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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2021年10月11日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2021年10月

 本稿中の為替レートは2021年8月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=111円(110.90円)、1タイバーツ=3.46円、1ユーロ=131円(131.19円)である。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
2021/22年度の世界のトウモロコシ生産量、前年度からかなりの程度増加する見込み
 
 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2021年9月10日、2021/22年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。  

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は前月から1165万トン上方修正の11億9777万トン(前年度比7.2%増、前月比1.0%増)と見込まれている。国別に見ると、米国は作付面積の増加などにより625万トン、アルゼンチンは200万トン、中国は単収が過去5カ年平均を5%上回ることなどにより500万トン、それぞれ上方修正された。  

 輸出量は、世界全体で2億127万トン(同12.1%増、同1.7%増)と前月からわずかに上方修正された。国別に見ると、増産予測の米国が191万トン、アルゼンチンが200万トン、それぞれ上方修正された。  

 輸入量は、世界全体で1億8595万トン(同0.5%増、同0.7%増)と前月からわずかに上方修正された。国別に見ると、主要輸入国である中国は2600万トンと前月から変わらないものの、引き続き高水準での推移が見込まれている。

 消費量は、世界全体で11億8662万トン(同4.4%増、同0.4%増)と前月からわずかに上方修正された。国別に見ると、増産予測の米国が191万トン上方修正された。  

 期末在庫は、生産量の上方修正などに伴い、前月から4.6%増の2億9763万トン(同3.9%増)と見込まれている。

 

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
2021/22年度の米国トウモロコシ期末在庫率、9%台の見込み
 
 USDA/WAOBは2021年9月10日、2021/22年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである(表3)。  

 生産量は、作付面積および単収がともにわずかに上方修正されたことから、149億9600万ブッシェル(3億8091万トン(注)、前年度比5.7%増、前月比1.7%増)とわずかに上方修正された。前年度からやや増加する見込みであり、これまでの統計で最も生産量の多かった2016/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)に近い水準となっている。  

 消費量は、増産と生産者平均販売価格の下落予測を受けて、飼料など向けが前月から7500万ブッシェル上方修正されたため、全体では123億2500万ブッシェル(3億1307万トン、同1.1%増、同0.6%増)とわずかに上方修正された。  

 輸出量は、増産を受けて前月から7500万ブッシェル上方修正されたものの、24億7500万ブッシェル(6287万トン、同9.8%減、同3.1%増)と依然として記録的な輸出量となった前年度からかなりの程度の減少が見込まれている。

 期末在庫は、総供給量の増加幅が総消費量の増加幅を大きく超えると予測されたことを受けて、14億800万ブッシェル(3576万トン、同18.6%増、同13.4%増)と前月からかなり大きく上方修正された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は9.5%(同1.6ポイント増、同1.0ポイント増)と前月の8%台の予測から回復し、改めて9%台となった。  

 また、生産者平均販売価格はやや下方修正され、1ブッシェル当たり5.45米ドル(605円。1キログラム当たり23.8円)と見込まれている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。

表3

【貿易動向:トウモロコシ】
6月の輸出量は前年同月から大幅に増加するも、前月より大幅に減少
 
 2021年6月の米国のトウモロコシ輸出量は、635万4637トン(前年同月比25.2%増、前月比25.2%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月より大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。  

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、2020年9月以降、上昇基調を持続し、1トン当たり293.7米ドル(3万2601円、同73.1%高、同5.4%高)と前年同月からは大幅に、前月からはやや上昇し、過去1年の最安値(2020年8月)と比べ76.0%の上昇となった。  

 USDA/FASによると、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ輸出量は、中国をはじめとした海外からの需要が高まっていることや、ウクライナやブラジルなど競合国の輸出量が前年度と比較して減少傾向にあることなどから、記録的なものとされている。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。




 
【貿易動向:コーンスターチ】
6月の輸出量は前年同月から大幅に増加するも、前月よりかなりの程度減少
 
 2021年6月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万5592トン(前年同月比64.9%増、前月比7.4%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月よりかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。  

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり632.4米ドル(7万196円、同9.2%安、同3.7%高)と前年同月からかなりの程度下落したものの、前月よりやや上昇した。

 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2021年6月の製粉業者の純費用は、トウモロコシ価格の上昇などを要因に1ポンド(注)当たり12.32セント(13.7円、前年同月比3.4倍、前月比0.3%安)と前年同月から大幅に上昇したものの、前月並みであった。

(注)1ポンドは約0.45キログラム。

  

 

 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2020/21年度のキャッサバ生産量は前年度からかなりの程度増加する見込み
 
 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の2021年8月現在の予測によると、2020/21年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は951万ライ(152万ヘクタール(注)、前年度比6.6%増、前月同)、単収は1ライ当たり3.33トン(同2.5%増、前月同)、生産量は3163万トン(同9.1%増、前月同)と7月予測と変更がなかった(表6)。

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
 

【価格動向】
国内価格、前年同期からかなりの程度上昇
 
 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2021年9月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり14.2バーツ(49円、前年同期比8.4%高、前週比0.7%高)と前年同期からはかなりの程度、前週からはわずかに上昇した(図3)。2020年以降、価格は上昇傾向で推移している。

図3

【貿易動向】
7月の輸出量、前年同月から大幅に増加するも、前月よりやや減少
 
 2021年7月のタピオカでん粉輸出量は、23万9177トン(前年同月比39.0%増、前月比4.5%減)と、前年同月から大幅に増加したものの、前月よりやや減少した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。  

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり485.0米ドル(5万3835円、同9.0%高、前月同)と、前年同月からかなりの程度上昇した。  

 現地の調査会社などによると、中国でアフリカ豚熱からの回復による豚飼養頭数の増加と、飼料需要の高まりを背景に、コーンスターチの原料確保が難しくなっている状況を受けて、代替品としてタピオカでん粉の輸入が一部で見られるとしている。

表7・参考タイのタピオカ

ベトナム

【生産動向】
主産地のタイニン省でキャッサバモザイク病が拡大するも、被害は軽微
 
 ベトナムの調査会社(AgroMonitor)によると、キャッサバモザイク病(注1)の感染状況は依然として改善されず、7月27日現在、中央直轄5都市および58省のうち1市18省などの合計7万1758ヘクタール(6月21日比2.4%増)で感染が確認された(注2)。このうち最も感染面積が広いのは、同国第2位のキャッサバ作付面積を誇るタイニン省であり、2021/22年度(8月〜翌7月)の作付面積が6万2000ヘクタールと推測される中、その56.0%に当たる3万4745へクタール以上が感染したとされているが、現時点では幸いなことに感染度合および被害は軽微であり、単収などへの影響もあまり見られていないとのことである。

(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最終的には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ただし、タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)によると、同病害は一般的に作付け後1〜4カ月の感染で収穫はほぼ不可能となるが、5〜7カ月の場合は根茎の育成がある程度進んでいるため一定の収量を確保でき、8カ月以降であれば影響はほとんど確認されないとしている。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国におけるキャッサバの作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。


【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少
 
 AgroMonitorによると、2021年7月のタピオカでん粉輸出量は、11万8678トン(前年同月比31.4%減、前月比17.0%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同国の主要国別輸出量は、表8の通りである。  

 同月の輸出価格(CFR・中国向け)は、1トン当たり475米ドル(5万2725円、同24.3%高、同1.5%安)と、前年同月から大幅に上昇したものの、前月よりわずかに下落した。  

 2021年のタピオカでん粉の輸出量は、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の影響で製品の出荷に遅延が生じていることや、タイなどその他主産国との競合などにより、前年と比較して減少傾向にある。

表8・参考ベトナムのタピオカでん粉

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
6月の輸出量、前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく増加
  
 2021年6月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万7664トン(前年同月比50.7%増、前月比11.7%増)と前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく増加した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。  

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり551ユーロ(7万2181円、同19.1%安、同4.3%高)と前年同月から大幅に下落したものの、前月よりやや上昇した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

表9・参考EUのばれいしょでん粉

コラム オーストリアのでん粉原料用ばれいしょ、
ばれいしょでん粉の需給動向


 中東欧の主要なばれいしょでん粉生産国の一つであり、北海道と同程度の面積を有するオーストリアでは、同国北東部に位置するニーダーエスターライヒ州で総生産量の8割に当たるばれいしょが生産されている(コラム―図)。中でもでん粉原料用ばれいしょは、同国唯一のでん粉製造企業であるAgrana社(注)の工場が位置するヴァルトフィアテル地域のクムント近隣で栽培されており、2021年6月現在、同社は1100戸の農家との間で約7000ヘクタール分の栽培契約を締結している。同国が管轄する社団法人であるAgrar Markt Austriaによると、オーストリアではこのように契約栽培が広く浸透していることから、企業と農家間の契約の下で品質水準などが決定されており、同国ではでん粉原料用ばれいしょに関する特段の取引規制はない状況にある。  

 また、Agrana社によると、同社が加工に用いるでん粉原料用ばれいしょの生産量は気候などに左右されるものの、毎年25〜30万トン程度で推移しており、でん粉含有量はおおむね18〜19%の間で安定して推移しているとのことであった。同情報に基づき試算すると、同国では毎年4万5000〜5万7000トン程度のばれいしょでん粉が製造されていると想定される。2020/21年度上半期は、製紙部門向けのでん粉販売量が大幅に減少したものの、COVID–19の発生から1年以上が経過した2021年7月時点では、でん粉市場の需要は回復の兆しが見られるとしている。

(注)同社はオーストリアの食品加工メーカーであり、主に果実、でん粉および砂糖を取り扱う。でん粉部門ではばれいしょでん粉のほか、コーンスターチや小麦でん粉も製造している。
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
7月の輸出量、前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加
 
 2021年7月の化工でん粉の輸出量は、9万8758トン(前年同月比35.1%増、前月比9.3%増)と前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表10の通りである。

表10

図 タイの化工でん粉

米国

【貿易動向】
6月の輸出量、前年同月からやや増加するも、前月よりかなり大きく減少
 
 2021年6月の化工でん粉の輸出量は、2万4318トン(前年同月比4.2%増、前月比13.5%減)と前年同月からやや増加したものの、前月よりかなり大きく減少した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

表11

図 米国の化工でんぷん

中国

【貿易動向】
7月の輸出量、前年同月からは大幅に、前月からはやや増加
 
 2021年7月の化工でん粉の輸出量は、8040トン(前年同月比26.8%増、前月比4.3%増)と前年同月からは大幅に、前月からはやや増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表12の通りである。

表12

図 中国の化工でん粉

EU

【貿易動向】
6月の輸出量、前年同月からはかなり大きく、前月からはかなりの程度増加
 
 2021年6月の化工でん粉の輸出量(注)は、5万4684トン(前年同月比12.3%増、前月比9.1%増)と、前年同月からはかなり大きく、前月からはかなりの程度増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表13の通りである。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

表13

図 EUのでん粉

豪州

【貿易動向】
6月の輸出量、前年同月からは大幅に、前月からはやや増加
 
 2021年6月の化工でん粉の輸出量は、2934トン(前年同月比62.8%増、前月比5.5%増)と前年同月からは大幅に、前月からはやや増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表14の通りである。

表14

図 豪州の化工でん粉

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農畜産業振興機構  調査情報部  (担当:企画情報グループ)
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