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砂糖と加糖調製品をめぐる制度の仕組み

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最終更新日:2026年7月6日
広報webマガジン「alic」2026年7月号

1 砂糖の安定供給を支える制度

 砂糖は、家庭での料理や菓子作りはもちろん、飲料、パン、菓子類など幅広い加工食品に欠かせない基礎的な食品であり、国民の摂取カロリー全体の約8%を占める重要な品目です。
 しかし、砂糖の原料となる北海道の「てん菜」や鹿児島県南西諸島及び沖縄県の「さとうきび」は、生産条件の違いから、生産コストが低い海外産と比較すると大きな価格差が生まれてしまいます。この輸入糖と国内産糖の価格差を調整し、国内の砂糖を安定的に供給する仕組みとして、「糖価調整制度」が設けられています。
 この制度では、輸入粗糖(国内の精製糖企業が輸入する原料糖)や加糖調製品などから調整金を徴収し、その財源を用いて国内のてん菜・さとうきび生産者や製糖事業者に交付金を交付することにより、甘味資源作物の生産者をはじめ生産地の地域経済や雇用を支えるとともに、国内の砂糖産業の維持・発展に貢献しています。
 この記事では、この制度の中に加糖調製品が位置付けられた経緯や、当機構(以下「alic」という)における加糖調製品の調整金徴収業務について概略をご説明します。

2 加糖調製品とは何か

 「加糖調製品」とは、砂糖とココア、乳製品、豆類、コーヒー、ソルビトール(注1)などを混合した製品を指します。ココア調製品、粉乳調製品、加糖あん、ソルビトール調製品などが代表例で、主に菓子類、パン類、飲料、調味料、 練り製品などの原料として幅広く使用されています。これらは、砂糖とその他の原料を個別に購入する場合と比べて、調達コストを抑えられることなどから、多くが海外から輸入されています(図1)。

〈(図1)輸入加糖調製品の種類と主な用途〉

輸入加糖調製品の種類と主な用途
 
(注1)ぶどう糖を原料とする糖アルコールの一種で、甘味料として使用される。
 

3 加糖調製品をめぐる制度改正の背景

 これらの加糖調製品は砂糖を含むことから、砂糖そのものと用途が重なるため、砂糖とソルビトール等を混合した調製品の輸入が自由化された平成2年以降、輸入量は右肩上がりで増加し、国内の砂糖需要に影響を与える存在となりました。
 その後、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP:平成30年12月30日発効)の交渉において、加盟国に対する輸入加糖調製品の関税割当枠(低関税又は無税)の設定や関税削減・撤廃が行われることとなったことを契機として、TPP整備法において、砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律(糖価調整法)が改正され、加糖調製品が糖価調整制度の調整金徴収対象に追加されました。
 これにより、さとうきびやてん菜の持続的な生産基盤を支えている糖価調整制度の安定的な運営を図るとともに、徴収した調整金を国内産糖の支援財源に充当することなどを通じて、国内産糖の競争力強化が図られています(図2の赤色部分)。
 
〈(図2)糖価調整法の改正内容〉
(図2)糖価調整法の改正内容
 

4 alicにおける輸入加糖調製品の調整金徴収業務

  alicでは輸入加糖調製品からの調整金の徴収業務を担っています。含糖率が高く、砂糖との用途の競合性が高いココア調製品、粉乳調製品、ソルビトール調製品等が調整金の対象となっており、統計品目番号では20の品目が該当しています(令和8年7月現在)
 該当の品目を輸入する輸入申告者は、輸入申告の前に、web上でalicと売り買いをし、その売買の差額を調整金として納付していただいています(図3)。
 
〈(図3)輸入加糖調製品のalic売買手続について〉
(図3)輸入加糖調製品のalic売買手続について


 加糖調製品のalic売買実績数量は調整金の徴収が始まって以降、減少傾向で推移しています(図4)。

 
〈(図4)主な加糖調製品のalic売買実績数量〉
(図4)主な加糖調製品のalic売買実績数量 
        注:年度は事業年度(4月〜翌年3月)

 
(コラム)ココア調製品の価格動向

 令和7年度のalicの売買対象となるココア調製品(業務用)の輸入価格は、令和元年度から比較して約3倍に上昇しています(図5)。加糖調製品の価格は、原料である砂糖の国際価格に加え、混合される食品の価格などにも影響を受けます。一時期上昇傾向で推移していた砂糖の国際価格は、令和6年度以降は下落傾向にありますが、ココア調製品(業務用)のCIF単価は令和6年度以降も上昇傾向で推移しています。この背景には、カカオ豆の不作による国際価格の急騰などが影響したと考えられます(図6)。

〈(図5)ココア調製品(業務用)の輸入価格の推移〉
ココア調整金の輸入価格の推移
     注1:CIF単価とは貨物代金に加えて、運賃・保険料が含まれた、単位量当たりの価格
     注2:年度は事業年度(4月〜翌年3月)
 

〈(図6)砂糖とカカオ豆の国際相場〉
砂糖とカカオ豆の国際相場
     資料:ICCO、ICE(※ニューヨーク粗糖先物相場期近の値の月平均の推移)
      注:年度は事業年度(4月〜翌年3月)

 
 このように、加糖調製品の輸入動向は、為替や原料の価格に加え、海上運賃や国内市場環境など、複数の要因によって大きく左右されます。これらの動向は、砂糖の国内需給や制度運営にも影響を及ぼすことから、今後もその動きを丁寧に見ていくことが大切です。

 

5 おわりに

 糖価調整制度は、北海道、鹿児島県、沖縄県における甘味資源作物の生産や、これを原料とする国内産糖の製造事業、更に国内産糖と輸入粗糖を原料とする精製糖製造事業の持続性な発展を支え、砂糖の安定供給を確保する仕組みです。CPTPP発効を契機に、輸入加糖調製品についても調整金の徴収が行われており、制度の持続的な運営が図られています。
 また、日常生活における砂糖や砂糖を使用した製品の消費は、国内のてん菜やさとうきびの生産地を支え、国内の砂糖産業の維持・発展につながっています。alicでは引き続き、糖価調整制度の安定的な運営とともに、これらに関する情報発信に取り組んでいきます。

 日本の砂糖を支える仕組みについて動画でも紹介しています。ぜひご視聴ください。
 
(特産調整部)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 総務部 (担当:総務広報課)
Tel:03-3583-8196