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寄稿

【寄稿】未来の「食」を変える新技術 ZEROCO

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最終更新日:2026年9月7日
広報webマガジン「alic」2026年9月号

 
 私たちの食を取り巻く環境は、世界でも日本でも大きく変わりつつあります。世界では人口増加により食料需要が急増する一方、毎年17億トンもの食料が捨てられています。日本では人口減少と農業従事者の高齢化が進み、食の供給体制そのものが揺らぎ始めています。 こうした課題に対し、「生産量を増やす」のではなく「食材を失わない」ことで課題解決に挑戦しているのが、ZEROCO株式会社の鮮度保持技術「ZEROCO」です。

ZEROCOとは?冷蔵庫でも冷凍庫でもない、新しい“鮮度の保管庫”

 ZEROCOは、温度が0度前後、湿度が100%弱という、雪下野菜から着想を得た技術です。この環境では食材の細胞が壊れにくく、野菜や果物を長期間フレッシュな状態で保つことができます。

 そのため、いちごなど傷みやすい食材でも数か月間も品質を保てる例が出ています。さらに、生鮮品の長期保存を行う保管庫・冷蔵庫的な活用だけでなく、冷凍前の予備冷却として使うことで、冷凍食品のドリップ(解凍時の水分流出)を抑え、出来立てのような品質の冷凍食品を製造することが可能になります。

 
実証実験によるZEROCOで保存が可能な期間例
<実証実験で、ZEROCOで保存が可能な期間例>


<ZEROCOで数か月保蔵したいちご(写真左)と、冷蔵庫で保管冷凍変性(着霜)したいちご(写真右)>
<ZEROCOで数か月保管したいちご(写真左)と、冷蔵庫で保管冷凍変性(着霜)したいちご(写真右)>

ZEROCOがもたらす変化「在庫が持てる農業」

 これまで生鮮品は「収穫した瞬間から劣化が始まる」ため、生産者は市場価格に合わせて出荷せざるを得ませんでした。 しかし、ZEROCOで保存期間が延びれば、価格が暴落する時期を避け、適正な価格で出荷することができます。例えば、トマトやキャベツなどの急激な価格の暴騰・暴落、こうした現象を構造的に減らし、需給バランスを見ながら供給量を調整することが可能になります。結果として、消費者にとっても「安心して買える価格での食」を実現します。
 
<負のスパイラル(左)と正のスパイラル(右)>
<負のスパイラル(左)と正のスパイラル(右)>

 

日本中に保管拠点、そして海外へ

 生産の拠点となる川上(産地)にZEROCOを設置することを最優先とし、北海道・熊本・徳島などで大型ZEROCOが稼働し、実証実験が進行中です。
 

 その中でも熊本県では、植木青果市場との共同運営による大型ZEROCOが導入されました。ZEROCOで保管した新鮮な青果は、すでに県内のスーパーなどで販売が始まり、産地から店頭まで鮮度を保ったまま届ける新しい流通モデルが動き出しています。

 さらに、本格稼働から間もない2026年7月28日に発生した最大震度7の熊本地震では、停電や断水が続く中、行き場を失った野菜をZEROCOで集荷・保管・納品まで一貫して対応し、災害時の食料の供給を支えるインフラとしても活躍しました。ZEROCOやZEROCOを掲載したトラック、地域のネットワークを活用して、私たちにできる限りの支援に努めています。

 将来的には、ZEROCOを搭載したトラックやリーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)を使い、空輸に頼らず、海運で日本の新鮮な青果を海外へ届ける構想です。
 
<ZEROCOが共創する未来のフードサプライチェーン>
<ZEROCOが共創する未来のフードサプライチェーン>

 

おわりに〜次の100年の食のために〜

 ZEROCOが目指すのは、作る人が誇りを持ち、届ける人が希望を持ち、食べる人が安心できる、そんな食の未来です。
「収穫した瞬間から劣化が始まる」という常識を変え、ポストハーベスト(収穫後)の世界に革命を起こすことで、食の新しい100年をつくろうとしています。



  楠本 修二郎(くすもと しゅうじろう)
  カフェ・カンパニー株式会社 ファウンダー兼最高顧問
  ZEROCO株式会社 代表取締役社長
  一般社団法人おいしい未来研究所 代表理事
  農業生産法人 株式会社 JAPAN FARM PARTNER  代表取締役社長 
                                     
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農畜産業振興機構 総務部 (担当:総務広報課)
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