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でん粉の国内需給

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最終更新日:2023年3月10日

でん粉の国内需給

2023年3月

調査情報部

1. 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、でん粉に関して適切な価格調整を図るため、半期ごとにでん粉の需給見通しを公表している。2月に公表したでん粉の需給見通しの概要は、次の通り。

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(1)でん粉の需要量の見通し

 用途ごとのでん粉の需要量の見通しは以下の通り。

【糖化用向けでん粉の需要量】
令和3でん粉年度は、前年度からわずかに減少

 令和3でん粉年度は、全体の需要がおおむね維持され、前年度を1万3000トン下回る161万2000トンとなった。

 4でん粉年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の影響が一部見込まれるものの、経済活動の回復に伴い清涼飲料および土産需要などが緩やかに増加すると見込まれることから、前年度を6万3000トン上回る167万5000トンと見通している。

【化工でん粉用向けでん粉の需要量】
令和3でん粉年度は、前年度からわずかに増加

 令和3でん粉年度は、仕向け先ごとの需要の変動はあるものの、全体としては需要が緩やかに回復したことから、前年度を4000トン上回る26万9000トンとなった。

 4でん粉年度は、COVID−19の影響が一部見込まれるものの、経済活動の回復に伴い外食需要などが緩やかに増加するとし、前年度を6000トン上回る27万5000トンと見通している。

【その他用途向けでん粉の需要量】
令和3でん粉年度は、前年度からやや増加

 令和3でん粉年度は、COVID−19による外出自粛の影響により落ち込んでいたビール、物流の回復に伴う製紙・ 段ボールなどの需要が増加したことにより、前年度を2万8000トン上回る52万1000トンとなった。

 4でん粉年度は、COVID−19の影響が一部見込まれるものの、経済活動の回復に伴いビール向けの需要および物流回復に伴う段ボール需要などが緩やかに増加すると見込んでいることなどから、前年度を2万3000トン上回る54万4000トンと見通している。

(2)でん粉の供給量の見通し

 各種でん粉の供給量の見通しは以下の通り。

【かんしょでん粉の生産量】
令和3でん粉年度は、前年度並み

 令和3年産のでん粉原料かんしょの生産量が、産地でのサツマイモ基(もと)腐(ぐされ)病発生の影響により前年に続き低水準となり、かんしょでん粉の生産量は、前年度同の2万1000トンとなった。

 4年産についても、サツマイモ基腐病発生により収量が減少したことに加え、原料いものでん粉用途への仕向け量が減少したことから、かんしょでん粉の生産量は前年度を6000トン下回る1万5000トンと見通している。

【ばれいしょでん粉の生産量】
令和3でん粉年度は、前年度からかなりの程度減少

 令和3年産のでん粉原料ばれいしょの生産量が、北海道における7月の高温・小雨による不作の影響などにより減少したことから、ばれいしょでん粉の生産量は前年を1万5000トン下回る15万トンとなった。

 4年産については天候不良により一部地域でいもの腐れが発生したものの、作付面積の拡大により増加が見込まれ、ばれいしょでん粉の生産量は前年を3000トン上回る15万3000トンと見通している。

【コーンスターチの供給量】
令和3でん粉年度は、前年度並み

 令和3年度は、COVID−19による外出自粛の影響により落ち込んでいたビール、物流の回復に伴う製紙・段ボールなどの需要回復により、3でん粉年度の供給量はでん粉ベースで前年度を4000トン上回る205万2000トンとなった。

 4年度は、COVID−19の影響が一部見込まれるものの、経済活動の回復に伴い、緩やかに需要が増加すると見込まれ、清涼飲料および物流資材需要などが増加することから、前年度を9万9000トン上回る215万1000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(糖化製品、化工でん粉用)
令和3でん粉年度は、前年度からわずかに増加

 令和3でん粉年度は、外食など向けの需要の回復により、前年度を3000トン上回る13万4000トンとなった。

 4でん粉年度も需要に応じて、同程度の供給がなされるものとして、前年度同の13万4000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(その他用)
令和3でん粉年度は、前年度から大幅に増加

 令和3でん粉年度は、外食など向けの需要の回復により、前年度を3000トン上回る1万1000トンとなった。

 4でん粉年度は、COVID−19の影響が一部見込まれるものの、経済活動の回復に伴い、外食などで緩やかに需要が増加すると見込まれ、前年度を2000トン上回る1万3000トンと見通している。

【小麦でん粉の供給量】
令和3でん粉年度は、前年度からかなりの程度増加

 小麦でん粉は、主に畜水産練り製品向けとして供給されており、令和3でん粉年度は前年度を1000トン上回る1万6000トンとなった。

 4でん粉年度も需要に応じて、同程度の供給がなされるものとして、前年度を1000トン下回る1万5000トンと見通している。

2.輸入動向

【タピオカでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からかなりの程度増加

 財務省「貿易統計」によると、2022年12月のタピオカでん粉の輸入量は、9097トン(前年同月比8.1%増、前月比28.1%減)と、前年同月からかなりの程度増加した(図1)。

 輸入先はタイ、ベトナムおよび台湾で、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 タイ     9065トン
  (前年同月比8.0%増、前月比28.2%減)
 ベトナム     17トン
  (同88.1%増、同2.1倍)
 台湾      16トン
  (同91.8%増、同3.9%増)

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 また、2022年1〜12月のタピオカでん粉の輸入量は、前年比5.8%減の12万6893トンと、前年をやや下回った(図2)。国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 タイ       12万6233トン
 (前年比5.7%減)
 ベトナム        556トン
 (同24.4%減)
 台湾          85トン
 (同12.3%減)
 ブラジル        19トン
 (同2.7%増)
 オーストリア      0.1トン
 (前年輸入実績なし)

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 2022年12月の1トン当たりの輸入価格は、7万6858円(前年同月比35.7%高、前月比8.7%安)と、前年同月を大幅に上回った(図3)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 タイ       7万6312円
  (前年同月比35.8%高、前月比8.5%安)
 ベトナム      7万4059円
  (同61.7%安、同75.3%安)
 台湾      39万5865円
  (同16.1%高、同10.2%安)

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【サゴでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からかなりの程度減少

 財務省「貿易統計」によると、2022年12月のサゴでん粉の輸入量は、1373トン(前年同月比10.6%減、前月比36.7%減)と、前年同月からかなりの程度減少した(図4)。

 輸入先はマレーシアおよびインドネシアで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 マレーシア  1175トン
  (前年同月比18.7%減、前月比40.9%減)
 インドネシア  198トン
  (同2.2倍、同10.0%増)

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 また、2022年1〜12月のサゴでん粉の輸入量は、前年比18.5%増の1万7281トンとなり、前年を大幅に上回った(図5)。国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 マレーシア   1万5877トン
 (前年比11.6%増)
 インドネシア     1404トン
 (同3.9倍)

 

 2022年12月の1トン当たりの輸入価格は、11万1556円(前年同月比75.6%高、前月比8.4%安)と、前年同月を大幅に上回った(図6)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 マレーシア     11万2898円
  (前年同月比77.3%高、前月比8.2%安)
 インドネシア    10万3596円
  (同69.2%高、同5.2%安)

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【ばれいしょでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2022年12月のばれいしょでん粉の輸入量は205トン(前年同月比71.0%減、前月比69.1%増)と、前年同月から大幅に減少した(図7)。

 輸入先はデンマークおよび台湾で、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 デンマーク    200トン
  (前年同月比71.6%減、前月比9.5倍)
 台湾        5トン
  (前年同月および前月輸入実績なし)

 

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 また、2022年1〜12月のばれいしょでん粉の輸入量は、前年比18.0%減の8253トンと前年から大幅に減少した(図8)。国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 ドイツ     6444トン
 (前年比4.3%減)
 デンマーク   1209トン
 (同41.5%減)
 オランダ     560トン
 (同55.0%減)
 ラトビア     20トン
 (前年輸入実績なし)
 台湾       19トン
 (前年比43.5%増)
 米国        1トン
 (前年同)

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 2022年12月の1トン当たりの輸入価格は、14万1333円(前年同月比55.3%高、前月比14.2%高)と、前年同月をかなり大きく上回った(図9)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 デンマーク   13万6430円
  (前年同月比51.2%高、前月比7.1%高)
 台湾      35万6360円
  (前年同月および前月輸入実績なし)
 

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【でん粉誘導体の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2022年12月のでん粉誘導体の輸入量は、3万7207トン(前年同月比29.2%増、前月比15.6%増)と、前年同月から大幅に増加した(図10)。

 でん粉誘導体の輸入先は15カ国・地域で、最大の輸入先はタイであった。主要輸入先からの輸入量は次の通りで、タイが輸入量の約7割を占めており、次いでベトナム、フランスとなっている(表3)。
 

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 2022年12月の1トン当たりの輸入価格は、12万4702円(前年同月比13.3%高、前月比11.7%安)と、前年同月をかなり大きく上回った。

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 2022年1〜12月のでん粉誘導体の輸入量は、前年比5.2%増の44万122トンとなった(図11)。

 また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比28.4%高の12万2588円となった。

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【デキストリンの輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2022年12月のデキストリンの輸入量は、889トン(前年同月比29.8%減、前月比0.4%増)と、前年同月から大幅に減少した(図12)。

 デキストリンの輸入先は12カ国・地域で、輸入量は上位輸入先の数量および各国のシェアも含め、月ごとの変動が大きい。

 上位輸入先からの輸入量は次の通りで、タイ、米国およびベトナムで輸入量の約6割を占めている(表4)。
 

 2022年12月の1トン当たりの輸入価格は、19万3114円(前年同月比89.4%高、前月比19.3%安)と、前年同月を大幅に上回った。
 

 2022年1〜12月のデキストリンの輸入量は、前年比3.0%増の1万5987トンと前年からやや増加した(図13)。

 また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比23.8%高の16万1640円となった。
 

 

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【コーンスターチ用トウモロコシの輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からかなりの程度減少

 財務省「貿易統計」によると、2022年12月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、22万7871トン(前年同月比9.7%減、前月比29.5%減)となり、前年同月からかなりの程度減少した(図14)。

 輸入先は、米国、ブラジル、南アフリカおよびアルゼンチンで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 米国      12万7733トン
  (前年同月比42.4%減、前月比35.7%減)
 ブラジル    9万3914トン
  (同32.4倍、同16.8%減)
 南アフリカ     5000トン
  (同81.8%減、同11.9%減)
 アルゼンチン       1224トン
  (前年同月輸入実績なし、同80.4%減)

 2022年12月の1トン当たりの輸入価格は、5万1671円(前年同月比33.9%高、前月比8.1%安)と、前年同月を大幅に上回った。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 米国       5万2740円
  (前年同月比35.7%高、前月比7.5%安)
 ブラジル       5万273円
  (同49.8%高、同8.2%安)
 南アフリカ          4万8873円
  (同32.2%高、同9.7%安)
 アルゼンチン       5万8885円
  (前年同月輸入実績なし、同0.6%安)
 

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 2022年1〜12月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、前年比3.0%増の302万9610トンとなった(図15)。

 また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比47.0%高の5万557円となった。

 

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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