多くを占め、次いでコーンスターチが44%、ばれいしょでん粉が8%であった(コラム−図1)。本コラムでは、同国のでん粉事情のうち小麦でん粉とその原料となる小麦の生産動向を紹介する。
 

 
 フランスで栽培されている小麦にはパン小麦とデュラム小麦の2種類がある。パン小麦はフランスで最も生産されている穀物であり、過去5年を見ると北部を中心に全国で1年当たり2762万〜3955万トン生産されている(コラム−表)。パスタなどで使用されるデュラム小麦と比較してパン小麦はでん粉含有量が高いため、でん粉製造に適しているとされる。  
 

 
 フランスの農産物・海産物のための国家機関であるFranceAgriMerによると、でん粉およびグルテン製造に使用されるパン小麦は、過去5年を見ると1年当たり267万〜285万トンである(コラム−図2)。主な小麦でん粉メーカーはADM Chamtor社、Roquette社、Tereos社の3社であり、工場はパン小麦の主産地である北部に集中している。
 

 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである

タイ

【貿易動向】
4月の輸出量、前年同月からはやや、前月からはかなり大きく減少
 
 2021年4月の化工でん粉の輸出量は、9万3680トン(前年同月比5.9%減、前月比13.9%減)と前年同月からはやや、前月からはかなり大きく減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表10の通りである。

表10

図 タイの化工でん粉

米国

【貿易動向】
3月の輸出量、前年同月からはわずかに、前月からはかなり大きく増加

 2021年3月の化工でん粉の輸出量は、2万9813トン(前年同月比1.4%増、前月比15.3%増)と前年同月からはわずかに、前月からはかなり大きく増加した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

表11

図 米国の化工でんぷん

中国

【貿易動向】
4月の輸出量、前年同月からはかなり大きく、前月からはかなりの程度減少

 2021年4月の化工でん粉の輸出量は、7627トン(前年同月比11.1%減、前月比6.0%減)と前年同月からはかなり大きく、前月からはかなりの程度減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表12の通りである。

表12

図 中国の化工でん粉

EU

【貿易動向】
3月の輸出量、前年同月からはやや、前月からはかなり大きく増加

 2021年3月の化工でん粉の輸出量(注)は、6万586トン(前年同月比3.0%増、前月比14.0%増)と、前年同月からはやや、前月からはかなり大きく増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表13の通りである。

(注)EU27カ国の輸出量。輸出先の不明なものを除く。

表13

図 EUのでん粉

豪州

【貿易動向】 
3月の輸出量、前年同月からはかなり大きく、前月からは大幅に増加

 2021年3月の化工でん粉の輸出量は、2357トン(前年同月比13.5%増、前月比41.9%増)と前年同月からはかなり大きく、前月からは大幅に増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表14の通りである。

表14

図 豪州の化工でん粉

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