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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2022年4月11日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2022年4月

 本稿中の為替レートは2022年2月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=116.55円、1タイバーツ=3.61円、1ユーロ=130.84円である。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
アルゼンチンなどで単収減も、世界のトウモロコシ生産量は引き続き過去最高の見通し

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年3月9日、2021/22年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億614万トン(前年度比7.4%増)と前月から79万トン上方修正され、引き続き過去最高の生産が見込まれている。最大の生産国である米国、第2位の中国と第3位のブラジルは、いずれも前月から据え置かれたが、EUに次ぐ第5位のアルゼンチンは、乾燥気候に伴う単収の減少から同100万トン下方修正された。また、主要生産国の南アフリカも、同じく乾燥気候に伴う単収減による生産量の減少が見込まれている。

 輸出量は、世界全体で1億9990万トン(同10.0%増)と前月から377万トン下方修正された。うち、ウクライナは黒海沿岸の穀物積出港の港湾機能停止の影響などから600万トン下方修正された。一方で、米国はウクライナの輸出減を補うとの見込みから190万トン上方修正された。

 輸入量は、世界全体で1億8563万トン(前年度並み)と前月から254万トン下方修正された。うち、最大の輸入国である中国は2600万トン(前年度比11.9%減)と前月から据え置かれた。

 消費量は、世界全体で11億9662万トン(同5.1%増)と前月から145万トン上方修正され、引き続き前年度を上回ると見込まれている。うち、最大の消費国である中国は2億9400万トン(同3.2%増)と前月から据え置かれた。

 この結果、期末在庫は3億97万トン(同3.3%増)と前月から125万トン下方修正されたが、前年度をやや上回ると見込まれている。

  

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
国内消費量と輸出量の上方修正によりトウモロコシの期末在庫は9%台に

 USDA/WAOBは2022年3月9日、2021/22年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである(表3)。

 生産量は、151億1500万ブッシェル(3億8394万トン(注)、前年度比7.1%増)と前月から据え置かれた。引き続き、前年度からかなりの程度増加が見込まれており、これまでの統計で最も生産量の多かった16/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)に近い水準となっている。

 消費量は、124億3500万ブッシェル(3億1586万トン、同3.0%増)と前月並みと予測され、引き続き、エタノール向け需要の増加(同6.3%増)が消費をけん引すると見込まれている。

 輸出量は、米国がウクライナの輸出減を補うとの見込みから25億ブッシェル(6350万トン、同9.2%減)と前月からやや上方修正されたが、記録的な輸出量となった前年度からはかなりの程度減少が見込まれている。

 期末在庫は、国内消費量と輸出量がいずれも上方修正されたことで、14億4000万ブッシェル(3657万トン、同16.6%増)と前月からかなりの程度減少する結果となった。

 この結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は9.6%(同1.3ポイント増)とされ、10%台を割り込んだ。

 また、生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり5.65米ドル(659円。1キログラム当たり25.9円)と前月からやや上方修正された。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
 

 

【貿易動向:トウモロコシ】
12月の輸出量は前年同月、前月からかなりの程度増加し、価格は前月からわずかに上昇

 米国のトウモロコシ輸出量は2021年4月から9月までは減少傾向が続いていたものの、21年12月は500万69トン(前年同月比7.1%増、前月比7.7%増)と前年同月および前月からかなりの程度増加した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり269.8米ドル(3万1445円、同31.2%高、同0.5%高)と前年同月から大幅に、前月からわずかに上昇した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
※ Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。

 

 

 

【貿易動向:コーンスターチ】
12月の輸出量は前年同月から大幅に上昇し、前月よりわずかに減少

 2021年12月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万4304トン(前年同月比16.7%増、前月比0.7%減)と前年同月から大幅に上昇し、前月よりわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり657.5米ドル(7万6632円、同8.6%高、同1.8%安)と前年同月からかなりの程度上昇したが、前月からわずかに下落した。

 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における21年12月の製粉業者の純費用(Net Cost)は、1ポンド(注)当たり10.00セント(11.7円、前年同月比51.9%高、前月比5.8%高)と前月よりやや、依然として前年同月比では大幅に上昇し、高い水準となった。

(注)1ポンドは約0.45キログラム。

 

 

 

 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2021/22年度のキャッサバ生産量は前年度からわずかに増加する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2022年2月現在)によると、2021/22年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は966万ライ(155万ヘクタール(注)、前年度比1.4%減、前月同)、単収は1ライ当たり3.39トン(同2.1%増、前月同)、生産量は3273万トン(同0.7%増、前月同)と、21年12月予測からいずれも同量が見込まれている(表6)。

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。

 

【価格動向】
国内価格、上昇基調が持続し、1キログラム当たり15バーツ台で推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、22年3月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり15.15バーツ(55円、前年同期比9.8%高、前週比0.3%高)と前年同期からかなりの程度上昇した(図3)。タイ農業・農業協同組合銀行(BAAC)研究・イノベーション開発センターによると、キャッサバの収穫期にあたり供給量が増えるものの、輸出需要が引き続き高いことから、キャッサバ製品の価格は高い水準で推移すると予測されている。

 

【貿易動向】
1月の輸出量、前年同月から大幅に増加し、前月より大幅に減少

 22年1月のタピオカでん粉輸出量は、30万4866トン(前年同月比20.0%増、前月比19.4%減)と、前年同月から大幅に増加したものの、前月からは大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり490.0米ドル(5万7110円、同3.2%高、前月同)と、前年同月からはやや上昇した。

 

 

ベトナム

【生産動向】
主産地の2022/23年度キャッサバ作付面積は前年度並みの見込み

 ベトナムの調査会社(AgroMonitor)によると、2022年1月現在、次期作に向けた作付けが進んでおり、2022/23年度の作付面積は、前年度並みになると見込まれている。

 同国で最もキャッサバ生産が盛んな南部中央高原地域のザライ省では、8万ヘクタール(前年度比2.0%減)とわずかに減少が見込まれている。この要因として、取引価格が安定し高収入が見込まれる果樹などへの転作が進むことが考えられる。

 一方で、ザライ省に次ぐキャッサバの産地である南部南東地域のタイニン省では、6万500ヘクタール(同3.8%増)とやや増加が見込まれている。

 なお、キャッサバモザイク病(注1)は1月1日現在、中央直轄5都市および58省のうち1市17省(前月から2省減少)などの合計4万1734ヘクタール(12月23日比6.8%減)で感染が確認され、減少傾向の鈍化が確認された(注2)

(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。


【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からかなりの程度減少

 AgroMonitorによると、22年1月のタピオカでん粉輸出量は、17万1090トン(前年同月比43.8%減、前月比6.7%減)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度減少した。同国の主要国別輸出量は、表8の通りである。

 同月の輸出価格(CFR(注)・中国向け)は、1トン当たり508米ドル(5万9207円、同13.4%高、同2.1%安)と、前年同月からはかなり大きく上昇したものの、前月からはわずかに下落した。

(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、コンテナ輸送貨物に使われることが多い。
 

 

 

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月からは大幅に増加し、前月からは大幅に減少


 2021年12月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万832トン(前年同月比16.9%増、前月比22.0%減)と前年同月からは大幅に増加したものの、前月からは大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり618ユーロ(8万859円、同1.4%安、同5.0%高)と前年同月からわずかに下落したものの、前月よりやや上昇した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
 

 

 

コラム グルテンフリーをめぐる欧州の動向


 欧州では、食品ラベルの表示規則(Regulation〈EU〉No1169/2011)の下で、グルテンフリーに係る実施規則(同828/2014)がコラム−表1の通り、定められている。


 グルテンフリーは、セリアック病(グルテンを摂取することで腸の細胞が破壊されてしまい、腹痛や倦怠感などさまざまな不調が生じる病気)に対する食事療法として開発された背景があるため、「グルテンフリー」や「低グルテン」の表記のほかにも、「セリアック病患者のために特別に調整された」などの記述が認められている。また、欧州で販売されているグルテンフリー製品は、欧州セリアック病協会(AOECS)の認証ラベルを使用しているものが多く、同協会によると、第三者による認証ラベルの有無が、消費者がグルテンフリー製品を購入する際の大きな判断材料となっているという(コラム−図)。


 2021年9月、べルギーの首都ブリュッセル市内の一般的なスーパーマーケットで、グルテンフリー製品の販売実態を調査した結果は、コラム−表2の通りである。グルテンフリー製品の原材料を見ると、でん粉を使用したものが多くあったが、全ての製品で使用されているわけではなく、でん粉以外にはトウモロコシ粉や米粉の使用が確認された。スターチヨーロッパ(Starch Europe〈注〉)によると、欧州のグルテンフリーに係る規則に基づくと、小麦でん粉やその加工品は、基準値となる1キログラム当たり20ミリグラムを超えるグルテンを含まないため、「グルテンフリー」として取り扱うことが可能とされている。しかし、今回の調査では小麦でん粉を使用したグルテンフリー製品は確認されなかった。

(注)スターチヨーロッパは2022年3月現在、EU20カ国のでん粉製造企業28社が加盟する業界団体である。EUのでん粉生産量のうち95%がスターチヨーロッパの加盟企業で生産されている。
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
1月の輸出量、前年同月からはかなりの程度増加し、前月からはやや減少

 2022年1月の化工でん粉の輸出量は、9万1981トン(前年同月比6.7%増、前月比5.3%減)と前年同月からかなりの程度増加したものの、前月からはやや減少した。同月の主要輸出先別の輸出量は、表10の通りである。

 

 

米国

【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはかなりの程度減少

 2021年12月の化工でん粉の輸出量は、2万6405トン(前年同月比19.1%増、前月比10.4%減)と前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

 

 

中国

【貿易動向】
1月の輸出量、前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく増加

 2022年1月の化工でん粉の輸出量は、1万1180トン(前年同月比55.0%増、前月比13.6%増)と前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく増加した。同月の主要輸出先別の輸出量は、表12の通りである。

 

 

EU

【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月からはかなり大きく増加するも、前月からはやや減少

 2021年12月の化工でん粉の輸出量(注)は、5万4472トン(前年同月比12.7%増、前月比3.9%減)と、前年同月からはかなり大きく増加したものの、前月からはやや減少した。同月の主要輸出先別の輸出量は、表13の通りである。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

 

 

豪州

【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月から大幅に増加するも、前月からはかなり大きく減少

 2021年12月の化工でん粉の輸出量は、2866トン(前年同月比18.1%増、前月比11.7%減)と前年同月から大幅に増加するも、前月からはかなり大きく減少した。同月の主要輸出先別の輸出量は、表14の通りである。

 

 

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