でん粉 でん粉分野の各種業務の情報、情報誌「でん粉情報」の記事、統計資料など

ホーム > でん粉 > でん粉の国際需給 > 2.日本の品目別主要輸入先国の動向

2.日本の品目別主要輸入先国の動向

印刷ページ

最終更新日:2022年3月10日

2.日本の品目別主要輸入先国の動向

2022年3月

 本稿中の為替レートは2022年1月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=116円(116.44円)、1タイバーツ=3.53円、1ユーロ=130円(130.16円)、1ポーランドズロチ=29円(29.30円)である。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
ブラジルなどで単収減するも、世界のトウモロコシ生産量は引き続き史上最高の見通し

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年2月9日、2021/22年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億535万トン(前年度比7.3%増)と前月から161万トン下方修正されたが、引き続き史上最高の生産が見込まれている。最大の生産国である米国と第2位の中国は、いずれも前月対比で据え置かれたが、第3位のブラジルは同国南部での乾燥気候に伴う単収の減少から同100万トン下方修正された。また、隣国のパラグアイでも、同じく乾燥気候の影響から単収減による生産量の減少が見込まれている。

 輸出量は、世界全体で2億367万トン(同12.7%増)と前月から53万トン下方修正されたが、生産量で下方修正されたブラジルは、前月対比で据え置かれた。

 輸入量は、世界全体で1億8817万トン(同1.3%増)と前月から136万トン上方修正された。うち、最大の輸入国である中国は2600万トン(同11.9%減)と前月対比で据え置かれた。

 消費量は、世界全体で11億9517万トン(同5.1%増)と前月から95万トン下方修正されたが、引き続き前年度を上回ると見込まれている。うち、最大の消費国である中国は2億9400万トン(同3.2%増)と前月対比で据え置かれた。

 この結果、期末在庫は3億222万トン(同3.5%増)と前月から85万トン下方修正されたが、前年度をやや上回ると見込まれている。
 

表2

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
需要量と供給量の据え置きでトウモロコシの期末在庫は変わらず

 USDA/WAOBは2022年2月9日、2021/22年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである(表3)。

 生産量は、151億1500万ブッシェル(3億8394万トン(注)、前年度比7.1%増)と前月対比で据え置かれた。引き続き、前年度からかなりの程度増加が見込まれており、これまでの統計で最も生産量の多かった2016/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)に近い水準となっている。

 消費量は、124億1000万ブッシェル(3億1523万トン、同2.8%増)と前月対比で据え置かれ、引き続き、エタノール向け需要の増加(同5.9%増)が消費をけん引すると見込まれている。

 輸出量は、24億2500万ブッシェル(6160万トン、同11.9%減)と前月対比で据え置かれた。記録的な輸出量となった前年度からかなり大きな減少が見込まれている。

 期末在庫は、需要量と供給量がいずれも前月対比で据え置かれたことで、同じく15億4000万ブッシェル(3911万トン、同24.7%増)と事前の業界予想をやや上回る結果となった。

 この結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は10.4%(同2.1ポイント増)とされ、引き続き10%台を維持している。

 また、生産者平均販売価格も、1ブッシェル当たり5.45米ドル(632円。1キログラム当たり24.9円)と前月対比で据え置かれた。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。

表3

【貿易動向:トウモロコシ】
11月の輸出量、前年同月、前月から大幅に増加し、価格は下落傾向

 米国のトウモロコシ輸出量は2021年4月から9月までは減少傾向が続いていたものの、2021年11月は464万3849トン(前年同月比21.9%増、前月比21.2%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり268.4米ドル(3万1130円、同37.5%高、同0.4%安)と前年同月から大幅に上昇したものの、2020年9月から11カ月連続で上昇していた価格は7月をピークに反転し、前月に引き続きわずかに下落した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB※価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
 ※Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。

  表4

参考 米国のトウモロコシ

【貿易動向:コーンスターチ】
11月の輸出量は前年同月からかなり大きく、前月よりかなりの程度減少

 2021年11月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万4398トン(前年同月比14.9%減、前月比7.1%減)と前年同月からかなり大きく、前月よりかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり669.3米ドル(7万7639円、同25.1%高、同6.2%高)と21年前半の水準を維持し、前年同月から大幅に、前月からかなりの程度上昇した。

表5

参考 米国のコーンスターチ

 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2021年11月の製粉業者の純費用(Net Cost)は、1ポンド(注)当たり9.46セント(11.0円、前年同月比53.1%高、前月比9.0%高)と前月よりかなりの程度、依然として前年同月比では大幅に上昇し、高い水準となった。

(注)1ポンドは約0.45キログラム。

参考 米国中西部

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2021/22年度のキャッサバ生産量は前年度からわずかに増加する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の2022年1月現在の予測によると、2021/22年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は966万ライ(155万ヘクタール(注)、前年度比1.4%減、前月同)、単収は1ライ当たり3.39トン(同2.1%増、前月同)、生産量は3273万トン(同0.7%増、前月同)と、21年12月予測といずれも同量が見込まれている(表6)。

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。

表6

【価格動向】
国内価格、上昇基調が持続し、1キログラム当たり15バーツ台で推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2022年2月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり15.1バーツ(53円、前年同期比11.0%高、前週同)と前年同期からかなり大きく上昇した(図3)。タイ農業・農業協同組合銀行(BAAC)研究・イノベーション開発センターによると、引き続き輸出需要の高まりなどを受けて、キャッサバ製品価格は高い水準で推移すると予測している。

 図3

【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月および前月から大幅に増加

 2021年12月のタピオカでん粉輸出量は、37万8048トン(前年同月比44.8%増、前月比34.8%増)と、前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり490.0米ドル(5万6840円、同3.2%高、同0.6%高)と、前年同月からはやや、前月からはわずかに上昇した。

表7

参考 タイのタピオカ

ベトナム

【生産動向】
主産地で2021/22年度のキャッサバの収穫が進む  

 ベトナムの調査会社(AgroMonitor)によると、2021年12月現在、20/21年度(8月〜翌7月)作付分のキャッサバの収穫が、北部、中部、中部高原のほとんどの地域でピークを迎えている。作付面積は、同国で最もキャッサバ生産が盛んである南部中央高原地域のザライ省で8万2000ヘクタール台と見込まれており、当初の計画よりも9000ヘクタール増加しているが、単収は、作付初期の乾燥気候やその後の豪雨による根腐れなどから、前年度から3割程度減少する見込みである。  

 一方で、ザライ省に次ぐキャッサバの産地である南部南東地域のタイニン省では、作付面積は5万8000ヘクタールと見込まれており、計画より4000ヘクタール減少した。同省では、収穫をほぼ終え、次期作の21/22年度の作付けが進んでおり、でん粉工場では、カンボジアからの輸入キャッサバを加工している状況にある。  

 なお、キャッサバモザイク病(注1)は12月23日現在、中央直轄5都市および58省のうち1市19省(前月から3省減少)などの合計4万4764ヘクタール(11月18日比28.5%減)で感染が確認され、引き続き沈静化に向かっている状況が確認された(注2)

(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。


【貿易動向】
12月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少  

 AgroMonitorによると、2021年12月のタピオカでん粉輸出量は、18万3408トン(前年同月比40.3%減、前月比25.2%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同国の主要国別輸出量は、表8の通りである。  

 同月の輸出価格(CFR(注)・中国向け)は、1トン当たり519米ドル(6万204円、同17.2%高、同4.4%高)と、前年同月からは大幅に、前月からはやや上昇した。

(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、コンテナ輸送貨物に使われることが多い。

表8

参考 ベトナムのタピオカ

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
11月の輸出量、前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく増加

 2021年11月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万8890トン(前年同月比55.2%増、前月比11.2%増)と前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく増加した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり587ユーロ(7万6310円、同10.2%安、同2.5%高)と前年同月からかなりの程度下落したものの、前月よりわずかに上昇した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

表9

参考 EUのばれいしょ


コラム ポーランドのでん粉原料用ばれいしょ、ばれいしょでん粉の需給動向 
 

 ドイツ、フランスに次ぐEUのばれいしょ生産国であるポーランドでは、生産地は主に同国中部とされている。また、でん粉原料用ばれいしょは、北部のポモージェ県、中部のマゾフシェ県、クヤヴィ・ポモージェ県およびヴィエルコポルスカ県などで生産が盛んである(コラム−図1)。同国の国立植物育種・順化研究所によると、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発生前は、干ばつによる不作から同国の食用ばれいしょの市場価格は上昇し、需要も減少していたが、COVID-19拡大後は、都市封鎖による巣ごもり需要の増大から、平時と比較し売上が3倍となったとしている。  
 


 

 でん粉原料用ばれいしょについて見ると、生産地は主に同国北部とされている。直近6年間の作付面積は、3万1000〜3万5500ヘクタールで緩やかな増加基調にある一方、単収は、1ヘクタール当たり26.8〜33.9トンと幅があり、特に干ばつに見舞われた2018年に大きく減少した(コラム−図2)。生産量は91万〜115万トンで推移している。なお、でん粉原料用ばれいしょの生産者価格(事業者が農家から直接買い取る際の価格)は、1トン当たり230〜259ポーランドズロチ(6739〜7589円)であった。  

 農業・農村開発省によると、同国には6社のばれいしょでん粉製造企業があり、社会主義時代のなごりで現在も国営企業が存在する。同国の2015〜2019年のばれいしょでん粉生産量は14万8000〜21万トンで推移した。そのうち約6割程度が輸出に仕向けられ、域外輸出を中心としており、主な輸出相手国は韓国、米国、台湾などであった。
 


 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月からはやや、前月からはかなりの程度増加

 2021年12月の化工でん粉の輸出量は、9万7121トン(前年同月比4.3%増、前月比8.8%増)と前年同月からはやや、前月からはかなりの程度増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表10の通りである。

表10

参考 タイ

米国

【貿易動向】
11月の輸出量、前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加

 2021年11月の化工でん粉の輸出量は、2万9477トン(前年同月比24.5%増、前月比9.8%増)と前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

表11

参考 米国の化工でん粉

中国

【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月および前月から大幅に増加

 2021年12月の化工でん粉の輸出量は、9845トン(前年同月比52.2%増、前月比21.8%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表12の通りである。

表12

参考 中国の化工でん粉

E U

【貿易動向】
11月の輸出量、前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく増加

 2021年11月の化工でん粉の輸出量(注)は、5万6672トン(前年同月比17.4%増、前月比11.5%増)と、前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表13の通りである。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

表13

参考 EUの化工でん粉

豪 州

【貿易動向】 
11月の輸出量、前年同月から大幅に増加するも、前月からはわずかに減少

 2021年11月の化工でん粉の輸出量は、3244トン(前年同月比25.8%増、前月比2.8%減)と前年同月から大幅に増加するも、前月からはわずかに減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表14の通りである。

表14

参考 豪州の化工でん粉

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構  調査情報部  (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272