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鹿児島純心女子大学にてかんしょでん粉に関する出前講座を開催

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最終更新日:2019年12月27日

2019年11月

 令和元年11月29日(金)、当機構鹿児島事務所は、鹿児島純心女子大学において、かんしょでん粉に関する出前講座を開催した。この講座は、管理栄養士を目指す看護栄養学部健康栄養学科の学生に対して、価格調整制度の認識を深めてもらうとともに、鹿児島県の特産品であるかんしょでん粉の特性を知ってもらうため、授業の一環として実施している。今回の講座は平成25年のスタート以来7回目の開講となり、同学科2年生の40名が出席した。
 
 始めに、当機構鹿児島事務所の石井所長より「日本のでん粉事情」と題して、でん粉の生産体系やそれを支援する価格調整制度の仕組みなどについて講義を行った。
 
石井所長による講演
石井所長による講演
 続いて、鹿児島県大隅加工技術研究センターの時村金愛(かなえ)研究主幹から、「かんしょでん粉の魅力と利用について −かんしょでん粉ってなに?どう使うの?−」と題した講義が行われた。講義でははじめに、でん粉の種類ごとの原料や粘度の違いなどについて説明があり、かんしょでん粉は各種でん粉の中でも中間的な粘度を示すことが説明された。また、でん粉の一例として、トウモロコシを原料として製造されるコーンスターチ、キャッサバを原料として製造されるタピオカでん粉、ジャガイモ(ばれいしょ)を原料として製造される片栗粉、さつまいもを原料として製造されているかんしょでん粉が示され、コーンスターチ及びタピオカでん粉は外国産の原料から製造されるほか、片栗粉についても一部輸入物が流通している中で、かんしょでん粉については、国産の原料のみを使用して、唯一鹿児島県内でのみ製造されていることが紹介された。

 次に、かんしょでん粉の主な用途と課題について説明があった。かんしょでん粉は全体の約6割が水あめや、清涼飲料に使用する「果糖ぶどう糖液糖」のような糖化製品向けとして利用されているほか、約4割は麺類、さつまあげ、わらびもちなどの食品向けに利用されているものの、ばれいしょでん粉と比較して食品向けの利用は少なく、今後、食品向けを拡大していくことが課題の一つとして示されるとともに、食品向けの用途拡大を目指して育成された品種「こなみずき」についての紹介があった。
  「こなみずき」を原料としたでん粉は、従来のかんしょでん粉と比較してより低温で糊状に変化するほか、保水性が高く、わらびもちなどに使用した場合に離水しにくく硬くなるのが遅いなどの特徴があるとのことであった。
様々な食品を例に挙げながら、かんしょでん粉が食品の食感などに与える効果や、かんしょでん粉の特性を生かして開発された商品などが紹介され、かんしょでん粉の多様な用途が示された。現在、食品向けに製造されているかんしょでん粉は、衛生的な環境のもと、最新鋭の設備で製造されており、高品質で、「安全・安心な国産の食品」としての需要が期待されているとのことであった。
 また、昨今、でん粉原料用のさつまいもにおいて、作付面積の減少や単収の低下が問題となる中、従来の主要品種と比較して2割以上多収で、病害虫にも強い新品種「こないしん」についても紹介があった。
 
 講義の会場には、時村研究主幹が作成した一般のかんしょでん粉、「こなみずき」でん粉およびばれいしょでん粉を使ったゲルの展示があり、学生たちは、でん粉の種類による弾力性や色味の違いを実際に見たり触ったりしながら、体感することができた。
 
時村研究主幹による講演
時村研究主幹による講演
各種でん粉を使用したゲルの展示
各種でん粉を使用したゲルの展示
 講義の後は「こなみずき」でん粉を使用した調理実習が行われ、学生たちは、同大学の森中教授と、時村研究主幹の指導の下、鹿児島の郷土料理である「落花生豆腐」、「さつまあげ」、「からいもだご汁」などを順次調理した。
 「落花生豆腐」は、落花生の豆乳にかんしょでん粉を加えてゲル状に固めたもっちりとした食感と落花生の濃厚な旨味が特徴的な料理で、特にかんしょでん粉や落花生の生産が盛んな鹿屋地域では日常的に食べられている他、鹿児島県内では法事の際に食す機会が多い。今回の調理では、「こなみずき」でん粉の高い成形性により、短い調理時間においても崩れることなく成形することができた。
 「さつまあげ」は、言わずと知れた郷土料理で、魚のすり身とでん粉などを混ぜ合わせ、小判型に成形して揚げた料理で、同県内では「つけあげ」と言われることが多い。今回は「こなみずき」でん粉を使用することにより、弾力感と歯切れのよさを兼ね備えた食感となった。
 「からいもだご汁」は、茹でてつぶしたかんしょにでん粉を加えて練り、団子状にしたものを、野菜とともに出し汁で煮た料理であり、「こなみずき」でん粉を使用することで、歯切れがよく、食べやすい食感となった。
これらに加えて、かんしょでん粉と鹿児島県産の黒酢を使ったドレッシングを添えたサラダを調理したほか、デザートには牛乳と砂糖に「こなみずき」でん粉を加えて調理したフランス冷菓の「ブランマンジェ」は、もちもちとろとろの食感に仕上がった。
 
手際良く調理する学生たち
完成した調理実習のメニュー
完成した調理実習のメニュー
 料理の試食時には、時村研究主幹から、従来のかんしょでん粉と「こなみずき」でん粉の2種類のでん粉を使った「ういろう」や、「チーズスナック」の試食品が提供され、学生たちはその食感の違いに興味や関心を寄せていた。
 なお、一般のかんしょでん粉を使った「ういろう」は、冷蔵庫で冷やし固めると、羊羹(ようかん)のような食感になるが、「こなみずき」でん粉を使った「ういろう」は、べたつきが少ない他、耐老化性が高く弾力が保持されるため、ぷるぷるとした食感になる。
 また、スナック菓子などの焼成菓子に利用した場合、従来のかんしょでん粉を使用した場合は、軽く、口どけがよい食感となるが、「こなみずき」でん粉を使用した場合は、カリカリとした、噛みごたえがある食感となるため、両者を組み合わせて食感をコントロールすることで、小麦粉や卵を使用しない、アレルギー、グルテンフリーに対応した食品の製造も可能であるとのことであった。
 
 出席した学生からは、「もちもち」、「ぷるぷる」とした食感に対して好印象な感想が多く寄せられたほか、「成形が早い」、「様々な調理に利用できる」といった点に対して魅力を感じたという感想も多くみられた。
 
 本年の出前講座においても、森中教授や時村研究主幹のご協力をいただきながら、将来、学校や病院などで鹿児島の食と健康を担う学生たちに、かんしょでん粉の特性と利用方法を伝えるとともに、価格調整制度の理解浸透を図ることができたと思われる。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:鹿児島事務所)
Tel:099-226-4741