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2.日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2022年9月12日

2.日本の品目別主要輸入先国の動向

2022年9月

 本稿中の為替レートは2022年7月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=135.61円、1タイバーツ=3.78円、1ユーロ=138.75円である。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
2022/23年度の世界のトウモロコシ、期末在庫は前年度から微減の見込み

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年8月12日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億7961万トン(前年度比3.2%減)と前月から629万トン下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。地域別に見ると、7月下旬の降雨により単収の増加が見込まれるウクライナの他、ロシアなどで生産量が前月から上方修正されたが、米国やEUで減産が見込まれ、特にEU各地で猛暑と乾燥により作柄の見通しが悪く、生産量は6000万トン(同15.5%減)と前月から800万トン下方修正された。その他の主要国の生産量はいずれも前月から据え置かれた。

 輸入量は、世界全体で1億7978万トン(同0.7%増)と前月から270万トン上方修正され、前年度からわずかな増加が見込まれている。地域別に見ると、EUは減産を背景に前月から300万トン上方修正され、1900万トン(同18.8%増)と大幅な増加が見込まれている。

 消費量は、世界全体で11億8477万トン(同1.3%減)と前月から47万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。地域別に見ると、ウクライナやロシアで前月から上方修正されたが、米国やEUで下方修正された。最大の消費国である中国は2億9500万トンと前月から据え置かれた。

 輸出量は、世界全体で1億8562万トン(同7.4%減)と前月から305万トン上方修正されたものの、前年度からかなりの程度減少が見込まれている。地域別に見ると、米国で63万トン、EUで200万トン前月から下方修正された。一方で、ロシアで20万トン、ウクライナで350万トン上方修正されたことで、これが吸収される形となった。

 この結果、期末在庫は3億668万トン(同1.7%減)と前月から626万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。

 

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
2022/23年度の米国トウモロコシ、在庫率は10%を割り込む見込み

 USDA/WAOBは2022年8月12日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表3)。

 生産量は、単収の減少予測を受けて143億5900万ブッシェル(3億6473万トン(注)、前年度比5.0%減)と前月から1億4600万ブッシェル(371万トン)下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。

 消費量は、121億5000万ブッシェル(3億862万トン、同2.0%減)と前月から2000万ブッシェル(51万トン)下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。内訳を見ると、前年度に比べ、グルコースやデキストロースなどのその他工業向けの増加が見込まれる中、トウモロコシの減産を背景に飼料など向けが減少すると予測されている。

 輸出量は、23億7500万ブッシェル(6033万トン、同3.1%減)と前月から2500万ブッシェル(64万トン)下方修正され、前年度からの減少幅が拡大すると見込まれている。

 この結果、期末在庫は、消費量よりも生産量の減少幅が大きかったことから13億8800万ブッシェル(3525万トン、同9.3%減)と前月から8200万ブッシェル(208万トン)下方修正され、前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。

 また期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は9.6%(同0.7ポイント減)と、10%を切ると見込まれている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.65米ドル(902円。1キログラム当たり35.5円)と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく上昇し、12/13年度に記録した同6.89米ドル以来の高値が予測されている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。

 

【貿易動向:トウモロコシ】
輸出価格は3カ月連続300米ドル超過

 2022年5月の米国のトウモロコシ輸出量は720万486トン(前年同月比15.2%減、前月比3.0%増)と前年同月からかなり大きく減少したものの、前月からやや増加した。同月の主要国別輸出量は表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり348.0米ドル(4万7192円、同24.8%高、同6.1%高)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度上昇して3カ月続けて300米ドルを超過した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB※価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
 ※Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。

 

 

 

【貿易動向:コーンスターチ】
5月の輸出量は前年同月からかなりの程度減少し、価格は大幅に上昇

 2022年5月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万5236トン(前年同月比9.8%減、前月比10.5%減)と前年同月および前月からかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり793.6米ドル(10万7620円、同34.1%高、同7.9%高)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度上昇しており、800米ドル目前となった。

 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における22年5月の製粉業者の純費用(Net Cost)は、1ポンド当たり14.05米セント(注)(19.1円、前年同月比13.6%高、前月比1.9%高)と前年同月からかなり大きく、前月からわずかに上昇し、依然として高い水準となった。

(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
 

 

 

 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
新年度(2022/23年度)の生産量は前年度からやや増加する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)は2022年7月、2022/23年度(10月〜翌9月)最初の生産見通しを公表した。これによると、22/23年度のキャッサバの収穫面積は1039万ライ(166万ヘクタール(注)、前年度比2.1%増)、単収は1ライ当たり3.45トン(同1.2%増)、生産量は3580万トン(同3.2%増)と見込まれている(表6)。

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。

 

【価格動向】
国内価格は下落に転じるも、高水準を維持

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2022年8月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり17.20バーツ(65円、前年同期比22.0%高、前週比0.6%安)と前年同期から大幅に上昇したものの、前週からはわずかに下落した(図3)。国内価格は22年4月以降、原料費や燃料費の上昇により急騰し、7月第3週を境に下落に転じているものの、現在も依然として高い水準にある。タイ農業・農業協同組合銀行(BAAC)研究・イノベーション開発センターによると、中国市場でタイ産のキャッサバ・チップやペレットといった加工品の需要が引き続き高いことや、石油燃料価格の上昇に伴うバイオ燃料需要の増加などから、キャッサバ製品価格は今後も高い水準で推移すると予測されている。一方で、22/23年産キャッサバの増産が見込まれる中、今後の価格動向が注目されている。

 

【貿易動向】
輸出価格は、前月から上昇し500米ドル台半ばに達する

 2022年6月のタピオカでん粉輸出量は、23万899トン(前年同月比7.8%減、前月比22.7%減)と前年同月からかなりの程度、前月から大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり540.0米ドル(7万3229円、同11.3%高、同2.5%高)と昨年末からの上昇傾向が持続し、前年同月からかなり大きく、前月からわずかに上昇した。
 

 

 

ベトナム

【生産動向】
主産地の2022/23年度のキャッサバ作付面積は前年から微減

 ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、2022年6月末現在、国内のキャッサバの作付けはおおむね完了した(参考)。北部地域と南部のタイニン省での作付面積は増加が予測されているが、中部地域では、キャッサバからサトウキビや経済性の高い他の作物への転作が進むことで、作付面積の減少が予測されている。この結果、主産地の作付面積合計は30万8000ヘクタール(前年比2.5%減)とわずかに減少が見込まれている。

 

【貿易動向】
6月の輸出量は増加する中、輸出価格は7カ月連続で500米ドル台

 AgroMonitorによると、2022年6月のタピオカでん粉輸出量は、20万4481トン(前年同月比42.9%増、前月比13.5%増)と前年同月から大幅に、前月からかなり大きく増加した。同国の主要国別輸出量は表8の通りである。

 同月の輸出価格(CFR(注)・中国向け)は、1トン当たり516米ドル(6万9975円、同7.1%高、同1.0%高)と前年同月からかなりの程度、前月からわずかに上昇し、7カ月連続で500米ドル台となった。

(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、コンテナ輸送貨物に使われることが多い。

 

 

 

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
5月の輸出量は前月から増加し、価格は前年同月から大幅に上昇

 2022年5月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万983トン(前年同月比9.6%減、前月比20.3%増)と前年同月からかなりの程度減少したものの、前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり721ユーロ(10万39円、同36.1%高、同2.8%高)と前年同月から大幅に、前月からわずかに上昇し、先月に引き続き700ユーロ台を記録した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
 

 

 

欧州主要国のでん粉原料用ばれいしょ生産動向
−デンマークおよびフランス編−


 世界最大のばれいしょでん粉生産地域である欧州では、ドイツ、オランダ、デンマークおよびフランスの4カ国が主産国として位置付けられている。本コラムでは、そのうちデンマークおよびフランスのでん粉原料用ばれいしょの生産動向を紹介する(コラム−表)。

1.デンマーク
 デンマーク統計局(REGNPRO1)によると、2016年以降、でん粉原料用ばれいしょの作付面積は増加傾向にあり、20年は6万2000ヘクタール(前年比8.8%増)と前年からかなりの程度増加し、単収は1ヘクタール当たり48.6トン(同5.4%増)、生産量は299万4000トン(同13.4%増)とそれぞれ増加した。

 22年の生産見通しについて、同国のばれいしょでん粉メーカーの一つであるAKV Langholtのホームページ(22年5月時点)によると、今期のでん粉原料用ばれいしょの作付けは、冬から春にかけて雨不足だった影響から乾燥気味ではあったが、ほぼ通常の気候条件の下で行われ、おおむね完了しているとしている。また同社は、コーンスターチの値上がりの影響で、ばれいしょでん粉の需要が高まり、価格も上昇基調が持続する状況について、この傾向は23年まで続くとの見通しを示している。

2.フランス
 フランスのばれいしょ生産者協会(CNIPT)によると、2021年の同国のでん粉原料用ばれいしょの作付面積は2万4000ヘクタール(前年比4.3%増)と前年からやや増加した。さらに、前年は夏の干ばつの影響を受けて減少した単収が1ヘクタール当たり45.1トン(同19.3%増)と回復したことで、生産量は107万5000トン(同22.0%増)と大幅に増加した。

 22年の生産見通しについて、同国のばれいしょ生産者連盟(UNPT)によると、ロシアのウクライナ侵攻(注)によりガス、石油、電気などの光熱費の他、窒素やカリウムを中心とした肥料価格も高騰していることから、でん粉原料用を含めたばれいしょ作付け予定としていたほ場に、取引価格が上昇しているトウモロコシやヒマワリなどを転作する農家もおり、ばれいしょの作付面積が減少する可能性があるとしている。

注)ロシアのウクライナ侵攻の欧州ばれいしょ市場への影響については、『砂糖類・でん粉情報2022年8月号』のでん粉の国際需給コラム「欧州主要国のでん粉原料用ばれいしょ生産動向−ドイツおよびオランダ編−」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002758.html)を参照されたい。

    

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
6月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からかなりの程度増加

 2022年6月の化工でん粉の輸出量は、10万4810トン(前年同月比16.0%増、前月比9.1%増)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度増加した。同月の主要輸出先別の輸出量は表10の通りである。

 

 

米国

【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からかなり大きく増加

 2022年5月の化工でん粉の輸出量は、3万1077トン(前年同月比18.4%増、前月比11.4%増)と前年同月から大幅に、前月からかなり大きく増加した。同月の主要国別輸出量は表11の通りである。

 

 

中国

【貿易動向】
6月の輸出量は2年10カ月ぶりに1万トンを超過

 2022年6月の化工でん粉の輸出量は、1万943トン(前年同月比42.0%増、前月比20.9%増)と前年同月および前月から大幅に増加し、19年8月から2年10カ月ぶりに1万トンを超過した。同月の主要輸出先別の輸出量は表12の通りである。

 

 

EU

【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からかなりの程度減少

 2022年5月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万192トン(前年同月比19.8%減、前月比9.2%減)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度減少した。同月の主要輸出先別の輸出量は表13の通りである。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

 

 

豪州

【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 2022年5月の化工でん粉の輸出量は、3903トン(前年同月比40.4%増、前月比25.6%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要輸出先別の輸出量は表14の通りである。

 

 

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