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2. 日本の品目別主要輸入先の動向

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最終更新日:2022年12月9日

2. 日本の品目別主要輸入先の動向

2022年12月

 本稿中の為替レートは2022年10月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=149.26円、1タイバーツ=3.97円、1ユーロ=149.09円である。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。

トウモロコシ・コーンスターチ

世 界

【需給動向:トウモロコシ】
生産量と消費量の乖離かいりが拡大し、期末在庫は前年度比微減の見込み
 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年11月9日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億6839万トン(前年度比4.0%減)と前月から35万トン下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。地域別に見ると、米国やトルコなどで前月から生産量が増加したものの、ハンガリーでの減産が見込まれるEUの生産量が下方修正されたことで、これが吸収される形となった。特に、猛暑と乾燥により作柄の見通しが悪いEUは5480万トン(同22.8%減)と、今年度と同等の干ばつ被害があった07/08年度以来の不作が見込まれている。

 輸入量は、世界全体で1億7760万トン(同3.4%減)と前月から136万トン下方修正され、前年度からやや減少すると予測されている。地域別に見ると、増産が見込まれるトルコで30万トン下方修正された他、アルジェリアで30万トン、ベトナムで50万トン下方修正された。

 消費量は、世界全体で11億7530万トン(同2.3%減)と前月から75万トン上方修正されたものの、前年度からわずかな減少が見込まれている。地域別に見ると、米国での飼料など向けの増加などにより前月から上方修正されたものの、EUなどで下方修正されたことが影響した。なお、最大の消費国である中国は2億9500万トンと前月から据え置かれた。

 輸出量は、世界全体で1億8274万トン(同9.5%減)と前月から30万トン下方修正され、前年度からかなりの程度減少が見込まれている。地域別に見ると、南アフリカが減産を受けて30万トン下方修正された。

 この結果、期末在庫は3億76万トン(同2.2%減)と前月から43万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。

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米 国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
米国生産量は4カ月ぶりに上方修正されるも期末在庫率は引き続き低水準

 USDA/WAOBは2022年11月9日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表3)。

 生産量は、単収増加予測を受けて139億3000万ブッシェル(3億5384万トン(注)、前年度比7.6%減)と前月から3500万ブッシェル(89万トン)上方修正されたものの、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。

 消費量は、120億2500万ブッシェル(3億545万トン、同3.7%減)と前月から2500万ブッシェル(64万トン)上方修正されたものの、前年度からやや減少すると見込まれている。内訳を見ると、飼料など向けが2500万ブッシェル(64万トン)上方修正され、エタノール向けは前月から据え置かれた。

 輸出量は、21億5000万ブッシェル(5461万トン、同13.0%減)と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく減少すると見込まれている。

 この結果、期末在庫は、増産を背景に前月から1000万ブッシェル(25万トン)上方修正されたものの、11億8200万ブッシェル(3001万トン、同14.2%減)と、引き続き前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。

 また期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は8.3%(同0.9ポイント減)と、前月と変わらず8%台前半にまで低下すると予測されている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.80米ドル(1015円。1キログラム当たり40.0円)と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく上昇し、12/13年度に記録した同6.89米ドル以来の高値が予測されている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。

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【貿易動向:トウモロコシ】
輸出量は3カ月連続で減少し、輸出価格は300米ドル台を推移

 2022年8月の米国のトウモロコシ輸出量は、331万1327トン(前年同月比0.1%増、前月比27.9%減)と前年同月並みも前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり337.2米ドル(5万330円、同15.8%高、同0.3%安)と6月以降下落傾向ではあるが300米ドル台を維持した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB※価格から横持ち料
〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
※Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。

 

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【貿易動向:コーンスターチ】
輸出量は前月からやや減少し、価格は6年8カ月ぶりの800米ドル台に突入

 2022年8月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万5543トン(前年同月比10.0%減、前月比4.4%減)と前年同月からかなりの程度、前月からやや減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり829.5米ドル(12万3811円、同34.5%高、同7.4%高)と前月からかなりの程度上昇し、15年12月から6年8カ月ぶりの800米ドル台となった。

 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における22年8月の製粉業者の純費用(Net Cost)は、1ポンド当たり11.59米セント(注)(17.3円、前年同月比4.9%安、前月比8.9%安)と前年同月からやや、前月からかなりの程度下落した。

(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。

 

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タピオカでん粉

タ イ

【生産動向】
2022/23年度のキャッサバ生産量は前年度からやや増加する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2022年10月)によると、2022/23年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は1039万ライ(166万ヘクタール(注)、前年度比2.1%増、前月同)、単収は1ライ当たり3.45トン(同1.2%増、前月同)、生産量は3580万トン(同3.2%増、前月同)と見込まれている(表6)。
 

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。


 

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【価格動向】
国内価格は下落傾向も、高い水準を推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2022年11月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり16.8バーツ(67円、前年同期比15.9%高、前週比0.3%安)と前年同期からかなり大きく上昇したものの、前週並みとなった(図3)。国内価格は22年4月以降、原料費や燃料費の上昇により急騰し、7月第3週を境に下落に転じたものの、依然として高い水準を維持している。現在、キャッサバ農家価格は上昇傾向にある(表1)が、22/23年産のキャッサバは増産が見込まれており、今後の価格動向が注目されている。
 

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【貿易動向】
輸出量は前月から減少し、輸出価格は3カ月連続で下落

 2022年9月のタピオカでん粉輸出量は、31万3821トン(前年同月比8.8%減、前月比2.8%減)と前年同月からかなりの程度、前月からわずかに減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり507.5米ドル(7万5749円、同4.6%高、同3.8%安)と3カ月連続で下落した。
 

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ベトナム

【生産動向】
天候不順の中、各地でキャッサバの収穫が停滞

 ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、各地で収穫期を迎えている。北部地域では今期、多雨により収穫が停滞し、でん粉工場へのキャッサバの搬入量が少ない状況にあり、買取価格が上昇傾向にあるとしている。また生産の盛んな中部地域でも同様に雨が多く、特に9月最終週にクアンナム省を直撃した台風の影響でキャッサバの収穫に遅れが生じた。一方、南部地域では、作付面積が同国第2位のタイニン省で、作付面積の85〜90%の収穫を終えたと見込まれている。

 また、キャッサバモザイク病(注1)は9月末現在、同国では中央直轄5都市および58省のうち1市18省などの合計7万2883ヘクタール(前月比2.1倍)で感染が確認され、引き続き同病による被害の発生が懸念されている(注2)
 

(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。

【貿易動向】
9月の輸出量は前月からかなりの程度減少し、輸出価格は下落傾向

 AgroMonitorによると、2022年9月のタピオカでん粉輸出量は、17万1815トン(前年同月比7.7%増、前月比9.0%減)と前年同月からかなりの程度増加したものの、前月からかなりの程度減少した。同国の主要国・地域別輸出量は表8の通りである。

 同月の輸出価格(CFR(注)・中国向け)は、1トン当たり491米ドル(7万3287円、同4.0%高、同4.8%安)と前月からやや下落し、8カ月ぶりに500米ドルを下回った前月に引き続き下落傾向を示した。

(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、コンテナ輸送貨物に使われることが多い。

 

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ばれいしょでん粉

E U

【貿易動向】
輸出量は前月から大幅に減少し、価格は5カ月連続上昇して800ユーロを突破

 2022年8月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万6759トン(前年同月比26.0%減、前月比17.8%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり821ユーロ(12万2403円、同51.2%高、同5.8%高)と前年同月から大幅に、前月からやや上昇した。前月からの上昇は5カ月連続となり、19年12月から2年8カ月ぶりの800ユーロ台となった。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
 

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コラム 欧州主要国のでん粉生産動向
−オランダの小麦でん粉生産−

 世界最大のばれいしょでん粉生産地域である欧州では、小麦でん粉の生産も盛んであり、世界の小麦でん粉生産量の約4割を占める131万トンを生産している(2020年。LMC調べ)。2022年8月号のコラムに掲載した通り、ばれいしょでん粉の主産国の一つであるオランダについて、今回は小麦でん粉の生産に関して紹介する。

  2020年の同国のでん粉生産量は29万3000トンで、その内訳は、ばれいしょでん粉が最も多く5割以上(16万トン)を占め、次いで小麦でん粉(6万5000トン)、コーンスターチ(6万5000トン)がそれぞれ2割程度などとなっている(コラム−図1)。

        

 オランダ中央統計局(CBS)によると、同国では北部から南部まで広い地域で小麦が生産されているが、でん粉原料用に特化した小麦は生産されていない。同国では気候条件が適していないことなどを理由にパスタなどの原料となるデュラム小麦もほぼ生産されておらず、オランダ環境評価庁(PBL)の報告によると、同国で生産された小麦の約55%は飼料用、約20%は製パン用、残りの25%がでん粉およびバイオエタノール用に仕向けられている。なお、同国で生産される小麦はタンパク質含有量が低く品質が不十分な場合が多いことから、製パン用としてフランスやドイツなどから小麦を輸入することが主流であり、でん粉も同様の状況にある。

 PBLによると、オランダでは3社がでん粉を製造しているが、小麦でん粉の製造を行っているのはCargill社のみであり、南西部にある2工場が小麦でん粉を製造している(コラム−図2)。ベルゲン・オブ・ズーム工場は小麦でん粉の製造を中心とした工場で、年間約60万トン程度の小麦を取り扱っている。また、サス・ファン・ゲント工場はコーンスターチも製造するでん粉製造の中心的な工場で、年間約50万トン程度の小麦を取り扱っている。また、両工場ともにでん粉の製造に加えてでん粉由来の甘味料やエタノールなども製造している。

      

 なお、欧州では近年、副産物であるグルテンによる高収益性が評価され、小麦でん粉は増産傾向にあり、Cargill社は、2019年にサス・ファン・ゲント工場の規模拡張に向けた設備投資を実施すると公表している他、欧州全体では、でん粉原料のトウモロコシから小麦への切り替えや、小麦でん粉製造工場の増設といった設備投資の動きも見られる。20年の小麦でん粉生産量は、欧州のでん粉生産量が増加傾向にある中で、前年比7.5%増と大きく伸びた(コラム−表)。

    

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国・地域による主要仕向け先別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タ イ

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月からかなりの程度減少したものの、前月からわずかに増加

 2022年9月の化工でん粉の輸出量は、8万8245トン(前年同月比8.6%減、前月比0.8%増)と前年同月からかなりの程度減少したものの、前月からわずかに増加した。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表10の通りである。

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米 国

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月および前月からからかなりの程度減少

 2022年8月の化工でん粉の輸出量は、2万5265トン(前年同月比6.6%減、前月比9.6%減)と前年同月および前月からかなりの程度減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表11の通りである。
 

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中 国

【貿易動向】
輸出量は4カ月連続1万トンを超過

 2022年9月の化工でん粉の輸出量は、1万4524トン(前年同月比2.1倍、前月比10.9%増)と2年10カ月ぶりに1万トンを超過した6月から4カ月連続で増加傾向を維持した。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表12の通りである。

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E U

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からかなりの程度減少

 2022年8月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万579トン(前年同月比20.5%減、前月比9.1%減)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度減少した。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表13の通りである。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
 

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豪 州

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 2022年8月の化工でん粉の輸出量は、4763トン(前年同月比35.7%増、前月比52.1%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表14の通りである。
 

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